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颯斗side
俺には、いつも隣にいるやつがいた。
謙信。
背が高くて、顔も整ってて、
歩いてるだけで目立つくせに、
本人は全然気にしてない。
昼休み、屋上。
謙「颯斗、今日5時間目サボる?」
弁当の唐揚げつまみながら、さらっと言う。
颯「お前な、昨日もサボっただろ」
謙「バレてないし」
颯「そういう問題じゃねぇよ」
でも俺も行くんだけどな。
芝生の広がる公園。
制服のまま寝転がる。
謙「やっぱ外の方が気持ちいいわ」
颯「先生に見つかったら終わりだけどな」
謙「その時は一緒に怒られよ」
イヤホン半分こ。
颯「謙信ずっとこれ聞いてんの」
謙「うん、颯斗が教えてくれた曲だから」
颯「なんだそれ笑 よくあきないな」
肩が触れる距離。
風が吹くたび、謙信の前髪が揺れる。
ふと、横顔を見る。
……綺麗すぎんだろ。
謙「なに見てんの」
颯「別に」
謙「俺イケメン?」
颯「黙れ」
笑う声が近い。
その顔、ずっと見てられると思ってた。
放課後はよく近くの海に行った。
謙「競争な!」
颯「待てって!!」
結局俺が負ける。
謙「颯斗足遅っ」
颯「謙信が速すぎんだよ!」
夕方の海はオレンジ色で、
謙信のシルエットがやけに映える。
波打ち際ではしゃいで、靴濡らして。
謙「絶対怒られる」
颯「乾かせばバレない」
謙「颯斗適当すぎ」
砂浜に座って、息整える。
謙「なあ颯斗」
颯「ん?」
少し静かな声。
謙「俺ら、卒業しても一緒にいんのかな」
颯「は?なに急に当たり前だろ」
即答。
颯「なんで迷うんだよ」
謙信は少しだけ儚い顔をする。
謙「いや、なんとなく」
颯「お前さ、たまに変なこと言うよな」
謙「変かな」
颯「変」
でも。
その時の顔、少しだけ寂しそうだった。
俺は深く考えなかった。
隣にいるのが当たり前すぎて。
謙「将来さ」
颯「ん?」
謙「颯斗、なにすんの」
颯「まだ決めてない」
謙「そっか」
颯「謙信は?」
少し間が空く。
謙「……颯斗の隣」
颯「は?」
謙「冗談」
笑って誤魔化す。
颯「キモ笑笑笑」
謙「ひど笑笑笑」
でも、どこか本気っぽかった。
帰り道。
街灯の下。
謙「今日も楽しかったね」
颯「毎日楽しいでしょ」
謙「確かに」
謙「明日もサボる?」
颯「サボりすぎ」
謙「じゃあ放課後また海」
颯「また!?飽きないの?」
謙「颯斗となら飽きない」
なんだそれ。
颯「くっさ笑笑」
謙「素直に喜べよ」
笑い合う。
その時間がずっと続くと思ってた。
当たり前に。
疑いもしなかった。
あの頃の俺は、
隣にいる意味を、
ちゃんと考えたことなんてなかった。
ただ、
隣にいるのが普通だっただけだ。
でも今思う。
あの時の「なんとなく」の顔。
もっとちゃんと見てればよかったって。
それでも――
あの頃の俺たちは、
確かに、世界で一番笑ってた。
コメント
1件
わわわわ!!続きが気になりすぎます🥹🥹💖💖💖楽しみに待ってます🙇🏻♀️🙇🏻♀️