テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#幼なじみ
#オリジナル
Butterfl Flower🦋
✔全3章
✔この小説はある人に向けて書かれたものです
✔この小説はフィクションです
────────────────────
おはようございます!こんにちは!私、じゅんは花屋のバイトやってます!このバイトは楽しいです。蝶の細工がされたお花を売る仕事です。蝶のように美しくその見た目はもう蝶そのもの!1番人気はモルフォフラワーです。ただ、蝶の遺伝子が混ざっており、蝶の毒粉も再現されていて食用注意とのことです。もしたくさん食べたり、吸ったりすると「バタフライフラワーの病」といって口から蝶の羽が吐き出されたり、呼吸困難に陥るなど危険な病も引き起こすため、購入は一人一本と義務付けられています。
「じゅんちゃん、このアゲハフラワー売ってきてくれる?」
「はい!分かりました!」
このバイトは楽しい。美しい花を売れること、人と話せること、何より花言葉がどれも素敵!この一番モルフォフラワーだって花言葉は…
「このモルフォフラワー、永遠の愛って花言葉なんだー!素敵だね!」
「そうでしょう?!見た目も美しくて当店一番人気なんですよ〜!一本如何?」
「買ってみようかな〜おかあさ〜ん」
モルフォフラワーを丁寧に慎重に包み、リボンを結んで会計を通し、お客様に渡す。モルフォフラワーの絵柄に合わせた包み紙を用意しているあたりこの店のこだわりだろう。
「ねぇあの人…」
「場違いよね…」
「いらっしゃいませー♪」
深めのキャップ帽子とツギハギの全身服。靴下を履いていない。明らかにその姿はみすぼらしくこのキラキラしたバタフライフラワーのお店には浮いている。じゅんは半分追い出す気持ちでさっさと接客しようとして声をかけた。
「お客様、何をお探しですか?」
「花言葉で”もう離さない”って言葉のお花ありますか?」
「ちょっとないかもですねぇ〜…」
「そうですか。また来ます。新入荷したらチラシ配ってください。よろしくお願いします」
青年は意外にも礼儀正しくお礼とお辞儀をし、お店を出ていった。追い出す気持ちでいたのが申し訳なく思う。
〜中学生の頃〜
「じゅんこ、お前のあだ名ー」
「なんでこが付くんだよ?」
「なんとなーく。やーいじゅんこじゅんこー」
「何回も言うな!待てコラァ!」
小さい頃、今から10年以上も前の話。中学生の頃はJというちょっと変わった子がいた。名前でいじってきて楽しむやつ。最初はいじめを疑ったが、何となくの気配でこいつは悪いやつじゃないと感じた。卒業式の日、みんなが帰り際私は気づかないふりをしていた。彼の視線に。
懐かしい。何で彼の事を思い出すんだろう?あいつ元気にしてるかなぁ。私は新開発のお花売ってますよって言ったら興味惹かれるかな?あいつにはカラスアゲハフラワーが似合うかなぁ。花言葉は「探し求めて」♪まぁ見た目で選んでるけどね。
────────────────────
あー…今日も買えなかった。あの店員さん狙ってんのになぁー。今日も殴られるな。父さんがいなくなって変な奴らに絡まれやすくなった。母さんは病気で治療薬が必要だし、入院してるしで家の管理ほぼ俺だもんな。あの店員さん、じゅんっていったか。中学のあいつと顔も名前もそっくりとか運命かよ。俺はロマンチストでね。「もう離さない」と言ってあの店員さんにお花を渡してプロポーズ、なんて考えしてたんだがそもそもその花言葉の花がないって現実には迂闊だったわ。
「おーいJ、今日も花屋に行ってきたのか?毎度ボーナス時間をあんな醜いブスのために使うなんてな」
「醜くない。いつも明るくてハキハキしてて可愛いだろ」
「そうかぁ?まぁいいや。俺達が渡した金で何買おうとしたのか聞いていいかなあ?」
「へっ。誰がパシリなんかやるか」
「殺れ」
────────────────────
カー…カー…カラスのなく声が夕方を鳴らす。まるで鐘みたいに。花屋でバイトしていたじゅんだが、バイトが終わり、マフラーを巻いて帰る。今日はなんとなく遠回りしながら帰ろうと思って徒歩で帰ることにした。この店から我が家まで30分とそう遠くはない。ふと、路地裏の隙間を見つけ、そこで何か音が聞こえるような…。念の為パトカーの音を持って奥の道へ進む。すると一人の青年が何人もの男たちに殴られていた。じゅんはすかさずパトカーの音を鳴らし、男たちを追い払う。
「チっ警察か。今日はこのへんにしといてやる!」
「明日もだろ…」
男たちが全員去るのを確認してから殴られていた青年の近くに寄る。オレンジ色の深めのキャップ、ツギハギだらけの全身服、裸足。この子は昼間に見たお花屋に来ていたあの青年だ。
「大丈夫ですか?」
「警察は?」
「すみません、私が音出しただけです。それよりも怪我…」
顔に触れようとするとパシッと手を払われる。女に情けをかけられるなんて男として情けない、とでも思っているのだろうか。青年はよろめきながら立ち、そのまま走って立ち去った。
ん?
パシッと振り払われた手に何か…
「モンシロフラワー…?」
花言葉は”ありがとう”だ。当然突然のこと過ぎてじゅんは気づかなかった。以前からあの花屋に来ていた常連なのだろうか?そういえば名前聞くの忘れたな…。
────────────────────
あのみすぼらしい青年は朝から不良に呼びつけられていた。
「やっと来たな。待たせんじゃねーよ」
「なんだよこんな朝から」
「お前の父さんが残した借金、消せるかもしれねーって」
「…何でそのことを。誰にも言ってないはず」
「ちょお〜とお前のこと調べたんだよ。警察に聞いたんだ」
プライバシーどうなってんだよ。所詮は警察か。てか借金を帳消しに?嫌な予感しかしない。絶対連帯責任保証人だろ。
「驚け!あの醜い女の名前を借りろ」
「…連帯責任保証人じゃないか。嫌に決まってる」
「じゃあ俺が勝手に書くけどいいのかなあ?」
「お前にその度胸あんの?」
「…ない。けど、ある」
一応それっぽい空気は出しとくけどこいつあの子の名前知らないんだよな。じゅん、中学生の頃の同級生。ロマンチックに狙ってるかわいい子。そんな子を売るなんてするもんか。この脳内が小学生みたいなやつに。
「来い。今日はハッテン場を襲う」
「行かんわ。俺を自由にしろ」
「は?恵んでやる代わりに何でも言う事聞く約束だろ?」
「…そうだけどこんな汚職に手を染めるなんて聞いてない」
「言ってないからな。ほら行くぞ」
………渋々付き合う。こいつらに捕まってから将来も未来も真っ黒だ。警察に捕まって罪をなしりつけられるなんて何回あったか。こんな俺に希望を与えてくれるじゅん、ああ、俺はあいつの元へ行けないのかなぁ。
────────────────────
朝起きて食パンを食べ、コーヒーを飲み、サラダを食べて仕事先まで出勤する。母に挨拶して自転車に乗って雪降る道を滑走していく。徒歩なら30分とかかる道も自転車にかかれば10分だ。
「おはようございます!」
「じゅんちゃん、おはよう」
「店長、おはようございます」
挨拶を交わし、すぐに仕事着に着替えて花たちに水やりをする。バタフライフラワーのデメリットはとにかく水の減りが早く枯れやすいこと。一夜おいただけでほとんどの花びらがうつむいている。少しぬるま湯くらいが丁度良く、花たちに水やりをするとその1時間後には元気になっている。
そういえば、あの青年からもらったモンシロフラワー…。コートのポケットに突っ込んだままだ。うわ、しわくちゃになってる…。あちゃー…花屋として失格だな…。そう思いつつ次はしっかりしようと思って青年から貰ったモンシロフラワーをゴミ箱に捨てた。
────────────────────
「店員さん、”いつまでも続く愛”、”情熱のような愛”って花言葉のお花ありますかっ?」
「待っててね〜。バラ科ならあると思う!」
「わーい!」
ラジオに流れているニュースが音楽から緊急放送に変わった。
『続いてのニュースです。西2丁目の公園で男たちが襲撃し、男性6人が重症、一人が意識不明の重体です。警察は器物破損、危険致死罪として捜査を進めています』
西2丁目の公園…この前青年と出会った道にある。あんな近くに…いや、帰り道に。怖いな。今日の帰宅道は近道しようかな。
「…う…」
「ちょっと何あれ…汚い」
「血…?」
「そこの少年、止まりなさい!危険致死罪の罪で逮捕する!」
「離せ!俺はやってない!!」
何?と目を向ければ花屋の入口付近でモンシロフラワーをくれた青年が警察たちに押さえつけられていた。
「何事ですか!」
「失礼しました。この子は不良グループの一人でよく厄介事を起こすんです。借金も膨らんでいくばかりで…」
「借金…?なんの?」
「お父様が事故起こしてそのまま相手は意識不明、その後回復して治療費がドカンと背負わされたんですよ。保険入ってなかったから」
変だな。警察がここまで個人情報ペラペラ喋るのはいかがなものか?こんな状況なのに笑ってる。まさか、グルなのでは?
「すみません、その子なんの罪を犯したんですか?」
「ハッテン場と呼ばれる場所を襲撃して6人の男たちを殴り倒したんです」
「俺はそんなことやってない!この理不尽なクソッタレが!」
じゅんは悔やんだ。モンシロフラワーを捨てたことに。この子はさりげない優しさを持つことが証明できない。
「この子一人が?」
「そうですよ。もういっすか?」
「警部!例の不良グループを見つけました。追跡しますか?」
「Rくん、こいつを見ててくれ。不良グループを追跡する。こいつを開放する。濡れ衣だしな」
「分かっててここまで追ってきたのかよ!?」
「(お前あの子に恋してるんだろ?めちゃくちゃ惨めだぞ)」
「大丈夫…?」
「はっ…?惨めだぞって…分かってて…」
「行くぞ」
「はい!」
青年を解放し、放り投げたあと警察たちはパトカーに乗って去っていった。
ボロ雑巾のように扱われる青年を見て可哀想に思い、声をかける。
「大丈夫か…?」
「騒動起こしてごめん」
「それは大丈夫だけど…怪我だらけじゃん」
「………」
殴られたのか、頭から出血している。店長を呼んですぐに治療することにした。
「いてて」
「我慢しなぁ。あんた針縫うほどの怪我負ってるんだから」
「金がないから無理」
「何であんなことに?てか不良グループって前路地裏にいた奴らのこと?」
「まぁ、そうだ。あ、それより!モンシロフラワーのこと気づいた!?」
「気づいたけど捨てちゃったよ…」
「はぁ…まぁいい。気づいたなら」
「話は分からないけどじゅんちゃんは今日休みね。この子を病院に連れて行ってやり」
「了解です!」
「いやいいよ。そこまで迷惑かけるわけには…」
青年は立ち去ろうと足をもち上げた瞬間、フラッと目が虚ろになり、体の力が抜ける。急いでじゅんが支える。そのまま椅子に座らせる。
「連れて行ったほうが良さげですね」
「お前車持ってんのかよ?」
「お前って…うちらあんま話してないよ?」
「気づいてないのか?」
「え?」
「二人とも〜、さ、病院に行くための車用意したから行くよ」
「はーい」
“気づいてないのか?”って…え??
何の話だ、と思ったが気まずくて聞けない。軽自動車に乗り、後頭部座席に乗るが、気まずい…。それを察したのか、青年が「ん」と声をかけ来たと思いきや手のひらから花が出てきた。バタフライフラワーではないが、野花か、可愛いな。
「なんか言いたげだからやる」
「わ〜!ありがとう!優しいね」
「お前は昔から単刀直入なんだよ」
────────────────────
「お前は優しくて面白いやつだなぁ」
中学生の頃の話。Jを見てるとふと思うことだ。こいつ、いつも一人だけどいつも優しいって雰囲気でわかる。そして喋ると面白いんだよな。プリキュアを思いっきり大音声で歌ってて牛乳吹いたんたんだっけ。それから目をつけられてるんだよね。
────────────────────
懐かしい。あいつ。元気にしてるかなぁ。単刀直入にいうのは感情が伝わっていいことだと思って。でもこの人今”昔から”って言ったような…。
そうこうもやもやしていると病院についた。頭の傷をぶつけないよう、慎重におろし、背負って入る。事の重大さに気づいた看護師さんが優先順番を上げてくれた。
「はり12本かな。打撲のあとは時間が経たないと消えないよ。消毒はするよ」
「ありがとうございます」
「…あざます」
頭に麻酔をし、針を縫う手立てをする。じゅんと店長は処置室から退室するよう言われた。
〜30分後〜
再度呼ばれ、処置室に入ると青年は頭が包帯でぐるぐる巻きにされていた。
「この子は以前も似たような事例で来たんだよ。だから…もう一回来てくださいって言っても無駄だろうね」
「お金がないので」
「今日は私が出す。お会計お願いします」
「…悪い」
お会計を済ませ、青年の肩を背負って車に乗る。店長が「青春だね〜」と言いながら運転していたが、じゅんは気にしないふりを続けた。
────────────────────
お店に帰ると警察が事件現場のごとく立入禁止のテープを貼っている。
「え、何事?」
「失礼します。この場で被害者が病院に連れて行かれたとの話で。その者に不良グループについてお話があります」
「俺だ。何?」
「君か。不良グループの奴らは全員逮捕された。一人の子がお前は無罪だと言い、他の奴らも観念したのか洗いざらい吐いてもらった。お前は無実だと。それと、警部が逮捕された。個人情報漏洩の罪。お前にはお詫びの賠償金と今までの治療代含め2000万円払うことになった。良かったな」
「2000万!?しばらく働かなくて済むな」
「働きなさい。全く」
「それと、お前の名前はJだな?」
「そうだけど?」
「何でこの子に名乗らない?」
Jって、聞いたことあるぞ。中学生の頃に名前でいじってきた優しくて面白いやつ!そいつがなんでこんな姿に…いや、それよりも…。
「はあ!?なんで言ってくれないのよ!?」
「だってバタフライフラワーで名前出してプロポーズするのがロマンチックだと思って」
「男ってそういうところあるよねー!」
「応援してるよ、二人とも。じゃあ、俺はこれで」
警察はそのまま証拠集めに向かった。
そんな事よりもJに話を聞かなくては…と思って振り返ったらJがもうあんな遠くに!
「待てコラァ!どこ行く!」
「男はクールに去るっ」
「それは去ってんじゃねえ!逃げてるって言ってんだ待てええええ!!!」
〜翌朝〜
「おはよー」
「うっす。お邪魔してます」
「ん〜」
「じゅんちゃん、この子誰?」
「Jだよ。中学生の頃じゅんこっていじってきた奴」
「あ〜」
汚いと指摘され、そういえば服も風呂も入ってないよなと思いつつ、朝風呂に入るよう指示した。今日は休みだ。服でも買いにいこう。Jのために。
「あざーすじゅんこっ」
「調子いいやつめ。出たら支度だよ!」
────────────────────
朝風呂を済ませたあと、少しキラキラ輝いて見えるJに、タオルをさっさと渡し、すぐに朝食を用意する。
「ベーコンとサラダ、あとパンだね」
「今日は豪華ね〜」
「彼氏のせい?」
「彼氏じゃなーい。お客さん!」
姉貴もニヤニヤと面白いものを見てるかのようにいじり、朝食を食べる。Jが着替えから出てきたあと、すぐにここ、と椅子に座らせ、朝食を食べさせる。
「美味い!久々にまともな飯食った」
「何食ってきたんだ…?」
「仲間のおにぎりの海苔とか」
「腹減りそー!今日は飯食ったら服買いに行くからね」
「君、この子の同級生なんじゃろ?凄い格好じゃなー…」
「お恥ずかしい限りです。服の件も娘さんには頭が上がりません」
「いいよ、別に」
朝食を食べ終え、服を買いにいくため自転車に乗る。車じゃない。
「え、俺徒歩?」
「うん」
「そこはひいきしてくれーの…」
「車ないからね」
「ここから何時間?」
「3時間☆」
「鬼畜めえええ!!!」
結局ふざけんなと言われ、バスを使うことになった。バスで行けば往復1時間の道だ。いや、バスで1時間もかかる道のりを徒歩で連れて行こうとしたこいつの顔殴り倒したろか。
そんなことを考えながらしま○らに着いた。まぁそうだよなと思いつつバスを降りる。少し歩き、しまむらに入店する。
「メンズは左奥だから、一応チェックしようか?」
「まぁ、してくれるなら」
断じて一緒にいたいわけじゃない。自分のファッションに自信がないというなの嘘つきに罪悪感を抱いているだけだ。じゅんが後ろをついてくる。もう平和がやってきたんだ…。
服を選ぶ。メンズファッションらしい、格好いいロゴTシャツや、ネタに走ったTシャツなど、カーゴパンツだったりカーディガンだったり。
「どう?」
「いんじゃない?かっこいいし」
「反応悪いな」
「あんたはストリート系が似合うよ。こういうのとか」
試着室にポイポイと服と帽子を投げつける。次々に試着し、自分で納得するものを残してと言われて流れるように試着していたら、凄くかっこいいコーデができた。
「おお!お前めちゃくちゃセンスいいな」
「あんたに似合いそうなものをチョイスしただけだよ」
「ありがとよっ」
あと靴も買わなきゃな。長い目で見てスニーカーがいいだろう。白と黒のスニーカーでいいか。全身買って15000円。まあまあするな。そのまましま○らを出る。
「いやースッキリした。格好良くもなれたしお前には恩しかないよ」
「それ着て働けよ。うちで」
「いいの!?」
「ふんだ。もう話は通してあるよ」
「いつの間に!」
「見てて可哀想に思ってただけー」
「じゃあ俺からもプレゼント。はい!」
「え、手?わっ」
両手をぶらっと広げたら大きなバタフライフラワーが姿を表した。大きな大きな両手サイズのバタフライフラワー。その花言葉は大きさを圧倒する事から名付けられたもの。こいつ知っててプレゼントしてるのだろうか?
バタフライフラワーの花言葉は
「結婚してくださいっ!」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!