テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#溺愛
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
禁忌魔法。それは――人が決して踏み込んではならない領域の力。学院の授業で聞いたとき、教師は声を落として言った。――絶対に関わるな、と。
「魔獣と契約して…… “感情”を共有したんです。攫われたとき……怖かったですよね?」
(……っ)
「その恐怖が、ルピを通してこの人に流れ込んだんです」
私はゆっくりと、アレクを見据えた。彼はただ私をまっすぐに見返した。
「……本当なの、アレク?」
「ああ」
迷いのない声だった。
「……お前を守るためだ」
「禁忌の魔法って……命に関わるくらい危険なものなんでしょ?」
「……」
「私のために、そこまでしたの?」
彼は一切の躊躇いもなく、頷いた。
(……バカじゃないの)
そう思ったのに。胸の奥が、じん、と熱くなる。
(……なんでよ。なんでそこまでするのよ)
「……勝手に、そんなことしないで」
声が、わずかに震えた。
「そんなの――ずるいわよ。……そんなことされたら、怒ることも……できないじゃない」
「……でも……助けてくれたのは、事実よね。……ありがとう、アレク」
いつものアレクの無表情が、一瞬だけ、崩れた気がした。
「……当然のことをしただけだ」
(本当に、面倒な男……)
でも――ほんの少しだけ。不器用なその言葉を、嬉しいと思ってしまった。
***
「コンコン」
馬車の扉を叩く音がした。レオンが御者に合図を送り、馬車が止まる。
扉が開くと同時に、淡い光の粒子を纏ったソルが飛び込んできた。
レオンの膝の上にすとんと降り立ち、くわえていた封書を落とす。王家の封蝋が、不吉に赤く光っていた。
「……裁判を待たずに、釈放……?」