ジュンヤside
…俺はジュンヤ。
両親は共にノンバイナリーだ。
ただ、父さんと母さんって呼んでもいいと言われているので呼び方は何ら変わらない。
そんな俺はパンセクシュアルで、好きな人もいる。
幼馴染のマコトだ。マコトはいつも可愛いし、明るいし、心優しい。
けど、最近マコトの様子がおかしい。何かと元気がなさそうだし、同級生にも何か言われているようだ。俺が事情を聞こうとしても、「大丈夫」と言われる。
…もしも何も気にせずに今日眠って、明日が来た時にマコトがいなくなったら?
…そうなれば、もう朝起きる理由が見つからなくなる。そんな朝が来たらどうする?最近はそんな不安が頭をよぎって寝られない。
俺はマコトにLINEをした。
…しばらくして、返事が返ってきた。通知音がうるさく鳴る。
…俺たちはビデオ通話で楽しい時間を過ごした。
ジュンヤ:「また明日な。」
マコト:「また明日ね。」
…マコトと話せた喜びもあるが、それよりも先に、「マコトが無事でよかった」という安堵がきた。
次の日
放課後、俺はマコトのクラスに遊びに行く事にした。マコトの様子見も兼ねて。
マコト、元気にしてるかな?俺はそう思いながら、教室の中を見た。
教室の中には、マコト1人だ。
…机を拭いている。俺は少し不審に思って、バレないように近づいてみた。
ジュンヤ:「…!?」
…机の上には罵詈雑言の嵐だった。
マコトが泣きながらその机を拭いているという事は、マコトの机で間違いないのだろう。
罵詈雑言の中には、「ホモ」「オカマ」「男好き」「男女」「キモい」「死ね」など、見るに堪えないものもあった。
…マコトは知られたくなかったんだ、この現状を。
俺に知られたくなかったんだ。俺は、またバレないように教室を去った。
マコト:「誰?誰かいた…!?もしかして、ジュンヤ…?」
…知ってしまった。マコトにとって一番知られたくないであろう事を。
ジュンヤの「母親」:「ジュンヤ、何かあったの?」
ジュンヤ:「…うん、ちょっとマコトが心配でさ…」
ジュンヤの「父親」:「マコト君、何かあったの?」
ジュンヤ:「…父さんと母さんに出来ることなら言いたいんだけど…あまりみんなに心配かけたくないからさ。」
ジュンヤの「母親」:「…無理だけはしないでね。」
母さんが心配そうに言った。父さんも心配そうな顔をしている。
ジュンヤ:「…2人とも、ありがとう。」
マコトの前で、今日あったこの事を取り繕えるかな?
本当はそれどころじゃ無いけど、マコトの前では笑顔でいなきゃ。
俺も変に心配かけたく無いし、大切なものを壊したく無いから。大好きなマコトの為だから。
俺はマコトの幸せを一番に願っている。
マコトも、俺に余計な心配をかけたくないのかもしれない。
…今の俺は底なしの孤独にいるみたいだ。
多分、マコトとは両思いになれない。マコトが俺のことを好きかどうかわからない。
さっき教室にいたのが俺だってバレたら嫌われるだろうな、きっと…
ジュンヤ:「う〜…どうしろっていうんだよ…どうすればマコトを救えるんだよ…!」
心臓がギュッと掴まれたみたいで、俺はぐらりと倒れそうになった。
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