テラーノベル
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うちの最年長はちょっとだるい。
「お前何してんだよ!!」
バラエティでどっと笑いが湧くと、勇ちゃんが頭を叩いてよっしーはやらかしたと言わんばかりの気まずい満面の笑み。
かと思えば楽屋に戻って俺らの前で堂々と
「仁ちゃん可愛いねえ」
と言いながら頭を撫でて
「キッツイわそれ」
と言いながらもその笑窪は隠せていない。
それを俺らは目の前でみせつけられている。
俺らが3人でわちゃわちゃやってる時も後ろから2人だけ呆れたような、微笑ましいような目で見守るように、俺らもその様をまざまざと見せつけられている。
俺らがやってんのは『わちゃわちゃ』だけど、あの2人がやってるのは『いちゃいちゃ』だ。
俺らの方がキツい。
…まあしょうがないのかな?
同棲してるとはいえ、最近会う暇もないくらい忙しいだろうし、会える時にたくさんいちゃついておきたいだろうし。
まあだからって俺らの前ではちょっと控えて欲しいけど。
これ以上さのじん厨の声がでかくなって困るのは自分達なのに。
でも今日のよっしーのスケジュールは…。
「6時事務所集合そのまま移動して茨城県でロケが16時まで、終わって16時半から打ち合わせして音楽番組出演、移動してリハーサル22時まで、すぐ移動して主演ドラマの撮影翌2時まで」
2人のゲーム配信の待ち時間、よっしーが一息で読み上げて苦笑をこぼした。
「わざわざ主演っていうあたりちょっとだるいよね」
「泣くぞ。俺なんかまだまだだよ。勇斗なんかやばいよ?」
「いや、見た。あれよくこなせるよね」
「5時から11時まで撮影、合間でバラエティ出演、移動して別現場の撮影、音楽番組出演、終わったら撮影翌日の3時まで」
「しかも明日も6時起きでしょ?」
もうこんなだからわかる。
やばいわあ、と感心しているよっしーをみつめながら思いだす。
…だってよっしーには言ってないけど、俺見ちゃったし。
もうつい最近の話なんだけど。
久しぶりの5人仕事、音楽番組の出演でゲネも終えて待ち時間って時。
トイレ、と言って勇ちゃんが出ていった10秒後によっしーも立ち上がり花を摘みに、とだけ言って出ていく。
しばらくして先に出ていた舜がバタバタと駆け込んでくる。
とても慌てた様子で。
「柔!なんか勇ちゃんたちチューしてんのやけど!!!」
…中学生か。
「いやほっとけよそれは」
「ちがう!ほんまやほんまや!!」
喚く舜に強引に現場へ連れて行かれる。
「てかキスぐらい一瞬だろ。流石にもう終わってるよ、知らんけど」
「ちゃうんやって!!絶対まだやってる!!なんかこう…あの…口持ってくぐらいの勢いで、もはや食べてしまうんやないかってぐらい!?」
数年前に付き合ったんだろうなあとは思ってたけど、プライベートとはきっちり分ける2人だったから気づかなかったんだよなあ。
そういって舜は突然小声でここ!と指差した空き部屋をちらりと覗き込む。
…おー、これはこれは。気まずいな。
第一この2人が入った空き部屋なんていつ人が来るかもわからないのに。
鍵のつまみが一の字に、そして不動の突っ張りが飛び出してるあたり、ドアを閉めて鍵をかけたけど切羽詰まりすぎて開いちゃったと。
勇ちゃんも勇ちゃんでよっしーの後ろ首と腰をもうベッタリと自分の体にくっつけて、ねじ込むように角度を変えて何度も何度も…いやあれは食ってるわ。
食ってもぐもぐしてるわ。……なんて言うんだっけ。捕食?
よっしーもここが職場だって自覚はあるのかないのか、なすがままだ。
多分理性がまだ勝っているのか、握られた手首を抜き取ろうと拳を握ってるし、全身が震えてるから多分押し除けようとはしてるんだろうなとは思った。
いやわかんない、その『逆』かも知れないけど。
「…そっとしとこ。忙しくてろくに2人の時間も取れなかったんでしょ」
そう舜に声をかけて扉をそっと閉めた。
「柔、俺らここで2人が出るまで待たなあかんの…?」
「…流石に他の人に見られたらやばいでしょこれ」
2人揃って出たため息。
集合時間5分前の太ちゃんの号令で扉は勢いよく開き、なぜか2人は汗だくでソワソワしていた。
…唇真っ赤だっての。
顔も全身の血液集めたように真っ赤っかだし。
勇ちゃんは気まずそうな作り笑い浮かべてるし、よっしーは太ちゃんに謝りながら勇ちゃんの脇腹をつねり続けている。
#nmmn注意
さかな@⚠️プロフ必読
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아 오 🐷🐶
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もうそんななのだ。
よっしーは気付いてないみたいだけどバレバレだからね?
いい加減こっちの身にもなってほしい。
ゲームのコントローラーを持ち直して低く呟いた。
「…今日よっしーをボコすって決めてるから」
「俺お前になんかしたか?」
「存在がね」
「聞いた?今だいぶ暴言じゃない?」
配信は盛り上がった。
「台風で中止!?」
事務所に集まるなり宣告されたそれに素っ頓狂な声を出した。
マネージャーの必死の謝罪とともに今日は必然的に解散となる。
そして勇ちゃんは提案する。
「そしたらさ、12時ぐらいからおれんちでインライしない?み!るきーずも見たいと思うし」
「曲はどうすんの?」
よっしーが口を開くそのとき、瞬時に3つの視線が交わった。
舜、そしてめんどくさそうな案件を察し始めた太ちゃん。
口を開いたのは俺だった。
「ごめん、勇ちゃん。俺らそんな長居できないかも」
「え、どうして?」
勇ちゃんは戸惑い顔。
頭に自信がないなりに説き伏せてみる。
「個人チャンネルあるやん。俺も劇場版の企画あるし、ごめんけど本読みもしっかり進めたい。舜も今日夜から仕事あるみたいだし、気象予報士の試験が近づいてる。太ちゃんも明日早いから寝なきゃいけないし」
「劇場版呼びなんか嫌やな」
よっしーのツッコミを目で制す。
納得しなさそうな勇ちゃんの顔を見た舜が横から助け舟を出した。
「勇ちゃん、み!るきーずからも言われとるやろ?休めって。確かに仕事は楽しいかもしれへんけど、ちゃんと休むのもファンサービスになると思わん?それに俺らはやることをそれぞれしっかりやるためやから」
口を閉じていた太ちゃんも発言した。
「12時から30分インライしようや。それまで会議してもゆっくり進められるし、勇斗もそれだけあれば満足しない?仁人も打ち合わせ15分で段取り確認しよ。もうあらかた決まってるし、一応考えとるやろ?」
「あ、うん、まあ」
よっしーが拍子抜けしたような顔になってる。
勇ちゃんも難色を示しながらも最終的には太ちゃんの腕力を持って頷かせた。
「じゃあねー」
がちゃん、と扉の閉まる音と共に静寂が降りた。
「…なんか、まさに台風みたいだった」
「あいつら…そんなに疲れてたんだ…」
呆然もする勇斗に、仁人は消えそうな声で呟いた。
「…いや…あいつら、それだけじゃない気が…」
「え?」
仁人はそれには答えず、だまって勇斗を見やった。
その目は揺れて、何か言いたげのようにも見えた。
勇斗はそれを見て何かを察すると、フッと耐え切れずに笑った。
俳優の佐野勇斗でもなく、アイドルの佐野勇斗でもない。
1人の男、佐野勇斗として仮面を全て脱ぎ捨てた。
そのまま肩に添える手に力を込めて胸に抱き寄せると、前髪を分けることもせず額に唇を落とした。
「…とりあえず、さ。先に一生分のキスとハグはさせて?」
「十数時間で達成できたらそれは『一生分』とは言わねえよ」
そのまま肩を抱いたまま、リビングの奥へと消えていった。
後日。
その日も楽屋で小競り合いをしては『やめろよ〜』、とクスクス笑い合う、やけに肌艶の良い年長組を目撃することとなる。
それを見てしまって頭を抱える憐れな舜、興味なさげにスマホをいじる太ちゃん、もう悟りの境地へと向かっている俺。
いつだって、誰かの犠牲によって安寧が保たれている…。
コメント
1件
捕食してる?のとても好きです 美味しいです 押しのけようとしてるか、その逆なのか、どちらでも可愛くて最高です 2人のへいわを守ってくれる🤍❤️の あーハイハイ感と、もぉ〜!ってなってるのが想像できて口角上がります シゴデキ感溢れる💙さんもらしくて好きです 2人の平和は、3人の気配りで守られているの良いです… 朝から良いものを拝読できて、幸せです