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夕暮れと君

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夕暮れと君

1 - やっと気づけたよ

♥

41

2024年07月13日

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夢を見たんだ。

みんながみんな疲れてしまって、みんなみんな離れていってしまう夢。

もしかしたら夢が現実になってしまうんじゃないかって、怖くって。…それに独りは嫌いだ。

嘘じゃないよ、綺麗事でもないよ、偽善者でもないよ、独りになりたくなくて言ってるわけでもないよ。

私は唯、みんなと一緒にいれればそれでいいの。


たしかにみんな騒がしくって疲れることもあるけれど。それを、壊されたくないし壊したくないんだ。

だって、楽しいんだもの。みんなと居られることが。

いつも通りの日常。それが、私のとっての宝物。


時に思っちゃうんだ。

私がみんなに迷惑をかけていないかって。

いつもみんなを振り回すし、追いかけ回すし、うるさいし。

私は空気があんまりよめなくって、みんなと違って知っていることも少ない。

私、此処にいて本当にいいのかな?そう、思うことが増えてきた。

はっきり言って邪魔。そう、思われていないか?

……ならいっそ、いなくなってしまおうか?

そうすれば、迷惑かけないし邪魔にもならないよね。

その考えが過ぎった瞬間に、そうしてしまおうと決心してしまった。


これから私は旅に出ます。とってもとっても長い旅。もう二度と帰ってくることのない旅。死ぬまで一生続く旅。


「いない!!」

という大声を聞いて、私は急いでそこへ走り込む。

あの夢を見てしまったせいでとても不安になる。もしかしたら、誰か離れて言ってしまった?

「ど、どうしたの……?」

急いで走ってきたせいで若干息切れしながらも、そう聞く。

「いないんだよ、█████が!!」

彼が珍しく声を荒らげていて、意外とこいつもみんなを見ているんだなと感じた。失礼だけど。

「█████が、?そこらへんにいるんじゃ?」

「全部細かく見たのに、いないんだ。」

状況は思ったより悪かった。こんな朝一でもういないということは、夜……深夜くらいに出たはず。

「え……早く探さないともっと遠くへ行っちゃう!!」

「もしかしたら外の可能性も十分に考えられる。」

外はまずい。ただでさえ広いんだから見つけられる確率が低くなってしまう。それに……。いいや、このことは考えないようにしよう。

「……私!!探してくるよ!」

「おい、危ないぞ…。」

「早く行かないと見つからない可能性だって出てくるから!あとあいつには言っといて!!」

「分かったけど気をつけろよ!!」

返事をほとんど聞かずに外へ飛び出す。どこにいるんだ?……いそうなところ?

……あれ、待って。私、全然█████のこと知らない…?

どこへ行きそうとか、何を思って外へ出たとか。…何も、分からない……。


今頃みんなどう思ってるかなぁ。

とりあえず気付かれずに出ていくことはできたけど……。追いかけられている雰囲気もないしね。

やっぱ出ていったこと分かんないかな、それともいなくなって安心したとか思ってるかな。

いやまぁそれが目的だけど。

……なにか胸に突っかかる。感情を吐き出しきれない。

…なんだ、これ。


今とりあえずアクセサリーが売っている店に来てみたけれど……。いないか、そりゃそうだ。

わざわざ無言で出ていって行く場所ではない気がする。

じゃあ次は……どこだろう。甘い食べ物が売っているところ?泊まれるところ?

全部、違うよね。それはさっきと同じこと言えるし。

でも手当り次第探さなくちゃ。


……日が暮れてきたなぁ。

今日は誰とも話してないし誰とも会ってないや。

いつもみたいバカ騒ぎしてた私はどっか行った。

…誰も見つけてはくれなかった、ね。

見つけてほしくはないけど見つからないままなのはなんか嫌だ。これじゃ出ていった意味ないな。

「……どうしようかな。」

「はぁ、はぁ………やっと見つけた!!」

背後から声がする。振り返るとそこには████がいた。

「遅くなっちゃったな〜、あはは。」

「……なんで。…なんで、見つけてくれたの?」

問いかける。疑問だったから。

だって私は特に████に迷惑をたくさんかけたから。

「え?だっていないと寂しいじゃん。」

当たり前かのように笑ってそう言った。

「…ふふ。いつもは私が追いかける側なのに、今回は私が追いかけられちゃったね。」

「…さ、帰ろ?みんな待ってる。」

そう言われて、私の心の霧が晴れた。

あぁ、そうだ、私……。

「…うん!」

きっと、誰かに必要とされたかったんだ。



END



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コメント

5

ユーザー

エモい…エモすぎるぞ!!😭😭✨ ワテも通知にやっと気づけたよ(

ユーザー

えハピエンだ…! 好きです()

ユーザー

エモさを出したかった(遺言)

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