「はぁ」
今は午後8:30。
「また遅くなっちゃう…」
僕は急いで家に帰る。
「ねぇお嬢ちゃん」
嫌な予感。
後ろから囁くように聞こえる低い声。
僕は直様走った。
横腹が痛くなる。
呼吸が荒くなり咳き込む。
急に走ったせいか、心臓がバクバクしている。
「はぁ…はぁ…」
さっきの変な人も居なくなったし、少しベンチで休むことにした。
「疲れた…」
「こんな時間に走ったの初めて、…」
呼吸を整え、僕は家に帰ろうとした。
「なんで逃げる?」
「え…」
さっきの人?
なんで…なんで着いてくるんだ。
「あのっ迷惑です」
「お嬢ちゃん、お酒とか興味ない?」
「無いです。なので…」
「チッ…」
おじさんは舌打ちをしながら僕の手を掴んだ。
「痛い…」
「放してくださいっ」
「…」
おじさんは黙ったまま手を引っ張る。
筋肉も結構あるし、僕より体も手も大きい。
こんな大人に敵うはずないと思い、そのままおじさんについて行く。
「さっきはあんな抵抗してたのに、急にどうした」
「諦めたのか」
「…」
何も言えない。
この人は何を言っても理解してくれない。
「着いた。」
居酒屋とか初めて来る。
僕は緊張しながら店の中に足をいれる。
おじさんはビールを頼み、カウンターに座る。
おじさんの隣に僕は座った。
大きい大人がいっぱい居る。
酷く震えた足をぐっと抑えつける。
「僕オレンジジュース…」
オレンジジュースを頼みため息をつく。
「お嬢ちゃん、お名前聞いてもいいかね」
「ryok…」
小さな声で言う。
「ryokちゃんねぇ〜♡」
気持ち悪い…こちらを見るその瞳が気色悪い。
ニヤニヤさせて僕を見てくる。
「あの…そんな見ないでください」
「なんで?」
「なんでって…」
「理由無しに見ないでって言われてもねぇ〜」
「…」
僕は急に出て行きたくなった。
今すぐこの店から出たい気持ちでいっぱいになる。
僕は少し苦くて甘いオレンジジュースを口に付ける。
ジュースの水面に映った自分の顔を見た。
その顔は怯えていて暗い表情だった。
「ねぇryokちゃん」
僕は振り向く。
「んグッ!!…」
口の中にアルコールの香りが漂う。
変な味。
美味しくはない。
「ほら、もうちょい飲めるって」
「んっ…グッ…」
口の中に酒が溢れる。
「ゴクッ」
僕は大きな音でおじさんに聞かせてやった。
「結構飲んだねぇ〜」
「はぁ…はぁ…」
いつも夜にお母さんから匂う香りが僕の口に、胃に広がっていく。
「バレないって笑」
そんなマヌケな大人にはなりたくないと僕は思った。
「な…なにするんですかぁっ、ヒック…」
体が熱くなり思うように立てない。
「あれぇっ…なに、これ」
フラフラしてる僕をおじさんは抱え、金を払い、店から出ていく。
「どう?楽しいでしょ?オトナの世界♡」
「///ふぁ…っヒック……」
気がつけばベット。
僕は今分かった。
おじさんは僕を騙して性行為をしようとしてることに。
「まってください!」
「なんで?」
そうだ…コイツは何を言っても聞いてくれやしない。
「おいryok」
「お前男なのか…?」
これで分かったか!僕が男の子って。
「まぁ、そんなことはどうでもいい」
「え…?」
やめてくれないの…?なんで…
僕はホテルから飛び出し走った。
怖い…やっぱり大人は怖い。
「うぅ泣」
僕は走った。家でもなく、学校でも警察署でもない所。
mtkさんの家だった。
コメント
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( ◜ω◝ )フヘヘヘヘ私の家においでよ涼ちゃん🫶🫶🥰