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日曜日
フレイムは、大井競馬場でコスプレ撮影をしていた。今回のコスプレはイナリワン。
「OKです!!」
「ありがとうございました!!」
他のレースを見に来ていた観客の記念写真を撮っていた。
「今日はあのコパノリッキーが出走するんだもんな!」
「あのダートの新星コパノリッキー!今日も勝ってくれるはず!!」
あちらこちらで”コパノリッキー”という名前が上がっていた。
そんなに強いのか?
「あっ!フレイムさ〜ん!」
「タルマエ!来てたのか」
「今日はなんといっても、リッキーが出走するんだもん!!」
「リッキー…?そんなに強いのか?コパノリッキーって?」
「強いし、私の友達でもあってライバルなんだ!」
友達でもあってライバル…あの曲と同じだね!!
「その通り!もうすぐ出走だから行きましょう!!」
「さぁ最終コーナーに入り!コパノリッキーが仕掛けようとしています!」
コパノリッキーは先行策、現在トップのウマ娘にピッタリと背後に付いている。
「コパノリッキーが先頭に変わった!ジリジリと差を広げる!!」
「凄い!」
ダートを駆け抜けるコパノリッキー。彼女と走ってみたい!
「コパノリッキー、先頭をキープしながらのゴールイン…楽しみが1つの増えたな!!」
「ふふっ」
「!!!」
視線があってしまったフレイム。コパノリッキーと出会ってから変わるかもしれない…
翌日
トレーナー室
「はぁぁ…」
「トレーナー?」
「今日さ、車から降りようとした時、誤ってホーン押してさ、通行人の人達驚いてて…」
「車のホーンかなり音大きいもんね」
「それで…コーヒー飲んでたら重要な書類にこぼしちゃって…」
「不運だな…」
「運気が下がるなぁ…」
ふと声が聞こえた。しかも風水におまかせって…この学園に風水師とかいるのか?
「え…フクキタルじゃねーよな?」
「この声…」
トレーナー室に現れたのは…髪型が黄色と赤いラインのウマ娘。普通な感じだが…
「リッキー!!」
「リッキー…あの時の?!」
「…あぁ!イナリ先輩!!」
「違ぇよ!メジロフレイムだ!!」
「ひぃぃごめんなさい!全然分からなかったです!」
「あまり興奮しないの!コスプレしてたんだから中の人がフレイムだったことは知らなかったんだし」
「…すまない、つい…」
「えぇっと…風水のことなら私に任せて!」
自信満々に言うリッキー。風水のことなら任せるけど…
「風水する前に、リッキーと話したい」
「…え?」
「昨日のレースは確かに気迫は凄かった。もしかすると…タルマエのライバル…だよな?」
「もちろん!タルマエは友達でもありライバルなんだ!風水の事はちょっと信用してないけど…」
「信用してないんじゃあ期待は薄いな…運気をあげるなら別の方法がいい。さっさと帰ってくれ」
「えぇ!私の風水の力信用出来ないの?!」
信用出来るも何も、トレーナーとローマさん達にも変なことに巻き込みたくない…
「変な目に巻き込みたくねぇから…!」
「ち…ちょっと!」
強引に部屋を追い出したリッキー。風水だろうが運気をあげるなど、他にも方法があるだろうと思うのに…風水一点張りじゃあ期待できない。
「フレイム、なんか怒ってる?」
「…いえ、占いとか信用しないので」
占いは信用しない…男子みたいな性格なんだね
学園広場
「風水って…なんの役に立つんだよ…」
「出た…」
1人で歩いているフレイムを、先程のリッキーが話しかけてきた。
「さっきも言ったろ!変な目に巻き込みたくねぇって!」
「ううん、きっとラッキーが足りてないはず☆私と来て来て!初歩的なことから教えてあげる!」
「面倒くさ…」
半ば強引に連れていかれて行かれ———
「ほら、よく[ついてる]とか[ついてない]とか言うじゃない?良くないことが起きるとつい運のせいにしたりするとか…」
「別に[ついてる]とか言わねぇし、そもそも運要素的なこと教わってねぇから」
「でもあれって運が悪いんじゃなくて、方位の吉凶や五行の相剋を理解せずに対処してないんだよね。例えば—
部屋の模様替えすると、空気が澄んだようになるでしょ!」
部屋の模様替え?空気が澄んだようになる?けど——
「その理由は、家具の配置を変えたことで、睡眠中の心を圧迫する『横梁圧中』や、散財に繋がる『漏財宅』を防いだからなの!たとえ意識しろ、ね!」
横梁圧中とか漏財宅とか知らないけど、何故か当てはまる。
「どう?すごいでしょ?私の話を聞いてもっと学んでみたい!広めてみたいって思ったでしょ?」
「意味が分からねぇよ、特にそんな事はないけど」
「ええっ!こんなに丁寧に説明したのに?」
うかつに聞いても分かるわけがない。ただ時間だけが過ぎていくだけだ。
「俺トレーニングとコスプレのスケジュール合わせやらなきゃいけねぇからもう行くぜ」
「ちょっと!どこ行くの?」
あまり深入りしない方がいい。その場から去ったフレイム。
「トレーニングするから、まだ俺は風水に信用してないからな!!」
グラウンド
「さて、アルダンやるか!」
「そうですね、よろしくお願いします」
「無理にトレーニングはするなよ、また脚が壊れる恐れがあるからな」
「ご心配ありがとう、気になさらないで、管理なら上手い私ですから」
アルダンとトレーニングをしていた——
「じゃあ、準備体操して軽く走り慣らそう!」
「そうですね、フレイムも菊花賞近づいてきましたからね」
この日は10月上旬——
菊花賞が近づいてきた。皐月賞、ダービーを無敗のまま制したまま挑む菊花賞。クラシック最後の一冠、ライバルも妥当フレイムに燃えている。
「じゃあ柔軟は俺から先にやるね!」
「…ふふ」
「どうしたアルダン?」
「フレイムもこんなに大きくなったんですね…」
「…まだ子供だったけど、大半はラモーヌとアルダンの遊び相手だったからな、マック達はレースに集中してたし」
「ちゃんとマナーもすぐ習得しましたしね」
「令嬢らしくいるのが大変だったよ」
ラモーヌとアルダンは知っていると思うけど、マナーの事や色々言われてきたし…
「OK、次は俺がやるね」
「ありがとう」
あの出来事をキタサン達やローマさんやマック達に話すのはどういうタイミングで言おうか…
最初から俺は…
「フレイム、菊花賞勝ったらお祝いですね」
「…あぁ、勝てるか分からねぇけど」
「フレイム!アルダン先輩!」
「ローマさん?!トレーナー?!」
「トレーニング中悪いんだけど、準備体操したら菊花賞3000m走ってくれるかな?データを集めたいんだ」
「分かりました!」
準備体操を終え、フレイムは学校専用のスタートゲートに入った。
「準備はいい?」
「いいですよ!!」
「じゃあ始めるよ!!」
スタートしたフレイム。出遅れは無い——
菊花賞といえば、ユリノテイオーやスクーデリアローマのクラシック三冠が記憶に新しい。だが…チーム内で無敗の三冠を達成したチームは未だにいない。フレイムは自身にとっても、チームにとっても偉業を成し遂げようとしていた。
——最終コーナー
やっぱり見えた…背中から…炎の翼が…
炎の翼…エジプト神話に出てくる霊鳥フェニックスのように———
「アルダン先輩…」
「えぇ…フレイムはもうメジロの…」
そしてフレイムはゴールインした。
「はぁ…はぁ…はぁ…ローマさんタイムは?」
「…タイム…しまった!ストップウォッチ切るの忘れた!!」
「これじゃ分からないじゃないですか!!」
けど、確かにフレイムの背中から翼は出ていた。何が起きているのか分からない…謎だらけだ…
栗東寮
「ただいま」
「おかえりフレイムさん!」
「おかえりフレイム!」
「あれ?キタサンそのゲーム…」
キタサンがテレビゲームをやっていた。しかも…キングダムハーツだった。
「ローズさんに攻略法を教えて貰っているの!」
「そうなんだ!」
「後、リッキーさんがフレイムさんに渡して欲しいってお願いされちゃって」
「リッキー…キタサン知り合いなのか?」
「リッキーさんは私が小さい頃よく公園で遊んでたんだ!私のおもちゃを無くしちゃった時リッキーさんが見つけてくれたこともあるの!」
「砂遊びで…幼少期から砂のマイスターかよ…」
風水だろうが幼少期の玩具を見つけるとは…
「それで、リッキーに渡して欲しいものって?」
「———この赤いハンカチなの!」
「赤いハンカチ?」
赤いハンカチ…また風水的なことを…
「なんで赤いハンカチなのか聞いたのか?」
「詳しくはリッキーさんに聞いてみたらどうかな?私そんなに詳しくないから」
明日もトレーニングするから、会ったら聞いてみよう
翌日
昨日のハンカチの事でリッキーを探しているフレイム。
「どこにいるんだ?」
「もしかしてリッキーちゃん探しているのか?」
突然声をかけられた50代くらいのおじさん。リッキーの事を知っているのか?
「あっはい!リッキーの事知っているんですか?」
「もちろんさ、この間リッキーちゃんの言ったことをやってみたら、店は大繁盛してな!!」
風水で店が大繁盛?!耳を疑った。
「リッキーちゃんの言う通り、庭の木の場所を移して、ラーメンの丼をオレンジ色にしたら…雰囲気が良くなったのか、お客さんが増えてね。おかげで寝たきりの親父も、やっとわかってくれたんだよ」
嘘だろ…風水の効果がそんなに?!有り得ない話だ
「リッキーの風水ってそんなに大きく変わるものなんですね…」
「君は確か…メジロフレイムちゃんだったかな?」
「はい!メジロフレイムです!」
「皐月賞とダービー凄かったぞ!あのスクーデリアローマの教え子だったとはな!」
「ありがとうございます!!菊花賞も近いのでまだ気は抜けませんけど…」
あの店主、俺のレースを見ていてくれたんだ!!菊花賞も頑張らねぇとな!!
「フレイムちゃんがレースに出ている時、リッキーちゃんがこんな事いってたな…」
「メジロフレイムちゃん凄いな!また勝っちゃったもんな!!」
「そうなんですよね!ローマさんの教えが凄いです!!レース前に風水で気分を変えていつかレースで勝利に少し貢献してみたいんです!!」
「じゃあリッキーちゃんも頑張らないとな!」
「——ってことがあってな」
「レースでの勝利に貢献したい…リッキーはいつもどこにいますか?」
池近くの公園
中華料理屋の店主が言っていた場所に着いた。
「——いた!」
やっぱりいた。コパノリッキーが——
「リッキー!!」
「…フレイムさん?!どうして?」
「…俺のレースに貢献したいって?」
「き…急にどうしたの?」
「さっきリッキーの事を知っている人に会ってな、俺のレースで貢献したいって!!」
風水の事を全く信じていなかったけど、後押し出来る人がいることに気が付かなかった…
「…私自身風水の事後押し出来るか分からないよ?」
「それでも構わねぇ!やって見なきゃ分からねぇだろ」
「フレイムさん…ありがとう、私やってみるよ!」
「俺さ、風水って迷いなどとか救ってくれるんだって思ったんだ。オカルトとかそう思ってたけど…そうじゃないって!」
「やっと風水の魅力に分かって貰えたね!風水を知れば、不幸を避けて幸せを呼び込める!故に実際でレースに勝って、その素晴らしさを皆に知らしめようって思ってたの!」
かなりの大掛かりな野望だが、幸せになって欲しいなら…
「それともうひとつなんだけど、なんで赤いハンカチを俺に渡そうとしてたの?」
「フレイムさんの髪の色、内側が赤色じゃん!ローマさんは車とか好きだし、名付け親がシューマッハさんだから、熱くて、力強い走りをするから!」
赤いハンカチの意味は風水とは関係なかったみたい。
翌日
昨日の事をキタサン達に話した——
「そんな事があったんだ!」
「フレイムさん学園内でも人気なんだね!!」
「以外だったわ…レースに貢献したいって」
「リッキーさんの風水って結構当たるんだよね!!」
「え?ダイヤもリッキーの風水やったことあるのか?」
ダイヤもやったことがあるらしく、フレイムとは真反対ですぐ魅力にハマったそう。
「明日の放課後、プールで競走しようぜ!俺のトレーニングも踏まえてな!」
「いいね!負けないよ!!」
フレイム ローズ部屋
「ただい…ま?」
ローズ側の壁紙が変わっていた。
「ローズ、壁紙変えたんだ!」
「そうなの!ディスティニーアイランドみたいな雰囲気でしょ!」
「本当だ!!」
現実世界にいるかのような感じ…
あれ?これって…
(部屋の模様替えすると、気分が澄んだようになるでしょ!)
「こういうことだったんだ!!」
「何が?」
「ううんなんでもない!」
ようやく意味が分かったぽいね!
「さてと…そろそろ始めるか」
その黒い生物は、1つのステンドグラスを闇に染めていた…
そのステンドグラスには…トウカイテイオーが…
トウカイテイオーのステンドグラスは闇に染まりながら、砕け散った…