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今現在描いてる長編の1話↴ネタバレ注意
夏が始まって、気温も上がってきた頃。
今日の朝も、ニュースキャスターが今月一番の気温と読み上げていた。
教室の中は、日中の気温で蒸し暑くなっている。
「・・・はぁ」
こんな状態じゃ、集中もできなかった。
収まることのない暑さにため息を吐き出しながら、汗を手で拭う。
授業中だが、もう板書をする元気もない。
そう考えては、鉛筆を机に置いてわざとらしく机に突っ伏す。
今日は五時間授業で早く帰れるのが不幸中の幸い。
けれど、時計の時間を見ると、今の時刻が今日の最高気温の時間。
今帰ったら、まるで焼肉を体験しているような気分になるだろう。
そんな俺の考えも虚しく、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
この気温で家まで帰らないといけないのか、そう思うと憂鬱な気分になる。
周りの奴らは、チャイムが鳴ってすぐに帰る準備をしていた。
俺も慌てて、ノートを鞄に放り込んで、そそくさと教室を出る。
玄関口まで歩いて、靴を履く。
誰かと帰る予定もないし、大前提、一緒に帰る友達も居ない。
まあ、俺は一人のほうが気楽だから。
なんて、誰に言うわけでもない負け惜しみを言う。
玄関口を出て、少し歩くと雨が降ってくる。
今の時期は梅雨だった。まあ、きっとその影響だろう。
そう思って、鞄から折りたたみ傘を出そうとする。
「・・・あ」
どうやら、折りたたみ傘を家に忘れてきてしまったようだ。
・・・そういえば、朝のニュースで雨が降ると言っていた気がする。
俺はそんなことも忘れて、傘を家に置いてきたようだ。
「はぁ・・・」
本日二度目の溜息をつく。
俺がこうしている間にも、雨は強まってくるばかりだ。
・・・。