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猫被り本編


人は誰しも「人前の自分」と「本当の自分」があり、「本当の自分」を隠している。

それを世間では「猫を被る」と言う。

私は普段から猫を被っている人間の一人である。

ただ、私は猫を被りすぎたのかもしれない…




私は、ただの学生。

別に勉強が得意、運動が得意などは何もない平凡な学生である。

こんな私でも、外では猫を被っている。

成績優秀な訳ではないが、問題を起こしたりはしないような真面目ちゃん。だが、友達とは普通に話しているような、、、

まぁ、ふざけたりはしない。校則やルールをしっかり守るように見えるような振る舞いをしている、そんな猫の被り方をしていた。


私の猫被りは昔からだった。

いつの間にか、外では猫を被り、家でも外とは違うような振る舞いをして、ネットでもまた違う雰囲気を装い、、

私はいつからか「本当の自分」がわからなくなっていた。

別に楽しいと思えない訳ではない。

好きな事だってあるし、自分の人間関係も知っている。

だが、そういうことではない。

自分の性格がわからない。

本当は人と関わるのが苦手なのではないか。

本当はもっと自分の意見があるのではないか。

私は段々、不安になることが多かった。



だが、一人の男子の前だけ「本当の自分」でいられるような気がした。

彼の前でだけは態度も性格も全て「本当の自分」であるように思えた。

会話をするときに無理をすることが無かった。

私は誰かと話すときいつも聞いてばかりなのに、彼の前ではずっと話し続けていた。

私は彼といるときは他の誰かといるときよりも安心していた。

私はこの感情の名を知っている。

これが誰かに対する「好き」という気持ち。

友達としてではなく、恋愛としての「好き」。

私はこの感情に気づいたのと同時に気づいた事があった。


私の好きな人は私が「本当の自分」でいられる人


私はこのとき「本当の自分」を見つけられる気がした。

私は長い間、彼との思い出を振り返っていた。

みんなで遊園地へ行ったこと。

みんなでお祭りへ行ったこと。

みんなで下校したこと。

…二人で乗り物に乗った他のみんなを待っていたこと。

…祭りの日みんなと少し別れて二人で買い物に行ったこと。

…二人で勉強会をしたこと。

ちょっかいは掛けられたが、彼から甘えて貰ったこと。

私はやはりみんなと、彼と一緒にいるときはいつでも笑っていた。

無理している笑いではなく、心の底からの嬉しさと楽しさで溢れた笑顔。

私は彼の事が好きで好きでたまらないとだと思った。


私はこのときやっと自分を知ることができた気がした。




私は自分を知る事ができた。

だが、私は今でも猫を被っている。

むしろ、今は猫を被っていないといけない。

なぜか。

それは私が気づいてしまった恋心に原因があった。

今までは気づいてもいなかったが、私は好きな人には束縛するタイプのひとらしく、周りにそういう人は居ないため、あまり口に出せない。

なんて言われるか分からないから。

だから、前までのキャラもそのままだし、彼との関係もそのまま。

ちゃんと友達をしている。好きだとも伝えていない。

正直伝えたいし、付き合ったりもしたいと思う。

けど、束縛しすぎて引かれたりするんじゃないかと不安になる。

だから私は伝えない。

それが「本当の私」にとって最適な選択肢だと思えたから。

私は今でもこの恋心を心の奥底にしまいながら今日を彼と、みんなと生きていく。


猫被り本編end







猫被り番外編


「本当の私」を知った後、私は普段通り学校に行き、部活に参加していた。


ある日、部活のメニューでジョギングをしていた。

喋れるくらいのジョギングでいいので友達と話をしながら走っていた。

その時、友達が彼氏が欲しいという話を始めた。

彼女は最近ずっと彼氏が欲しい彼氏が欲しい、、と言っていたので、なぜ彼氏が欲しいのか聞いた。

私は聞いてすぐに納得した。

今の時期はクリスマス。

クリスマスに一人でいる。つまり、クリボッチが嫌だからと言っていた。

確かに、クリボッチは嫌だろう。

だが正直、私は彼氏はいらないと思った。

彼以外が彼氏になるのは嫌だし、彼も今はまだ友達のままでよかったからだ。

それに、空いてる友達を集めて遊びに行くのだってそれはそれで十分楽しいだろうから。


だが、別に話したいことがあった訳ではなかったので私たちはそのまま理想の彼氏について話していた。

大体は彼女が一方的に話していたが、内容は凄く共感ができた。

なぜなら、彼女も彼氏には束縛しちゃうタイプの人だったからだ。

私は聞いてて少し嬉しく、安心した。

自分が思っている事は他の人も思っているんだ。

自分だけじゃなかった。

よかった。と私は胸を撫で下ろした。

私はこの日初めて誰かに話せて、とても嬉しかった。

これもきっと「本当の自分」なのだろう。

私はまた一つ「本当の自分」を知る事ができた。




ちなみに、クリスマス当日彼女は病気にかかり彼氏どころか友達にも会えず、家で寝込んでいた。


猫被り番外編end

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