みどり視点 過去
ら 「 ぐちつぼ、魔ホウでヒつぎ作っテ、ほしィ、 」
ぐ 「 んー… 」
ぐちつぼ、と呼ばれている魔法使いがらっだぁの背に隠れているこちらをチラッと見た。
気まずい……
ぐ 「 いーよ。ん〜~っ、はいッ! 」
恐らく生前のオレにピッタリなサイズの棺が現れた。
何故サイズがわかるんだろう…
埋葬されていないから、オレの姿もぼんやりしているはずだ。
子供だった、ということはサイズ的に分かるのか…?
ら 「 ありガと。 」
ぐ 「 持てるか…って、そんな心配いらんかったわ。w 」
軽々と持ち上げ、ちゃんと丁寧に傷つけないように運ばれていく棺を眺めながら進む。
ら 「 案なィしテ~ 」
み 「 ウン、マカセテ。 」
会話が続かずに気まずくなったので、ずっと思っていたことを聞く。
み 「 らっだぁハ、ニンゲンジャナイヨネ…? 」
ら 「 …ぅン、俺はキじんぞク。 」
鬼人族…本で読んだことがある。
青鬼という魔物が進化した、人に近い姿と知能を持った生物らしい。
人に近く進化した理由は…人を騙して喰らう為、だったはず。
なのに人と一緒に過ごしているの…?
ら 「 …ツノをさヮらレたら、フクじゅうスるきまリ。だヵら、いっしょ二旅する。 」
まるで心を読まれているかのように、ピッタリ思ったことを言ってくれる。
らっだぁもきっと捕食対象に服従しようなんて考えないだろうし、いいぶり的に何かあったのだろう。
そして、そんなこんなでオレが飼われていた小屋へと辿り着いた。
100年以上手入れされていないせいで、酷い埃だ。
オレが殺されたところに死体は無かった。
あと心当たりがあるとすればオレの檻の中か…
地下室への扉を開けてもらい、狭い廊下を進み、自分の牢へと向かう。
…思った通りだった。
もう既に死体は白骨化し、服はボロボロになり触れるだけで崩れそうだ。
崩れたら困る、との事で、自らの死体を魔法で棺に移す。
なんとも不思議な感覚だ。
外に棺を置いてきていたので、その中まで運ぶ。
運び終わり、あとは棺を埋めるだけだと思っていると、声をかけられる。
ら 「 ふク…変ェるか、… 」
そして棺を先程より丁寧に、思わずそこまでしなくてもいいと声をかけたくなるほどにする彼の背中を追いかける。
先程の場所に未だ居た2人のうちのぐちつぼと呼ばれていた人物にらっだぁが声をかける。
ら 「 つぼーら、ふク作ッて。 」
ぐ 「 服だぁー?…あー、分かった。 」
何故服なのか、というように不満げに声を上げてからこちらを見て、察したようだ。
ぐ 「 ん~~、はっ!これでどう?サイズとか、他の服にするとか。 」
み 「 ァ、エ、ナイ… 」
いきなり話しかけられて驚いて上手く答えられなかった…
ぐ 「 ん。わかった。んじゃ着せるよ~ 」
そして重力魔法を使い器用に死体を着替えさせる。
ぐ 「 やべ、ちょっとデカすぎたか…? 」
み 「 ンヤ、ダイジョブ… 」
再び死体を棺桶の中に戻し、先程と同じようにしてらっだぁについて行くと、今度は図書館の隣に着いた。
ら 「 ォはカ…、こコでぃイ? 」
確かに元々飼われていた小屋は嫌だし、それと変わって図書館はオレのいちばん大切な場所だ。
み 「 ウン、オネガイ。 」
ら 「 ワかたヨ。 」
そここらわずか10分で十分すぎるサイズの穴を掘り終えた。
らっだぁがすごい速度で豆腐のようにサクサクほっていくので、自分にも手伝えるかと思いそこら辺にあったスコップを重力魔法で使い、掘ってみると硬く、非常に重くてとてもそれ以上掘れそうになかった。
ら 「 ウめるヵら、ぼゥシいぃ? 」
み 「 …ウン。 」
帽子を手放すのに抵抗はあるが、これで良いんだ。
最後にオレの死体に帽子をかぶせ、しっかりと蓋をして再び土をかける。
らっだぁがふぅ、と息をついて居ると、先程の2人がやってきた。
「 らだぁ~、調子どうー? 」
ぐ 「 お、ここまで出来てるなら後は墓石だけじゃん。 」
だが、らっだぁはバツが悪そうにこちらを見てから、再び2人の方を見た。
ら 「 おレ、字ワかるジゃなィ… 」
成程、、らっだぁはオレが2人と気まずいだろうにオレ自分で墓石を書く訳には行かないので、2人に頼まなきゃいけないだろう、と思って謝罪してるのか…
まぁたしかに気まずい。
ここに閉じ込めてるわけだし。
まぁでも手段を選ぶ必要は無いと思ってる。
み 「 エト…、ドッチカ、書イテ、クダサイ… 」
「 いいよ!ちな俺ぺいんとね! 」
ぐ 「 俺はぐちつぼ、よろしく~ 」
そう2人は軽く自己紹介をし、墓石を書いてくれた。
途中名前を聞かれたが、オレは「 みどりいろ 」 が名前だと答えた。
きっと本当の名前はあるのだろうが…オレにとっては、これが本当の名前だ。
ぺ 「 よし!出来たー! 」
墓石を刺し終わり、これで終わりだと思った時にらっだぁに声をかけられた。
み 「 ン? 」
ら 「 ……コれ、 ん~、らっ! 」
そう言ってらっだぁが魔法を使うと、辺り一面が花畑になった。
ぐ 「 ちょ、お前また力加減ミスってんじゃねぇかよ! 」
み 「 ……綺麗。 」
久しぶりに心から、そう思った。
声が漏れていることにも気づかないまま、見とれていると、らっだぁがそのうちの数輪を墓に備えてくれた。
そして、1輪はオレに直接くれた。
み 「 …アリガトウ。 」
ぺ 「 いいってことよ!…って、眩し! 」
自分の体が光っていることに気づいた。
あぁ、成仏するのかな…?
まぁ、ここまでしてもらって悔いは無いとも言えるし。
ただ、できるなら、もっと一緒に――――
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