テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第二十九章
神火
ー朱雀の覚悟ー
「っ……い、今のは……」
「どうしたの、煉華ちゃん? 大丈夫……?」
心配そうに煉華を見つめる詞葉に、煉華は優しく微笑んだ。
「ありがとう……もう大丈夫だよ、詞葉」
そう言って、そっと頭を撫でる。
煉華は静かに身体を離すと、ゆっくりと結界へ歩み寄った。
結界は煉華を拒むことなく、まるでその意思を受け入れるかのように、静かに道を開く。
「いけません、朱雀の巫女さま! お戻りください!」
羅刹の悲痛な声が響く。
しかし煉華は振り返ることなく、小さく微笑んだ。
「大丈夫です、神官さま。そのまま詞葉をお願いします」
その言葉を残し、煉華は一歩、また一歩と結界の外へ踏み出す。
その背中を止められる者は、もう誰もいなかった。
赫夜は黙って煉華を見据える。
煉華もまた、その視線を真っ直ぐ受け止め、腰の朱の太刀へ静かに手を添えた。
澄んだ音を響かせながら刀を抜き放つ。
その瞳には、もう迷いはない。
朱の太刀を静かに構え、深紅の瞳はただ一人――赫夜だけを見据えていた。
戦場から音が消える。
誰もが息を呑み、煉華の次の一手を見守っていた。
煉華はゆっくりと息を吸い込み、凛とした声で祝詞を紡ぐ。
「……赫々たる朱の太刀よ、焔を噴き上げ舞い上がれ。
朱雀が宿す焦熱の神火よ、仇花の群れを焼き払え。
灰すら残さぬ紅蓮となりて、穢れも怨もことごとく断ち切らん」
その瞬間――。
刀身から溢れ出したのは炎ではなかった。
まるで太陽の欠片が地上へ舞い降りたかのような、神々しく神聖な神火。
眩い輝きが戦場を包み込み、誰もが思わず目を奪われる。
次の瞬間。
煉華は静かに、ただ一太刀を振るった。
たった一振り。
それだけだった。
しかし、その一閃から放たれた神火は一直線に赫夜へ走り、他の何者にも触れることなく、その身だけを包み込む。
赫夜の姿が眩い光の中へ消えた。
そして――。
「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!!」
絶叫が戦場に轟く。
神火は巨大な火柱となって天へと噴き上がり、赫夜の身体を容赦なく包み込んだ。
その炎は穢れだけを裁く、朱雀の神火。
決して消えることのない浄化の炎が、赫夜を焼き、穢れを浄化していくのだった。
コメント
1件
うわっ…めっちゃエモい…!!!😭✨ 煉華ちゃん、覚悟決めて結界の外に出ていくシーン、もう完全に主人公の風格やばかった…! 「大丈夫です、神官さま」って微笑んだところ、尊すぎて泣ける…。 そして祝詞から神火が溢れ出る描写、神々しくてめっちゃ美しかった! たった一振りで赫夜だけを包み込む浄化の炎、“穢れだけを裁く”っていう設定がもう perfect すぎる…🔥💕 煉華の強さと優しさが詰まった神回だったよ…!次どうなるの!?🥺💞