テラーノベル
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私は人生とやらをやっている。
「職業?難しい質問だ」
今は生きるのに精一杯でね。
「どうして今こうしてるかって」
そんな誰もこんな顛末になるなんて想像もしてなかった。
想像力の欠如が原因かもね。
「どうした?気分が悪いのか」
今日は随分と長くなったから仕方ない。
「続きは今度にしようか」
酷い有様だ。
立ち止まりたくても明日が来てしまう。
人生は飛行機の様だと思ったりする。
飛び立てば、着陸するまで止まることは出来ない。止まれば堕ちる。困ったものだ。
気がつけば、生きていくのに必死になる。死にそうになりながら。
立ち止まることは許されないらしいが、私は別に立ち止まりたい訳でもない。
家に着いた。電気をつけて、荷物を下ろし、身につけていたものを全て外す。
腕時計、イヤホン、財布、ハンカチ。
これらを机に置いて、服を脱いで、部屋着を着る。
同じ服なのに、部屋着はなぜか軽く感じる。
いつもするネクタイのせいかもしれない。
何時になっただろうか。終電は無かった。もう2時とかだろうか。
そんな憶測を立てながら、ソファへ落ちる。
落ちる。
そして眠った。
朝はやってきた。
時は止まってくれない。
今日起こることを想像して、嬉しくなり悲しくなった。毎日がそうだ。
ソファから脱し、冷蔵庫を開け、朝食を思案した。
一人暮らしのせいか、自分のせいか知らないが、家での食事は適当だ。
冷凍してあったご飯をレンジに投げ入れ、フライパンを手に取る。
卵と油、刻んでおいたネギを冷蔵庫から取り出す。
作るのはチャーハン。口に入って美味しいと感じられれば何でも良かった。
作れるメニューは限られる。別に毎日同じでもそれほど問題はない。
熱したフライパンに油を敷き、卵を溶き入れた。
(ピンポーン)
インターホンが鳴った。
最悪のタイミングだ。
(第2話に続く)
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