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父は相変わらず認めない。母は何か確信があるようで、父を嘘つき呼ばわりして怒鳴り散らしていた。
「俺は何もしていない!!」
父の言い分はいつも同じだった。
だけどある日、母が決定的な証拠を握った。
興信所に依頼したようだった。
母が私と兄をリビングに呼びつけた。
『あんたたちのお父さんと離婚するわ。あっちについて行きたいなら、好きにしなさい』
私も兄も迷った。
だけど、私たちは母といることを選んだ。
離婚の原因が父の不倫なら、そうするしかなかった。
そして、父だけが家族の外へ出されてしまい
兄が中三、私が中二の時
長年名乗っていた苗字が変わった。
吉永から藤田へ。
―――
学校で、途中から苗字が変わったことを
皆に問い詰められた。
私は、頑なに答えなかった。
すると、和香那が
「夫婦別姓だってあるのに、苗字が変わったからってあなたたちしつこいわよ!」
そうピシャリと皆に言ってくれて、それからは聞いてくる子は居なくなった。
「和香那、ありがとうね。親の離婚なんて恥ずかしくて……」
「ウチだって母子家庭だよ?気にすることじゃないよ」
そう、和香那の家は小学生の時に離婚した。
子供だった私たちは、その理由までは知らない。
だけど、和香那は日曜日うちに遊びにくると
いつも、賑やかな我が家を羨ましがっていたのを思い出した。
「そうだね。夫婦は所詮他人だしね」
でも、親子は他人じゃない。そうは思ったけど、あんな穢らわしい父とは他人になったほうがいい。
大好きだった父を、大嫌いになるのなんて
簡単だった。
――そう思うことで、私は自分を守っていた。