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〜♪〜♪〜♪
突然、爆音でアニソンが流れた
「……っ」
飛び起きて、音の正体を探す
……これ、佐久間くんのスマホ?
部屋を見渡す
フィギュア、ポスター、グッズ
……見覚えがある
「……佐久間くんの、部屋?」
ドアの向こうから、猫の鳴き声
——ニャーン
そこで、やっと違和感に気づく
あれ、ここ佐久間くんの家だ、俺泊まったっけ…?
寝ぼけているのか思考がうまく回らない
手を見る
——細い
白くて、見慣れた自分の手じゃない
髪に触れる
……長い
指に絡まるピンク色
「……は?」
声を出す
それも、俺の声じゃなかった
ベッドから立ち上がる
視界が低い
鏡で恐る恐る顔を確認する
俺、佐久間くんになってる…
訳がわからなくて急いで佐久間くんに電話をかけた
「もしもし?佐久間くん?俺だけど、これどういう状況…?夢じゃないんだよね?佐久間くんも俺になってるって事?!どうしよう…」
佐久間くんは意外と冷静にしてて、俺一人で慌てて…
なんで冷静でいられるんだよ!って驚いたよ
ドアの向こうから、ツナとシャチが鳴いている
ご飯、ここか
量は……これくらい?
慣れない手つきで準備しながら思う
インスタ用の写真を頼まれたんだっけ、こんな感じでいいか…
毎日本当にマメだよなぁと感心してしまう
本当に、ファンのことちゃんと見てる人だなって思う
だから、あんなに愛されてるんだろうな
俺なら毎日投稿なんて出来ないよ
でも俺が佐久間くんになっちゃったんだから俺が投稿しなきゃってことだよな…やれるのか?俺…
いろんな事をぐるぐると考えてたらどっと疲れが来て、ソファに横になる
ご飯を食べ終えた2匹が近づいてきて
ツナは俺のお腹の上、シャチは足元に体をくっ付けてゴロゴロしていた
…可愛い
モコちゃんだって負けてはいないけど、犬とはまた違った甘え方があって、佐久間くんが親バカになるのも納得だ
目を瞑って考える
これからの事…
今日の仕事の事…
佐久間くんになりきれる気が全然しない
俺にあのテンションが出せるのか…
ドラマでだってやった事ないよ
でも気付かれる訳にはいかない
佐久間くんの事はよく知ってるから、俺がいつも見てる、元気で明るい佐久間くんを演じればいいんだよな
頬を軽く叩く
「……よし」
一度、深く息を吐いた
——やるしかない
そう自分に言い聞かせて、
仕事へ向かった