グロ(?)表現ありお気をつけください
──────いえもん視点──────
俺はガンマスさんの言葉に衝撃を受け、思考が数秒フリーズする。ガンマスさんが放った言葉は信じ難い事だったからだ。しかし、何度も願ったことがあるのは確かで、望んでいたことでもあった。
思考が停止した脳を無理に動かし、さっきの言葉の真意を探る。しかし、その言葉はどこをどう切ってもそのままの意味にしかならない。
俺は深呼吸をして自分を落ち着かせるように言い聞かせてから、さっきのガンマスさんの言葉をオウムのように繰り返す。
「『人外になればいい』ってどういうことですか?」
ガンマスさんがきょとんと首をかしげ、不思議そうな顔を紙で表現する。しかし、その表情になりたいのは俺の方だ。突然前触れもなく非現実的な事を言われ、理解できるほど俺の頭は柔軟に出来ていない。
「そのままの意味ですよ?だって人間が嫌いなんでしょう?」
図星である。この情報はどこでゲットしたのだろうか…と言ってもこの情報はおそらくれいまりさんから聞いたのだろう。もしくしは俺が分かりやすく反応してしまっていたのかもしれない。最近はポーカーフェイスとか言いつつも表情がたるんでいる自覚がある。気をつけようとあらためて思う瞬間だった。なんてガンマスさんに言われたことをまともに考えないで現実逃避を始める
「なんで戸惑う必要があるんですか?人間でいる必要はありますかね?」
ガンマスさんの紙に付いている表情が突然無機質なものに見えてくる(実際無機質なものではあるのだが)。しかし、声には高圧的なものと納得せざるを得ないほどのすごみが含まれている。忘れていたが、森の長という立場は、予測にはなるがなかなか地位が高い人(?)なのだろう。彼のカリスマ性が垣間見れる瞬間とも言える。
それに彼の言うことは最もだった。実際、人間だから身体能力も低いし、戦闘面でこれといった活躍はしていない。それに人間は嫌いだし、人間である自分も嫌いだったはずだ。なら、なぜ躊躇ってしまうのだろうか。なぜ声が出ないのだろうか。
そんな俺を見かねたのか、ガンマスさんが手を差し伸べてくる
「私ならあなたを人外にできます。人間という束縛から離すこともできます。どうです?手を取ってみませんか?」
彼の差しのべる手には魅せられる『何か』がある。怪しくも、何か惹き付けられるような…そんな不思議な力を感じた。
…人外になったらみんなから認められる
そんな言葉が脳内でリピートされる。甘美なまでのその誘いは俺の脳内に直接響いているようなそんな感覚だった。
その手を取ろうとする。だが、その直後、俺の記憶をさかのぼるようにいつの日かの光景が俺の脳内で鮮明に思い出す。
…人間であっても楽しく、親しげに話してくれていためめ村の皆は嘘だったのだろうか?少なくとも、直接好きでは無いと伝えてきたのはルカひなくらいだった。それ以外の人も嫌いだったのだろうか。──────少なくとも俺には偽物の笑顔には見えなかった。それに、人外になるのは本当にみんなに嫌われていると確証を得てからにしても遅くは無い。別に、急いで人外になる必要性はない。それに、俺はまだ強くなれる。強くなれる方法がある。俺はまだ、絶望しきってはいないのだ。
「…ガンマスさん。素晴らしい提案ですが、この提案は一旦水に流すことにします」
「は?なんでですか?このままだと嫌われるんですよ?見放されるんですよ?」
獲物を追い詰めるようにただ淡々としかし少しイラつきながら、語気を強めて話しかけてくる。そんなに人外になって欲しかったのだろうか?しかし、俺の決断は揺るがなかった。
「俺はまだ全員に嫌われているとは思っていません。まだ、俺には強くなる手段も方法もあります。なので俺は大丈夫です。俺個人としては人間は嫌いですが、人を好いている人外もいるようなので」
ここまで俺がはっきり言うと、ガンマスさんが狂ったように笑い出す
「あッははははッッ!!!………はぁ…」
突然笑い出したかと思うと、突然静かになってギロリと睨みつけてくる。顔を隠していた紙がドロリと溶け、その顔があらわになる。
その顔はドロリと濁っており、黒く、底が計り知れない『闇』にも見えた。
そして、ガンマスさんもどきは溶けだしている指を俺に向けながらぼそりとつぶやく
「あと少しで堕とせたのに…ッッ!!」
その溶けだした身体…ガンマスさんだったものは、身体をぐにょりと変え見覚えがある姿になっていく。
ショートカットヘアの髪型にあの人外ハンターの象徴でもあるフード付きのマント…いわゆるローブを羽織っている。その姿はぐさおさんの姿に酷似していた。しかし、色がおかしい。
闇を彷彿とさせる黒く、禍々しい髪色、純白のローブではなく、純黒のローブをはおり、彼女とは対象的な姿だった。フードを取っているが、その顔は溶けだしていて、顔を視認することはできない。
それはそのまま地面へと溶け込み、何事も無かったかのようにその場から居なくなる。
いなくなった瞬間俺の心臓は大きくドクリとはねる。さっきまで話していたガンマスさんはガンマスさんではなかったのだ。そんな事実が恐怖となって俺に差し迫る。
「嘘だろおい…」
無意識に出た言葉ではあったが、そんな一言では言い表せない恐怖が今更ながら俺を蝕んでいく。恐怖のせいなのだろうか空間が歪んで見えてくる。そう思っていた瞬間、それは幻覚ではなく現実であることが数度瞬きしたことによって判明される。それを認識する以前から部屋…というより空間はドロリと溶けだしてきている。
──────壊れる。これは現実であると再度認識する。そう判断できるほど、その部屋は闇のように黒く、無機質で、粘着質がある水のように溶けだしている。
逃げなければと思った時には手遅れで、ドアは既に溶けきっていて使い物にならないことは一目瞭然だった。脱出は不可能のようで、何も出来ないことがわかると残るのはただただ無力感と絶望感だった。
人外になるかならないか、そのどちらを選んでもどうせ結末は同じだったのだろう。俺はその崩れていく空間に沈み始める。最後はこの空間と一体となって溶けていくのだろうか。なんて既に思考は負の方に侵食されている。そんなことに気づいても意味は無いが…。段々と段々と思考がおぼろげになっていく。
そのまま俺の身体は空間の闇へと沈み始めた。
ここで切ります!クライマックスみたいな流れでしたが安心してください!死にはしません!安心してください!!予定していた展開とは変わってしまいましたが、結果はだいたい同じ?なのでいいです!ぐさおさん要素もちょくちょく入れたかったので入れられて良かったです!
見直しをすると文章が長くなるんですね…既に3000文字近いです。時間と見直しがあればもっといい作品がかけると痛感しました…。
さて!そんなこんなでーおつはる!
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目に見えるものが真実とは限らない