テラーノベル
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悠香 @ギザ歯教
MIRAN@また新作だすかも?
──────メテヲさん視点──────
「───やめっ!」
その一言でメテヲははっと辺りを見渡す。と、同時に様々な情報がメテヲを駆け巡る。強く握りしめて血が滲んだ木刀。上がり続けている心拍数と体温。全身から吹き出す汗。目眩と動悸が止まらない。けど、メテヲには傷一つなかった。なぜ、汗をかいているのか。なぜ、呼吸が荒いのか。どうして、こんなにも強く木刀を握りしめているのか。それは、疲れたからなのか?メテヲは汗でべったり顔に着いた前髪の隙間から、目の前をぼやける視界で覗き込む。
───沢山の天使に囲まれた血だらけの…悪魔…?
遠くから聞こえる慌ただしい大人の声。メテヲはなにかの布に包まれて身動きが取れなくされる。別に、取れないこともなかったが全身に力が入らなかった。肉体的に動けない訳じゃない。なぜだか心臓がバクバクとして指が震えて、全身で動くことを、現実を直視することを脳が、全身が拒否していた。
目を覚ました時には病院のベッドの上だった。メテヲが起きたとたん医療班が駆けつけてきて何重にも魔法をかけられて、質問攻めを受けた。けれど、メテヲは何があったか何も覚えていなかった。魔法部隊が駆けつけて、メテヲに記憶がもどる魔法をかけてきたが、それでも戻ることはなかった。その後、魔法の専門家であるお母様が来てくださったけど、脳にロックがかかっているらしく、結局思い出すことは叶わなかった。そうして、何も思い出せないままメテヲは病院で一夜を過ごした。
その日から、お父様はメテヲに厳しく接するようになった。何においても完璧を求め始め、天使と悪魔の統率の方法や、相手の支配の仕方など、今まで習わなかったことも教わるようになった。お母様に助けを求めても、無言で拒絶されるだけだった。だから、メテヲはガン兄に助けを求めに行った。
「ガン兄!助けてぇ〜!」
メテヲはいつものようにガン兄の部屋に無断で訪れて、泣きつきに来た。いつも、なんだかんだ甘やかしてくれて、悩みへ助言をくれる。そんないつも通りのことをしようとしただけのはずだった。
バチンッ
高らかな音が鳴る。その音がなった場所はメテヲの頬でなぜ頬からそんな音が鳴ったかといえば、それはガン兄が思いっきりメテヲの頬を叩いたからだった。
「…え?」
メテヲはじんじんと痛む頬を撫でる。痛い。本当に痛い。気のせいじゃなかった。メテヲは、ガン兄に叩かれた。叩かれた。思いっきり。え、え?
痛みよりも、恐怖よりも、現実が理解できなかった。何が起きたか頭が処理できなかった。メテヲは助けを求めるようにガン兄を見つめる。けれど、そこに普段の笑みはなかった。いつもはしまっている2対の羽を伸ばし、角を鋭く伸ばし、光輪はぐちゃりと歪んでいた。あの時見た、あの美しさは感じられない。全てが激情の色へと染まったそれは相手に恐怖を抱かせるために、威嚇しているようにも見た。
「───良く、来れたよね。俺の部屋に」
「…ぁ、な、に?」
メテヲはその気迫に押し負けて、後ろに倒れ込む。いつもは慰めの場所が今では裁かれるかのような緊張感の溢れる空間へと変わっていた。
「…楽しい?俺の立場を取って。俺の信頼を取って。俺を、叩きのめして…。」
そう言って、ガン兄はメテヲに詰め寄る。その姿は到底天使には見えず、悪魔に偏った姿になっていた。
「な、なんのこと…?そんなこと、メテヲしてな───」
メテヲが必死にその誤解を解こうとするが、そんなことに聞く耳を持たずにガン兄はメテヲに詰め寄って来る。とうとうメテヲの胸ぐらをつかみ、メテヲを掴みあげた。首元が締め付けられ、喉が詰まる感覚。息をしないメテヲたちにはそんなの意味がないと言うのに、わかっていてもパニックになる脳内は沈められそうになかった。
「あぁ、メテヲがここに来なければ幸せな夢のまま終わらせてあげたのに。忘れさせてあげたのに。これは夢から覚めようとしたメテヲが悪いよね?」
そういいながら、ガン兄は片手でメテヲを掴みあげながらもう片方の手で自身の目を覆う布を取る。───その瞳はいつも通り、とは言えなかった。いつものように深紅の瞳は変わらない。けれど、その中心に宿る光がどす黒くなっており、その瞳からは黒い涙が流れ続けていた。そして、目元の近くには青いアザがいくつもあり、痛々しかった。
「昨日のこと、忘れてたでしょ?それ、俺のおかげなんだ。メテヲ、お前が俺にこの傷跡を残したんだよ?俺、負けたんだよ、お前に。そのせいで当主の座が無くなったんだ。───そのせいで、俺の友達は全員離れたんだよっっ!!」
メテヲは初めて見た。ガン兄が感情のままに怒るさまを。怖かった。けど、それ以上に罪悪感に苛まれてどうしようもなかった。メテヲの体は震えっぱなしで抵抗なんてできなかった。その態度が、ガン兄をより刺激したらしい。先程よりも黒い涙を辺りに散らしながら、それには目もくれずメテヲを批難し続けた。
「なんでっ!!お前が、お前がもう少し生まれるのが早ければ!!俺はあんな重圧に潰される必要なんてなかったのに…っ!!お前が生まれなければっ!やっと報われそうだったのに!どうして、どうして俺から愛情を奪うんだよ!!十分お前にも分けてあげただろ…!?」
「わけ…っわけわかんないよ!!そんなこと言われてもメテヲは知らないよ!!そもそもなんの話!?冷静になってよガン兄!!」
メテヲがそう叫ぶとガン兄はメテヲを思いっきり壁に投げつけてくる。初めて、メテヲはモノ扱いをされて、そして兄に投げられた。受身を取ることもできず壁にぶつかり、全身に痛みが走る。が、気絶することはないし、それ以上の痛みを感じることもなかった。それは、ひとえにガン兄とメテヲの間に筋力と魔力に大きな差があることを示していた。
その時、初めて気づいた。メテヲは、ガン兄よりもずっと、ずっと強かったのだと。ガン兄は投げ飛ばしたメテヲに向かって大股で1歩、1歩着実に近づいてくる。手には鋭い剣を握っていた。そして、その切っ先をメテヲに向けて怒りで体を震わしながら狙いを定めてくる。
「俺をガン兄なんて呼ぶな!!馴れ馴れしいんだ!何でもかんでも俺に頼りやがって!疲れるんだ!俺より何もしてないくせに才能で全てをねじ伏せるお前が嫌いだったんだよ!!……勘弁してくれよ…っ!あと何百何千何万年…っどれくらいこの苦痛に耐えればいいんだ…!!」
それが、ガン兄の本心なのだと悟った。だって、その言葉を話す時だけ、ガン兄の目からは透明の涙が流れていたから。メテヲは、とっくの昔に嫌われていたらしい。その事実の衝撃でメテヲは動けなかった。
ガン兄はそれでも容赦なんてなく、剣を握りしめたまま、こちらに走って特攻してくる。
どうして、メテヲはずっとみんなから愛されてると思っていたんだろうか?どうして、仲良くできなかったんだろう?どうして、みんな人が変わったようにメテヲを責め立てるのか。どうして、どうして?疑問が絶えないメテヲの一寸先には既に剣が届いていた。
ここで切ります!皆様お久しぶりです仲春です!本日より小説の毎日投稿を再開します!また、並行してギフト国家もあげていきますのでぜひ応援よろしくお願いします!また、そろそろフォロワー様が800人達成ということで!何をしようか考え途中です。また、メテヲさんの物語が想像以上に短くなりそうです。まだ次の表紙描いてない…。ちょい駆け足になりますが、どうぞよろしくお願いします。新作を沢山書きたいのに時間がない…!!ネタはあるのに…!!
それでは!おつはる!
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透明の涙ガン笑