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kurara
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#nmnm
かめちょん
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ヘリオトロープ⑮
大森side
若井「遅くまでお疲れ様でした」
大森「お前……なんで……」
若井「上で待ってたら仕事の邪魔になるかと思って……ここで待ってました」
大森「……てっきり帰ったと思ってた」
若井「主任が言ったんじゃないですか、朝、話があるって」
大森「いや、そう……だけど……」
若井「俺、ちゃんと話聞きますから、だから…………元貴も俺の話聞いて」
大森「…………わかった」
若井の『俺の話』が俺にとってプラスなのかマイナスなのかはわからなくて、正直怖い
でも、もしもマイナスだったとしても俺は
きちんと若井と話すことを決めたんだ
話さなきゃ
今の想いを
・
・
・
【大森邸】
若井「お、お邪魔します」
大森「そこのソファーにでも座ってて、なんか飲み物持ってくるから……って言ってもコーヒーか麦茶しかないけど」
若井「じゃぁ麦茶で」
大森「ん、」
グラスに氷を入れて、冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注いでいるときに麦茶の残りが少なくて、後で沸かさなきゃなって冷静に思える位、どうやら俺の頭は冷静なようだ
ただ若井はそうでは無いらしい
ソファから出てる後ろ頭が右左に動いていて落ち着きがないのがわかる。
大森「おい、何キョロキョロしてんだよ」
若井「いや元貴の家ってこんな感じなんだなぁって……」
大森「前に来てんじゃん」
若井「いやあの時は酔っ払ってて全然覚えてないし……おしゃれで綺麗だし広くてうらやましい。俺んち、1Kだし……」
大森「六畳一間的な?」
若井「いや、ワンフロアが無駄に広い1Kみたいな」
大森「ならそんなにかわんないじゃん」
若井「いや、元貴んちみたいに寝室が欲しいって思う」
大森「俺もリビングと寝室が離れてるのがいいと思って、このマンションに決めた……はい麦茶」
若井「サンキュ」
大森「……」
若井「……」
若井に麦茶を渡し、隣に座ったは良いものの、会話が止まった。
大森「……」
若井「……」
互いに少し麦茶を飲みダイニングテーブルにグラスを置いてもお互いに何も言わない
先に話があると言ったのは俺だから俺が話出さなければいけないとはわかっていても……タイミングを掴めなくて、どう切り出そうかと考えていたら
カラン
グラスの中の氷が部屋で唯一の音を立てた
俺はそれを合図のように口を開いた
大森「あのさ、若井…………まずは…………もう今更かもしんないけど……俺と涼ちゃんのこと話したい」
あの日言えずに、ずっと話せずに先延ばしにしたままだった
若井「うん」
若井の返事を聞いて俺は、少し深呼吸をして、涼ちゃんとのことを話した
大森「俺と涼ちゃんは……俺がまだ10代の頃に知り合ったんだ……俺が18、涼ちゃんが21だった」
若井「どうやって知り合ったの?」
大森「知り合いの知り合いって感じ。正直、最初は涼ちゃんのことを俺は覚えてなかった、でも」
若井「でも?」
大森「涼ちゃんが言うには、元貴に存在を無視されてるなって思って、ムカついたから派手になって認識させてやろうって思って金髪にしたら、俺が涼ちゃんと話したらしい」
若井「……らしいって」
大森「確かに俺の中での涼ちゃんは金髪からで、その前の涼ちゃんの記憶がない」
若井「……ちょっと藤澤さんに同情するわ」
大森「まあ、そこから仲良くなって…………俺は…………」
その先を話そうとして、言葉が詰まる
俺にとって辛い過去の部分にはなるけど、もう10年以上も前の話だ
もう、大丈夫だと思っていても、若かった俺にとっての辛かった思い出は、薄まっても消えるわけじゃない
若井「大丈夫……ゆっくりでいいし……言いたくないなら話さなくていい」
若井は、グラスを見つめる俺の背中をゆっくりと撫でながら、そう言った
大森「……大丈夫、…………それから俺は、涼ちゃんを好きになったんだ……理由なんてない、ただただ涼ちゃんを好きになって……告白した時は、僕が責任取るからねって言われた。その言葉に俺は………………あの頃は、ずっと涼ちゃんと居られるって思ってた」
でも、現実はそうじゃなかった
大森「一応わかってるとは思うけど……涼ちゃんとは別れたんだ」
若井「……その…………別れた理由って……聞いても……」
大森「理由は……正直わかんない」
若井「わ、わかん……ない?」
大森「多分、重かったんじゃないかな、俺のことが……涼ちゃんがちょっとずつ素っ気なくなって、段々連絡も疎かにされて……突然別れ話されて……それでおしまい」
若井「それでおしまいって……最後に話し合いとか……なかったのか?」
大森「話し合いと言うか……俺が一方的に涼ちゃんを攻めた、かな…………責任取るって言ったのにって」
若井「……」
大森「でも、涼ちゃんにはそんな事言ってないって言われて……それで俺も心が折れた」
若井「元貴……」
大森「あの時の俺はまだ10代だからな……上手く気持ちを伝えるとか、相手を思いやるとか、出来なかったんだよ」
若井「……そんなん言ったら、藤澤さんはその時20代の大人じゃん」
大森「はは、確かに……でも、互いに未熟だったんだ」
そう、あの頃の俺と涼ちゃんはまだ子供で、特に俺は男同士の恋愛について考えが甘かった
男同士の恋愛を世間的に違うってわかっても、男女の恋愛とそんなにかわらない……くらいに思っていた
好きな人には変わりないんだからって……でも、世間はそんなに甘くなかった
TPOを……特に考えなきゃいけなかったのに、好きだからって疎かにしてた
大森「涼ちゃんと別れてからはずっと連絡も取ってなくて……てか、涼ちゃんにブロックされてたと思う……1度、メッセージ送ったけど全然既読がつかなかったし…………最初は悲しかったり、自暴自棄になったりもした……でも、時間って凄いんだよ、時の流れと共に涼ちゃんへの気持ちは消えたんだ…………んで、何十年ぶりに会ったのがあの日だった」
そう、何年かぶりに涼ちゃんに会ったのが、プロジェクトの顔合わせの日だった
若井「あの時……元貴の顔色が悪かったのはそういうことか」
大森「はは……あの時、そんな顔色悪かったんだな」
若井「てっきり緊張とかで、急な腹痛でトイレ行きたくなったのかと思ってた」
大森「……アホ……俺はそんなメンタル弱くねーよ…………それよりあの時は………何年も前の……しかも振られた元恋人に会うなんて思わないし、仕事って場で再会するとは思わないだろ」
若井「まあ……確かに普通なら……」
大森「どんな確率だよって思うだろ、……それで思わず……身体が反応した」
若井「元貴でも動揺するんだな」
大森「お前は俺を何だと思ってんだよ…………しかもその後、追いかけて来たと思えば、数年ぶりであの絡み方だぞ?……俺からすれば、涼ちゃんが何考えてんのかわかんなくて」
若井「……まあ……うん……今までの話聞いたら確かに……」
大森「とりあえずここまでで俺と涼ちゃんとの過去から今までの話はこんな感じ……」
若井「…………そっか、…………話してくれて……ありがとう、元貴」
少し言葉の詰まる若井
色々思うこと、考えることがあるのだろう
大森「……ちょっと休憩、するか」
目の前のグラスの麦茶は、氷が溶けて、2層になりながら、水滴を垂らしていた。
コメント
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なんか....すごいドキドキします( *´艸) 語彙力無な私ですので、言葉で表せないんですけど、なんか二人のその絶妙な距離感が好きです。 お藤との昔の話を、若井さんに話す時、心拍数が異常でした。 続きが楽しみで、正座している足がしびれてきました( ;∀;)
ふぉぉ(´゚д゚`) 過去のお話が始まりました… 二人のソワソワ感が伝わってきます… 大森さんがこの後、若井さんとどう話すのか 若井さんはどう受け止めて、自分の気持ちをどう伝えるのか…… ( ´Д`) ドキドキしますねぇっ!!
うわ、第15話……重かったね。大森さんが若井くんに涼ちゃんとの過去を話すシーン、めっちゃ胸に来た。「理由はわかんない」って別れの理由が腑に落ちない感じとか、若井くんが背中撫でながら「大丈夫」って言うところ、優しすぎて泣ける。麦茶の氷の音が合図になる演出もすごく好き。やっと二人がちゃんと向き合おうとしてるのが伝わってきて、切ないけど温かい気持ちになったよ。kuraraさん、この空気感の描き方、本当にうますぎる🥀