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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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ジニアールの社長としてではなく、辰巳さんの孫としてあいさつをしてくれたのが私にはとても新鮮に感じた。今だけはまるで別人のようだ。
「冴実が朝陽くんの会社の社員だったなんて、すごい偶然だな!」
祖父も辰巳さんも本気で仰天しているので、全員この事実には気付いていなかったみたいだ。
「お互い孫の話をしても、会社や仕事のことまで詳しく話さんもんな」
「まさか朝陽くんとそんな接点があったなんて夢にも思わんかった」
祖父たちは笑みをたたえたまま顔を見合わせているが、私としてはなんとも居心地が悪い。
気まずくて、視線をどこに向けたらいいかわからなくなった。
「冴実ちゃん、これも縁だよ。朝陽のこと、真剣に考えてみてくれないかな?」
「じいちゃん!」
「お人形みたいにかわいらしい上に、こんなにやさしい女性は滅多におらん」
辰巳さんが私の手を取って真剣に頼んでくるものだから、私は圧倒されて無言で愛想笑いを浮かべるのが精一杯の状態だ。
社長もさすがにその言動が行き過ぎていると感じて止めに入っていた。
「俺をわざわざ呼び出したのに、まだ帰らないつもり?」
「倫さんとの勝負がついたらな。もうちょっとかかるから、お前は冴実ちゃんとカフェにでも行ってこい」
辰巳さんの提案を耳にした私の祖父も、それはいいとばかりに大きくうなずいている。
「冴実、さっき甘いもんが食べたいって言ってたよな? ちょうどいい。朝陽くんと一緒に行ってきたらどうだ?」
「一般社員の私が社長とふたりでなんて恐れ多いよ」
知らない仲じゃないのにと顔で語っている祖父に対し、間髪容れずに言い返した。
社長は社員全員の顔を覚えてはいないだろう。だからジニアールで働いていると言っても私のことなど知らないかもしれない。
どこか見覚えのある顔だともしも思ってもらえているのなら、それだけでよろこばしいくらいだ。
「冴実ちゃん、そんなにかしこまらなくてもいいよ。俺の孫なんだから。もっと気楽に接してよ」
辰巳さんがそう言って笑いかけてくれるけれど、私はその言葉を鵜呑みにはできない。
だって目の前にいるのは紛れもなく、私が尊敬してやまない憧れの存在であるジニアールの社長だから。
「冴実が甘味処に行きたいらしくてな。朝陽くん、すまんが付き合ってやってくれないか?」
「わかりました」
辰巳さんに気を取られている間に、祖父が社長に頼み込んで話を付けてしまっている。
社長はやわらかな笑みをたたえ、迷うことなく首を縦に振っていた。これでは私ひとりがゴネているみたいになる。
「……いいんですか?」
「ああ。行こう。場所がわからないから案内してくれる?」
「はい」
とんでもない展開になり、私は気が動転して心臓がどうにかなりそうだ。
落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせながら、先に歩き出した社長の背中を追った。
外はまだ雨が降っていて、傘をさしつつ社長の隣を歩く。
お店は碁会所からさほど離れていないけれど、歩道には水たまりがあちこちにできていて足元が悪いのが気になった。
「靴、濡れませんでしたか?」
瓦屋根のある和風な建物の花野庵に到着し、テーブル席の椅子に腰を下ろすタイミングで社長にそっと尋ねてみる。
鮮やかな水色のリネンシャツも、雨が当たったところは色が濃く変わっていたので、足元はもっと濡れたのではないかと心配になった。
「大丈夫。君は?」
「私は平気です。たいした靴じゃないですし」
社長はウィングチップと呼ばれるW文字の装飾が施されたオシャレなダークブラウンのブーツを履いている。
私は普段使用しているスニーカーだから、濡れてもどうってことはない。
それにしても、社長はなんて脚が長いのだろう。
いつの間にか脚を組んだその姿に、外国人みたいなスタイルの良さだなぁと感心していた。
顔は恐ろしいほど整っていて、シャープな輪郭とくっきりとした目力のある瞳がカッコいいのは言うまでもないが、特に高い鼻は目が離せなくなるほど形がいい。
髪型は自然に下ろした長めのナチュラルバングで、ふわっと動きが付けられている。
そして彼の声、仕草、目線……そのどれもに男性特有の色気が混じっているからみんな魅了されるのだろう。
コメント
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うわー、冴実さんの心臓バクバク感がこっちまで伝わってきました(笑)社長=辰巳さんの孫っていう偶然、それだけでも運命っぽいのに、二人きりで甘味処デートみたいな展開になるとは!「知らない仲じゃないのに」って祖父に言い返すところ、冴実さんの照れ隠しが可愛くて思わずにやけました。それにしても社長、脚長くて色気ありすぎでは…冴実さんの目線が止まらないのも納得です。雨の日のしっとりした空気感も素敵でした。このあとどうなるのか気になります!