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「コラボのオファー?」
言われた言葉をそのまま返す。マネージャーはゆっくりと頷いた。
「はい。お相手からの強い要望で。2人で組んで曲を出したいとのことです」
「……でも打ち合わせで会うまで相手が誰かは俺に明かさないでくれって?」
「はい、それも言われました」
「……なんだよそれ、おかしいだろ」
無茶苦茶なことばかりで思わず大きなため息をついた。なんだかこめかみあたりが少し痛む。低気圧の影響に加えてこの無茶ぶりに頭痛がした。面白い話ではある、だがなぜか乗り気になれない。心のどこかで警告音が鳴ってる、気がするのはさすがに考えすぎか?
「俺に断る権利は?」
「もちろんあります、けど………」
「……けど?」
マネージャーのドンスが真剣な眼差しになる。
「悪い話ではないと思います、あなたにとっても」
「………は?」
言っている意味がわからず聞き返したが、彼はそれ以上なにも言わなかった。彼は昔からの知り合いで一緒に仕事もしてきて、独立した際引っ張ってきたから10年以上の付き合いになる。誰よりも俺を見てきて、俺のことをわかってるだろう。その彼が言う言葉は無下にできない。
「……わかったよ。とりあえず日程調整しておいてくれ」
はい、と答えたあと、すぐに何日か候補を読み上げる。なんだよ、最初から断らない前提で進んでたんじゃないか。
結果、その警告音は正しかったようだ。
「やあ、久しぶり」
「!」
ドアを開けて見えた顔に思わず足を止めた。いや足だけじゃない、頭からつま先まで細胞まで全てが止まった気がする。息さえも。
「……スンヒョンヒョン。いや、タプヒョンの方がいいか」
久しぶりに聞いた、彼が呼ぶその名前。やっとのことで心臓が動き出した。先に待っていたドンスを思いきり睨みつける。彼の顔はどこ吹く風。
「そんな怖い顔しないの。俺が無理言ったんだから、彼はなにも悪くないって」
「…………はあ」
大きくため息をついて、イスに乱暴に腰掛けた。置いてあった灰皿を引き寄せすぐにタバコをつける。吸わなきゃやってられない。
「…まだその銘柄吸ってたんだ」
「……」
落ち着くために吸ったはずなのに、その言葉で余計にイラついた。
「……ジヨン」
久しぶりに口にした。なのに、変に馴染んでてそこにも腹が立つ。
「なに?」
もちろんお互い活動してるから、テレビやネットで最近の顔は知っていた。でも直接会うのは何年ぶりだろう。名前を呼んだはいいものの、それ以上上手く言葉が出ない。
「……こんなやり方、」
言いたいことも聞きたいこともありすぎて、逆になにから伝えていいかわからなかった。
「…………………最低だ」
結局俺の口から出たのはその言葉だけ。
そう、俺たちはこの日最悪な再会をした。そしてあの日、この言葉を口にしたのはたしかジヨンの方だった、と頭の片隅で思っていた。
時は、何年も前に戻る。