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放課後の教室に残って、勉強会をすることはなくなった。
なぜなら私は、仲いいグループで遊びに行くからだ。
「花織、勉強してもテストの点悪かったくないー?」
「それなー。今回まじどしたー?」
クレープをみんなでかじりながら話す。
「実はね…。」
こっそりみんなに、放課後の話をする。
「「ええぇぇぇぇ!?」」
「ちょ、うるせーよ。んで、進展は?」
女子陣の声を遮って、翼が聞いてきた。
「進展…?」
とは…?
途端にみんな目を丸くする。
「ドキッとすることあったーとか、告白されたーとか、ねーの?」
すごく真剣な眼差しでそう言って私を見つめてくる翼。
そんな翼に笑いがこみ上げてきてしまう。
「あははっ、そんなのあるわけないじゃーん!たまたま居合わせて教えてもらっただけだから!」
そう言って翼の肩をべしべし叩く。
「それなら、いいけど…。」
「「え。」」
翼の返事を聞いた女子陣は顔を見合わせた。
「花織モテてんのうらやましー。」
さっきまでずっと黙ってた風雅が言った。
「花織?何でも相談してね、うちら友達でしょ!」
「そうだよ!うちらで女子会やろ!」
結とさらが私に肩を組んできてそう言った。
「うん!」
何も考えずにそう元気よく返事をした。
テストが終わってから、僕との時間はなくなった。
僕に興味は全くないのか、クラスで話しかけられることもなければ、放課後に連絡もくれない。
僕から近づこうにも、邪魔が入る。
「あ、翼くん。」
「いいんちょーじゃん。」
「浅田さん知らない?」
「花織がどーかした?」
「渡したいものがあって…。」
僕とそう身長が変わらないはずなのに、なぜかいつも圧を感じる翼くん。
「今日俺の家泊まりに来るから、渡しておくよ。」
「えっとー、ノートなんだけど、お願いするね。」
「ん。」
二人で泊まるわけでもないのに、あえて勘違いしそうな言葉選びだった。
この言葉のトゲの正体は、なんとなく察している。
『邪魔だな…。』
彼の後ろ姿を眺めながら、小さくつぶやいた。