「お祭りぃ〜???」
「そう!建国祭!!一緒に行こうよ!俺の家族にもお前のこと紹介したいしさ!」
「えー……」
頬杖をつきながらしかめっ面で明後日を見上げる彼はらっだぁ。この森にひきこも──滞在している青鬼である。
実は数日後、俗に言う建国祭が開かれる。俺の家族同然の彼らに会わせるという意味でも、らっだぁの引きこもりを治すにしてもいい機会だということで誘ってみてはいるのだが、ものすごく嫌な顔をされている。
「どうせ予定ないでしょ?友達いないもんね。空いてるなら行こうよ!!」
「おう今ので行く気失せたわ帰れこの野郎」
「ウソウソ、俺とともさんいるから友達はいるか、ごめんな?」
「ごめんなやめて?真実味増すから」
「ラタミを友達にはカウントさせないからな。…で!暇でしょ?行こうよ」
「………」
もちろん彼が森から出たくないのは彼が出不精だからという理由だけでないことくらい承知している。だがこのまま死ぬまで避けて、永遠に会えないままというのは部外者である俺でも気持ちが良くない。お節介だということはわかっているのだが…
「……なんにち」
「え?」
「建国祭。………いつ」
「ぇ、あえっと、5日後!」
「5日後ね…起きれる気しねぇけど…」
「俺が起こしに行くよ!」
「ははっ、そこまでして俺に来て欲しい?」
「当たり前じゃん!!てか来てくれんの!?」
「だって行くって言わなきゃこのまま押し問答だろ?まぁ、行かなくていいなら行かないけど」
「いやダメダメ!言ったな!絶対だからな!眠いからって断るなよ!」
まさか首を縦に振るとは思わず変な反応をしてしまったが、呆れたように息をつくらっだぁも口元は弧を描いている。だから死ぬほど嫌!という訳ではないのだろう。
約束を取り付けてすぐ、もう遅いからと森の出口まで飛ばされた。俺は地に足が着いた瞬間走り出し、赤色の彼の元へと急ぐのであった。
「ともさん!らっだぁ建国祭来てくれるって!!」
「ぺんちゃん許可得てから入ろうね〜、って、え!?らっでぃ来んの!?」
ドアをノックと同時に勢いよく開ければ、書類整理をしていたのかメガネをかけているともさんが鎮座していた。俺の発言に書類を向いていた瞳孔がこちらを向く。
「そう!頼んだら来てくれるって!」
「へぇ〜…なんだかんだ言ってらっでぃってぺんちゃんに甘いよね」
そうなのだろうか?俺以外に対してのらっだぁなんて知らないしわからないけれど。でもまぁ甘やかされている自覚も少しはあったりするのだ。
とにかくらっだぁが来るという旨をともさんに伝え、今度は家へと急ぐ。俺の家族にも会ってもらうのだ。心の準備はさせてあげないとな!
「ただいまー!!」
「おかえりなさい、今日は遅かったですね?」
「ん?あーともさんとこ寄ってきたから!」
「あ、ぺいんとおかえり。今日の晩飯はトラゾーがじゃがいも貰ってきたからシチューだぞ〜」
「えマジっすか!!うわやったぁ!」
家に入ってすぐのリビングにいたしにがみくんに声をかける。早くあのことを伝えようと息巻いたが、キッチンにいたクロノアさんが運んできてくれたおいしそうなシチューに思考が吹っ飛ばされたのであった。部屋で作業をしていたトラゾーも呼んできて4人で食卓を囲む。
クリーム色に輝くとろとろなシチューをひとすくいし、口に運べばなんとおいしいことやら。それが顔全面に出ていたのか、しにがみくんががにこにこと笑ってそんなにおいしい?と聞いてきた。もちろんおいしいと伝えればクロノアさんが照れたように頬をかく。
「あ、そういや建国祭ってどうするんすか?俺とクロノアさんはちょいちょい用事でいないけど、しにがみさんとぺいんとは1日フリーだったよな」
「あ〜どうしましょうね。夜のパレードは参加しますけど、やっぱりいつも通り適当に屋台回る感じになるのかな」
「…あ!そうだ建国祭!俺今日らっだぁのこと誘ったんすよ!!」
「らっだぁ…って、あの森の青鬼?」
「そう!そしたら来てくれるってさ!」
「へえー最近ずっと誘ってたけど断れてたんだろ?よくいいって言ってくれたな」
「ふむ…じゃあ俺らも準備しないとな。ぺいんとの家族として」
「! うん!らっだぁ陰キャ極めてるから優しくしたげて!」
建国祭に関しては大丈夫そうだ。あとらっだぁがドタキャンなどしなければいいのだが…まぁそんなことしないか!らっだぁは意外と良い奴だし!
コメント
5件
かわええな...pnちゃん...シチュー食べてる時の笑顔が見たい...絶対可愛いよなぁ...へへへ...
ラタミカウントされないんか.......あんなにもちもちでかわいいのに......
らっだぁ?もしかして ぺんちゃんのこと好k…((殴