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僕は筆を折った。
長年通っていた絵画教室を辞めた。
絵を楽しく描くことも辞めた。
それは激しい劣等感からくるものでも、他者への嫉妬心や自分に対しての喪失感でもない。
ある日激しい頭痛とともに世界が*灰色*へと変わっていった。
僕に見える世界はもう鮮やかに映ることは無いだろう…
すべて絵に時間を注ぎ込んでいたけれど今となっては何もなく、果てしない絶望感が僕を襲った
急速に*色*が分からなくなってしまった僕の目。
手術は困難だと言う
眼の前にある絵を手に取る。
幾度となく失敗を繰り返して創り出した僕にとっての最高傑作。
色を失ってはただの幼稚な絵に過ぎない
いっそのことこの絵を破り捨ててしまおうか。
そんな思考が頭を過ぎるが
「とっても綺麗な絵!まるでほんとに向日葵 が咲いてるみたいだね」
…どうしてこんな時に*君*を思い出すんだろう。
頭に浮かぶ君の笑顔はぼやけているのに何故か僕を引き留める。
やはり思いを捨てるにはまだ早かったようで
ずっと描き続けてきた自分の世界を手放したくない…。
僕は思っていたよりかなり絵にのめり込んでいたことを実感した






