テラーノベル
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桜が踊り舞う4月。
「えまちゃん、本当にかわいいね」
「これから離れる気ないから、よろしくね?」
えまちゃんこと、わたくし、桜木 咲満(さくらぎ えま)
満開の桜の木の下で溺愛宣言をされてしまいました。
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「えぇーー!?」
「それで!?それでなんて返事したのよ!!」
高校2年生になって新学期早々、
大きな声で問いかけてきた彼女は
私の幼なじみの白鳥 志帆(しらとり しほ)ちゃんだ。
「何も言わずに戻ってきちゃいました…あはは」
「あははじゃない!!」
しほちゃんにツッコミを入れられてしまいました。
私だって、急にお話が進み過ぎて
頭がパンク寸前。
「まってまって…ちょっと一旦、状況整理ね?」
「…はい」
落ち着きを取り戻した様子のしほちゃんが
教室の窓から見える、大きな桜の木を指さした。
そう。遡ること30分前、
あの大きな桜の木の下で私は告白というものを
していただきました。
ーーーーーーーーーー30分前ーーーーーーーーーーー
「えまちゃん」
心地よく、耳によく馴染むような温かみのある声で
私の名前を呼ぶ彼は霜月 柊真(しもつき とうま)くん。
1年生の頃は私がA組で、
彼はB組だった。
『才色兼備』『容姿端麗』
なんて言葉がぴったりな男の子。
成績もよく、運動神経は抜群、
整った顔立ちと、スタイル。
人柄もとてもいいらしい。
そんな彼は言わずもがな、
女の子たちから絶大な人気を誇っている。
そんな彼と私は1度もお話したこともない
どころか、目すら合ったことがない、と思う。
名前は知っているものの、1年生の頃から
特に関わりはないし、彼の情報は
周りの女の子たちから聞いた内容のみ。
『高嶺の花』
そんな彼が私の名前を知っていて、
甘い声で「えまちゃん」なんて呼ばれて、
桜の木の下で優しく微笑まれている。
コメント
2件
フォローありがとう!!!作品読んだよ!!!すごすぎ...涙 続きたのしみ!!!いつでもまってるぅ!!!