テラーノベル
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ヘリオトロープ⑯
大森side
大森「麦茶、薄まったな……新しいの入れるわ」
そう言ってソファから立ち上がったら、若井に腕を掴まれた
若井「麦茶は……いい……」
大森「いや、でも氷溶けて…………」
若井「元貴、座って……こっち、見て……」
掴まれていた腕を引っ張られ、強制的にまたソファに座らせようとした
大森「ちょ、飲みもん替え」
若井「元貴はそれでそれでよかったの?」
大森「え、な、何?どういうこと?」
若井「藤澤さんと……それでよかったのかなって」
大森「お前、さっきの話ちゃんと聞いてたのかよ?そんなこと言っても今更だろ」
若井「聞いてた、でもっ……だからっ……出会えた今っ……」
俺を見上げる若井の顔は、なんとも言えない表情をしていた
大森「はぁぁ……」
俺はもう一度ソファーに腰を下ろし、若井に向き合った
大森「ほんとに今さらなんだ、俺の涼ちゃんへの感情はもう恋愛じゃなくなってて…………涼ちゃんとは、悪い思い出ばっかじゃなくいい思い出もある……でも、もう思い出なんだよ」
昔別れた恋人と運命的な再開!当時の誤解も解けて、よりを戻してハッピーエンド!!
なんてのは、アニメや漫画の世界だけで、実際にはそんなことがあるわけがない
仮にあったとしても…………俺と涼ちゃんではそんな風にはならない
あの時の俺と涼ちゃんに誤解なんてなくて、ただ俺たちが幼かった結果の結末だ
大森「若井は、俺と涼ちゃんがよりを戻せばいいって思ってんの?」
若井「い、いやっ、思ってないっ、だって俺はっ……………だけどっ」
大森「……だけど?」
若井「わ、わかってると思うけど……お……俺は……元貴が好き………………だけど……元貴がどう思ってるかは…………俺、元貴じゃないからわかんないし……」
若井の言う通り、若井は俺じゃない
逆を言えば、俺は若井じゃない
本当の気持ちなんてわかるわけがない
だから
その気持ちを言葉にしなければ
伝わらない
大森「わからないから……お前に俺は涼ちゃんとのことを話したんだよ…………さっきも言ったけど、もう俺と涼ちゃんは終わったんだ。寄り戻すこともない」
若井「……元貴、俺」
大森「俺さ、ずっと怖かったんだ……若井の気持ちが」
若井「…………え?」
若井の言葉に被せるように俺の言った言葉に、戸惑いの言葉が返ってきた
俺が次に発する言葉を待ちながらも、若井の瞳もゆらゆらと揺れている
大森「俺は………………若井のことが好き……だと思う」
若井「お、俺もっ!俺も元貴が好きっ」
大森「でももしかしたら若井は一時の気の迷いで俺に対してそう思ってんじゃないのかって気持ちがある……だから若井をこっちの世界に踏み入れさせれない……それに俺は……その責任を取れるのかって……」
若井「それはちがっ、一時じゃないっ、俺はっ、俺はっ、そんなんじゃない」
大森「俺は怖いんだよ……若井が…………昔の俺のようになることが……」
若井「…………………だから……俺に諦めろって言うんですか」
大森「……」
若井「そんなん、無理に決まってる……」
大森「俺は、若井のためを思って」
若井「っ、俺のためってなに?!俺が辛い思いしないようにってこと?そんな未来のことわかんねーじゃんっ!」
大森「……」
若井「俺は……今の俺は、昔の元貴みたいに男同士の恋愛に何もわかってないかもしれないし、我慢とか、世間体とか、そんな事も多分ちゃんとわかってない。でも、だからって元貴を好きって気持ちを諦めたいって思わない」
大森「若井……」
若井「責任……取ってよ……元貴が、俺が元貴を嫌いになるように責任とるか、ずっと一緒に居るって責任か、どっちかで責任取ってよ…………俺に元貴を好きにさせた責任」
コイツ……なんて無茶苦茶なこと
大森「……じゃ、じゃあ嫌」
若井「あ、でも俺、1度好きになったらなかなか離れませんよ」
大森「……お前、言ってること無茶苦茶……」
若井「だから元貴……俺とずっと一緒に居て…………簡単だよ、元貴が俺を離したりせず、ずっと一緒に居てくれればいいんだから。俺もずっとずーーっと元貴と一緒に居るっ!それに俺が駄目なことしたら叱ってよ?ね?」
若井に昔の俺の様な思いをさせたくない
でも
好き
こんな考えするなんて、俺はなんてわがままなんだって思ってたけど……わがままじゃなかったんだ
若井のように自分の気持ちを強く思うこと、信じること、伝えることが大事だったんだ
大森「……お前に負けたわ」
若井「……え?は?え……?」
大森「責任重そうだし、お前の面倒をプライベートでも見なきゃいけないのか……」
若井「もっ、ももも、元貴、それって……」
大森「お前、鈍すぎだろ……だから俺も……うわぁっ!!」
俺が言葉を言い終わる前に若井が急に抱きついてきた
しかもありえないくらいに強い力で
大森「ちょ、く……」
若井「俺、俺っ!元貴がっ」
大森「まっ……つよ……わか……くる、しっ……」
若井「っ!あっ、ごめ、」
大森「はぁはぁ……お前……俺を絞め殺す気かよ……」
若井「ちがっ、つい嬉しくて……そ、それでつ、続きなんだけどっ!俺!元貴がす」
グぅぅぅぅ
若井「……」
大森「……」
若井「俺の腹の…………おと……」
大森「……ぷ、」
このタイミングで腹の音鳴らせるやつってある意味すげぇって思うタイミングだ
大森「あはははっ」
若井「ごめんっ、こんなタイミングでほんとっ……クソっ俺の腹ぁぁぁっ」
大森「あははっ」
若井「も、元貴笑いすぎっ」
大森「い、いやっ……ぷっ…………ごめ、ごめん……でも……うん…………若井で良かったって思うわ」
若井「え、何が?俺、大事な場面で腹の虫鳴らすアホなのに?」
大森「まあ、うん、それは……そう……だけど……んふふ」
若井「ひどいっ、だって俺!ずっと元貴が出てくるのを外で待ってて……グウゥゥ…………だーっ!」
大森「あはははっ、も、お前……喋るなよ……んふ……喋ったらまた腹鳴るって…………ぷっ」
腹の虫に笑ってはいるけど、若井は俺が終わって出てくるまでずっと待っててくれたんだ
いつ出てくるかわからない為、何かを買いに行く訳にもいかず、ずっと待っててくて、そのまま俺んちに来て長いこと話し合っていれば、そりゃあ腹も減るだろう
それに……あの瞬間、少し若井の緊張が解れたのもあって鳴ったんだろう
大森「笑って悪かったよ。今、俺ん家カップ麺くらいしかないけど食べるか?……俺も実は腹減ってんだよね」
若井「腹が減ってても、鳴るのと鳴らないので大違いだって……」
・
・
・
お湯が沸くのを待つ間、ふと考える
俺自身、昔より年齢的な意味で大人にはなってるけど、他に何が大人になっただろう、と。ひとつは、10代の頃より考え方が大人になった
世間体を考えたりとかの意味で。後は……消極的になったな……諦めがつく、って意味で
勿論、諦めずに頑張る事はするけど、結果が見えた時、次に切り替えをする判断とか、ここでやめようって判断への決断が早くなった気がする
でも…………今回はどうだ?
若井に対して、ウジウジとしていた
この10年、恋人が居なかった訳じゃない。ただ、付き合う時も別れる時も、こんなに悩んだ……覚えはない……
ウジウジしたのって……
いつだ?
……多分
初恋だった…………涼ちゃんの時……以来……
若井「……き、……ときっ!元貴!」
大森「えっ」
若井「鳴ってるっ!」
ピーーーーッ(ヤカンの沸く音)
かけていたヤカンから沸いた音がしていた
大森「あ、」
若井「すげー鳴ってんのにボーっとして大丈夫か?って……何?元貴どうした?!」
大森「え?」
若井「顔…………真っ赤なんだけど?」
大森「あ、え、いやっ」
若井「なに、急にっ」
大森「な、なんでもっ、ないっ」
思わず、若井に背を向けた
言えるわけがない
初恋以来の感情だ、なんて恥ずかしすぎて言えるわけがない
若井「……元貴」
大森「っ?!!」
後ろからそっと若井が抱きしめてきた
大森「や、やめろ……カップ麺……作れないだろっ!」
若井「元貴が赤面するくらいの考え事の内容……教えて欲しいな……」
大森「は、はぁ?!おま、何言って、てか、ちげーしっ、妄想も大概にして欲しいわっ」
若井「……元貴、焦って言葉が流暢になってる」
大森「焦ってねーしっ、てか離せよっ、腹減っ……っ!!」
抱きついたままの若井を、肘で押しつつ、若井の方へ少し振り向いた瞬間
頬に柔らかい感触がした
チュ
小さくリップ音が俺と若井の間で鳴った
若井「……へへ、ほっぺにキスしちゃった」
大森「おまっ、おまっ、」
若井「あ、また顔が真っ赤になった……って事はもしかしてさっき、俺とのえっちな事考えて……ぐふっ」
大森「んなわけねーだろっ、バーカバーカっ!!」
若井「も、どぎ……みぞおち……」
膝から崩れ落ちる若井に向かって俺は言った
大森「お前の思考は中学生かよ!!!」
前言撤回
俺、コイツを好きになったこと、不安になってきたわ
コメント
11件
初コメ失礼します! このお話好きすぎて一気見してしまいました! そして、絵もお上手で本当にすごいです…✨ 続きが楽しみです!
良かったですねぇ(*´Д`) しかし…なんと…甘酸っぱい♡ 大人になって…のクダリ 染みますねぇ くららさん🤝 大なり小なり高なり低なり 経験しますよね 挿絵!!ありがとうございます!! パロのリアリティがぐっと深まります!! 一先ず ほこほこした気持ちです(*´﹃`*)

うひゃー!!、( ;∀;) わ、若井さぁん!! 私の心臓が、高鳴りすぎて、ああもうどこかに行きそうです!!(???) 若井さんのいたずらっ子さが好きです←((ずっと荒ぶってる人 若様、ストレートにも程がありますわ😭😭 ↑そのストレートさに悶絶する私。 最後の不意打ちほっぺキスに、私叫びすぎて飛んでいきました( ´ ▽ ` )ノ うるさくてすいません、笑( *´艸)
kurara
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かめちょん
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