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こけこっこ
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「…お前,中学の時何やってた?」
周りは着替え行く中のことだった。
「もちろん、剣道は忠実にやってたけど…」
もちろん,剣道してた。剣道が楽しかった。
剣道が大好きだった。
高校に入っても大好きな剣道を続けていける。
前向きに打ち込める。
そう思っていた。
だからこそ今この瞬間泣きたい気持ち、悔しさが溢れ出そうだった。
「俺は、ずっと剣道してた」
続けて言われる
「お前が一番足引っ張ってるんだけど」
あの時から何度も聞いた
自信をついばむ言葉。
前を向くのもただ前を見るだけで
動くことなどできない。
「おーい、行くぞ!」
新顧問が先輩を呼ぶ。
開会式が前日にあるそうだ。
「まあ、筒見!わからんかったらメモ取れよ」
そう言って、先輩は大会の会場へ向かうべく道場を後にした。
その後周りの部員からこんなことを言われる。
「まあ,強くなっても筒見、ポジションは取れねーよ(笑)」
周りが強いだけ、自分はついていくのが精一杯
足引っ張ってるつもりなんかない。
「お前、今日まだ残れ」
そいつは心が折れそうな声で言った。
「素振り1000本やるまで帰るな」
俺は弱さに打ちのめされた。
そいつが帰った後俺は素振りするわけもなく
帰った。
今、先輩は会場にいるのか。
もし先輩になれたら、もしくは十分に背中を押せる小さくとも心強い存在だったら
周りのような脇役にでもなれたらなど思っていた。
帰り道、雨の日の夕方
部員の一人が校門に立って待っていた。
そいつは心配そうな声でかつ現実を言うような口調だった。
「俺、明日あいつと口論してくる
それと、筒見…」
このあと発せられた一言はどん底の俺に最も深い一言になる。
「それか、部活やめてもいいよ」
…?
一瞬、気持ちが晴れたような気がした。
現実を理解できたからだ。
昔はやればなんでもできた。その反面、できなかったこともあり得意、不得意があった。
どっちつかずというか自分には才能があるのかないのかわからなかった。
ただこれではっきりしたと思った。
俺には力なんてなかった。あの頃の先生の評価なんて嘘だったんだ。あの頃の大好きな剣道はもうどこにもなかった。今の発言で全てが失ったように感じた。
そして、これで痛感する。
俺には『可能性』がなかった。
時刻は夜19時
電車は2本過ぎた、小雨の中
俺とその部員は帰路につく