テラーノベル
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サブキャラの方でプレイしたり、お兄ちゃんのサポートを受けながら射撃訓練を繰り返した結果……ある程度、大きいのも使える様になりましたぁ!
とはいえ有名どころというか、プレイヤーが手を出しやすいモデル限定なのだが。
“6key”はM4? って名前の銃を中心に。
“46leather”に関しては、MP5という銃の……の更に小さいモデルを使って日々練習していた。
とはいえ、やっぱりハンドガンの方が好きなんだけど。
むしろ大きいヤツは、どうにか普通に戦おうとしてスコアも下がるけど。
ま、まぁうん……いざって時に使えるかどうかで、プレイの幅も広がると思う事にしよう。
まだまだ練習不足なので……ちょっとメイン武装には出来ないかなぁ。
あと銃の名前って非常に覚え辛い。
同じ名前なのに、番号が違うだけで全然形が違ったりするし。
カスタムされてパーツが変わっていたりすると、もう訳が分からない。
などとやっている内に、件のイベントが迫って来て。
「シロさんは、“キツネ狩り”参加するの? 特別フィールドみたいだし、事前申請すれば誰でも参加出来るけど。スコアが残せなくても、参加賞みたいなのも貰えるみたいだよ?」
黒沢君……今はクロさんか。
彼もまた、イベントが近付くにつれてどこかソワソワした様子を見せている。
というか、ガンサバイブオンライン全体がそんな雰囲気だと言っても良いのだろう。
公式ホームページでも、かなり大々的に宣伝しちゃってるしなぁ……。
本来賞金首を相手にすると、負けた場合に発生するデメリット。
アレ等はかなり軽減、というかイベント期間内限定に設定されるらしく、本当に賑やかしのお祭りって雰囲気が強い。
誰でも参加出来る上、話題に上がっていた賞金首に会えるかも!? なんて触れ込みの為……イベントに参加する意思を見せる者達が、そのお祭りで一人でも賞金首を仕留めるんだとやる気を漲らせている様で。
事前準備の為の武装パックとかも販売され、運営側は大層儲かっているんだそうです。
ヨカッタネー……ハ、ハハハ……。
「私は当日、ちょっと予定がありまして。残念だけど、一緒にはプレイ出来ないかなぁ……と。すみません」
「いやいや、リアルの用事なら仕方ないって! このゲームも始まったばかりだし、これからもイベントいっぱい来るだろうから。予定が合った時は一緒に参加してみようよ!」
「あ、はい。その時は、是非……お願いします」
嘘は言っていないけど、ちょっと心苦しい。
イベントには参加するけど私は餌役です、とは流石に言えない。
なので、本日も程々にストーリークエストを進め。
その後は射撃練習をしたり、ポイントを振り分ける相談をしてみたり。
段々とこっちのキャラも育って来た、けども。
未だにどういうプレイスタイルにするか決めていないので、結構ポイントを貯め込んでしまっているのだ。
キャラを育てるゲームなのに、身体能力は微妙にしか上がっていないという。
これに対して黒沢君も、「あんまり自分の身体から数字を離しすぎちゃっても扱い辛いから、ゆっくり選んで行けば良いんじゃない?」なんて言ってくれて、ずっと弱いままの私に付き合ってもらっているという。
なんだかそっちも申し訳ない気分になって来るが、でもなんというか……いいなぁ、マルチプレイって。
悩んだりしても相談できる相手が居るし、何より誰かと一緒にゲームしてるのが凄く楽しい。
役割を分けてお互いに助け合ったりっていう環境は、今までの私には無かったので。
そんな訳で、かなりまったりゆったりキャラクターを育てている状況なのだが。
「それじゃ、そろそろ終わりにしようか。いつも遅くまでごめんね?」
「い、いえ! こちらこそ、です! 毎回私に付き合わせちゃって、申し訳ないです……もっと強い人達と一緒にやりたければ、その時はちゃんと言って下さいね? その間、私は一人でもコツコツ進めてますので」
そう言ってからペコペコと必死で頭を下げてみれば、相手はちょっとだけ困った様に笑ってから。
いつも通り少しだけ雑談した後、そのままログアウトしていった。
これもまた、変化の一つ。
普通の学生は、これくらいの時間にゲームを終わらせるんだなぁっていう……ある種、常識みたいなものが身に付いた気がする。
まぁ私の場合は、これからメインキャラの方で練習が待ってるんだけど。
あんまり放置しちゃって、身体の感覚が追い付かなくなっちゃうのも怖いので。
「……よしっ! 皆楽しみにしてるみたいだし……私も、頑張ってお仕事しないと!」
フンスッと拳を握り締めてから、こちらもまたログアウト。
イベントが近い事もあって、お兄ちゃんが帰って来る時間はまた遅くなってしまったけども。
夕飯、というか夜食とかを作ってから、今度は違うキャラでログインだ!
◆
それからまたしばらくして……ついに、イベント当日がやってきた。
専用のイベント会場、とか言いつつ新規フィールドマップの先行お披露目を行うらしく。
参加するプレイヤー達は、全員新しい“街”に転送されて来る。
続々と増え続ける参加者の数字にゾッとしながらも、賞金首専用? の豪華なホテル内で此方も準備を開始。
運営側から送られて来たアイテムをコンバートして、一旦全てをベッドの上に並べてみれば。
「今回は……結構、多いね」
『どうしたって長期戦になるからな。これでも足りないぐらいだが……最初から重装備じゃ、お前のスタイルに合わないだろ?』
「ん、まぁ……あんまり欲張って装備しても、動きが遅くなって逆にやられちゃいそう」
前回より、明らかにマガジンの量が多い。
もはや腰一周しちゃうよってくらいに装備していくが……あれ? 爆発物が無い。
「お兄ちゃん、手榴弾は?」
『こらー、イベントの注意点はちゃんと目を通せー? このフィールド、一般人がとにかく多いって書いてあっただろうが。そんな所で爆発物なんぞ使えるかっての。ルール上問題は無いんだけど、運営を代表する側がNPCを狩りまくってたら印象悪いだろうが。今回はハンドガンのみ、なるべく人混みでの派手な戦闘は避けろよ? ペナルティも強化されてるからな』
おっと……そこは、見落としていた。
へーNPC多いんだぁ~賑わってる街なんだね~くらいに思っていた私、本当に馬鹿。
だからこそ人気の無い所へと移動してからの戦闘、逆にエリア移動は徹底的にNPCに紛れて。
多分コレが、今回のイベントの鍵になる事だろう。
何たって、イベント時間がキッチリ二時間もあるし。
つまりその間、私達賞金首は……周囲のプレイヤー全てから狙われ続けるという状況。
集中力が切れたり、賞金首本人の都合で続行が不可能な場合のみ、公衆電話やホテルなどのセーフエリアへの逃げ込み可。
それ以外は可能な限り姿を晒し続ける事、だそうです。
まぁユーザーを楽しませる為だけのイベントだもんね。
景品となっている私達が、他のプレイヤーから手が出せない所で時間を潰したのでは意味が無い。
なので現実側のトラブルとか、もしくはトイレとか。
そういうのじゃない限りは、街中を移動し続けろという指示が出ているのだ。
「二時間かぁ……他の賞金首は、皆こういうのに慣れてるのかなぁ……」
『“seven”に関しては、滅茶苦茶乗り気だったな。むしろ延長を申し出たらしい』
げ、元気だなぁ……あの女の人。
でもこの言い方だと、他の面々はちょっと渋い反応だったのかな?
だが考えてみれば当たり前だ。
ゲームで言う二時間なんてあっと言う間だけど、その間一切気が抜けない状態なんて言われたら……それはもう、精神的にも体力的にもかなりの負担になるだろう。
その代わり、今回のお仕事はお給料も凄く良いけど。
学生でこんなに貰っちゃって良いの? と思うくらいには。
などと考えつつも防弾スーツを確認してから、飛び出すナイフをポケットに。
あると便利だけど、ずっと必要な訳じゃないので小さいもので十分。
最後に、今のところ賞金首専用? のハンドガンをチェック。
相も変わらぬ、格好良いカスタム仕様。
お兄ちゃんからモデルガンを貰って、暇があれば手遊びの様にカチャカチャ弄ってはいるのだが。
不思議な事に、全然飽きない。
そしてそして、ゲーム内ではやはり感覚も変わって来るというもので。
「やっぱり“こっち”だと、凄く手に馴染む……」
『元々その銃は、グリップが太いって不評の声があるくらいだからな。リアルのお前には……ちょっと全体的にデカすぎるだろう』
へぇ、そうなんだ?
確かに現実の私だと、グリップどころか全てが大きいので良く分からないけど。
でも“6key”のアバターなら、物凄いフィット感。
手がでっかい人は良いよね、こんなにもガッシリ掴めるんだから。
などと思いながらも、今回はソレを二丁。
脇の下と、腰の後ろに装備した。
『調子に乗って二丁拳銃でぶっ放したりするなよ?』
「アレ、やってみたけど無理。ちゃんと両手で構えないと、全然当たらない」
『それで良い、あくまでも落とした時の予備だからな。リロードが間に合わない時も、迷わず使え』
という事で、私に関しては準備完了。
他のアイテムはインベントリに戻してから、あとはイベント開始時間を待つだけとなったのだが……。
『分かってるとは思うが、今回は街中に賞金首全員が一斉に放たれる。だからそこら中で戦闘が勃発する可能性があるが……お互いに、助けようとしなくて良い。敵ではないが、仲間って設定でもないからな』
「あ、うん……ゲーム設定では、殺し屋業界の人達から狙われちゃう“ヤバい人達”って感じなんだよね? 確かにそんなのが協力し合ってたら、何かおかしいかも」
『あとは単純に賞金首全員が一か所に集まる事を避ける為だな。そんな事になったら、フィールド内のプレイヤーが全部押し寄せて祭りどころじゃなくなる』
た、確かに……それはちょっと地獄絵図になるのかもしれない。
賞金首同士なら、フレンドみたいに頭の上に名前が表示されるって言っていたし。
多分一目見ただけで分かる事だろう。
とはいえ、見かけたらすぐ別の場所へ移動した方が良いって事だよね。
これだけは、ちゃんと頭に入れておかないと。
せっかくのイベントなのに、プレイヤーがギュウギュウ詰めになって身動きが取れません。なんて状況じゃ、ユーザーだって私達だって面白くないもんね。
『今回は俺も徹底的にサポートするかなら? それこそ、“運営側の特権”ってヤツで。あまりにも敵の数が多過ぎる、それくらいのハンデは許して貰わないとな。とはいえ、制限も掛けられてるから、潜んでるプレイヤーまで分かる訳じゃない。あくまでもお前を中心に、第三者からの監視役が付いた程度に思ってくれ』
「それだけでも充分だよ。どんな状況になるのか分からないけど、すぐに相談出来る相手が居るだけでも凄く助かる」
そう言葉にしてから、大きく息を吸い込んだ。
さぁ、いよいよガンサバのお仕事二件目だ。
この為だけに作った“6key”というキャラクター。
だったら、活躍出来そうな所では精一杯頑張らないと。
鏡に映る自分をチラッと見てみれば、やはりどこまでも冷静そうなおじさんフェイス。
うーむ、ここ最近普通にゲームとしてやっていたのが別のキャラだったから、ちょっとだけ違和感があるけど。
でも、大丈夫。
少し体を動かせば、感覚が馴染んだのが分かる。
平気、平気だ。
私はまた、このキャラクターでちゃんと戦える。
ちゃんとやって、お兄ちゃんのお仕事を手伝わないと。
『そろそろ時間だ、準備は良いか?』
「ん、いつでもオッケーです」
ふぅ、と短い息を零してから……瞼を下ろした。
始めよう。
今回は失敗が許されない訳じゃない、とにかく時間内全力で戦えば良いだけ。
だから気負うな、いつも通りにやれ。
これはゲーム。
ゲームは楽しむものだって、楽しんで良いんだって最初に教わったのだから。
『大丈夫だ、夢月。お前は強い、マジですげぇプレイヤーだよ。だからいつも通り、な? 楽しめ』
「うん、分かった……頑張るね。それに、ちゃんと“楽しむ”。お兄ちゃんにそう教わってるから」
『おう、それじゃ……思いっ切り暴れて来い、イベント開始だ!』
兄の言葉と共に、私のキャラクターは新フィールドへと転送されるのであった。
とにかく二時間、生き残る事だけを考えよう。
#魔界
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