マコト視点
ボクはマコト。
…世間からすれば「普通ではない」「少数派」と言われるような男の子だ。
…まず、ボクが「女性らしい格好や行動」をする事。そして、ボクがゲイである事だ。そのせいで、学校中で噂を広められていじめを受けている。
家族にはカミングアウトした。両親は受け入れてくれた。でも、1歳上の姉は「気持ち悪い」と言って、受け入れてくれなかった。
口を聞いてくれなくなったわけじゃない。けど、物を捨てたり、叩いてきたりと、身体的にも精神的にも苦しい嫌がらせを受けるようになってしまった。
そんなボクには好きな人がいる。
幼馴染のジュンヤだ。ジュンヤは表ではおふざけばかりしているけど、根っこはすごく優しいんだ。
…けど、叶わないと思う。
まず、男同士だから。
それに、ジュンヤに好きな人がいるかを聞いてみたら、「いる」って言ってた。…けど、きっとボクじゃない。ボクにそういう目を向けたことがなかった。ボクがジュンヤに向けているような目をしていなかった。
だからジュンヤ好きな人はボクじゃない。そう感じた。
なんだか憂鬱な毎日を過ごしている。今日もいじめられて憂鬱な1日だった。
ピコンっ
…?ボクは携帯を見た。…ジュンヤからだ!!
ジュンヤはここ最近、いつも夜8時くらいにボクにLINEを送ってくる。それが心強くて仕方がない。
ボク達はやり取りを繰り広げた。
《ジュンヤ:【なあ、ビデオ通話しない?】マコト:【うん!】》
…電話が終わった。しばらく顔を見ていなかったので、いつもの白けた顔が変わっていなくて安心した。
マコト:「ああ、楽しかったなぁ…やっぱ好きだなぁ…」こんな気持ちが、愚かしく感じて仕方がなかった。
ジュンヤにとっては迷惑かもしれない気持ちなのに…
知佳:「誰のことを好きって?」
…!
いつの間にか、姉が部屋にいた。
体が化石みたいに固まってしまうようだった。
マコト:「い、いや、アイドルの話だよ。」
ボクは何とか言い訳をして取り繕った。
知佳:「ふーん」
姉はわざとらしくそう言い、ボクを汚れたものを見るような目で見つめてきた。
ボクにはこういう時に笑うことしか取り柄がなかった。
…ジュンヤにはバレてほしくないな。
バレてたらどうしよう、ボクの感情も、ジュンヤに会えない時の寂しさも、それが埋まらないことだって。
心がきゅうってしてクラクラしそうだ。
叶うはずのない恋心に、こんなこと願ったら駄目なのに「可愛くなりたい」と思う自分がいる事に、ボクはいつまで苦しめばいいんだろう…?
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