テラーノベル
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次の日、お昼からの仕事に向かうべく、若井と一緒に車でホテルから東京へと向かう。元貴は今頃、朝ドラの撮影中か。昨日の今日で大変だな、と心の中で少し同情する。
「…若井、昨日、ホントにごめんね?」
「涼ちゃんは悪くないでしょ。嫉妬の鬼だよ、元貴は。」
移動のワゴン車の後部座席で、ヒソヒソと小さな声で話をする。
「…やっぱり、これからもずっと嫉妬するのかな…まぁ、僕のせいだけど…。」
「んー、多分、ちょっと違う気がするけどね。」
「何が?」
「俺にぶつけやすいから嫉妬を俺に向けてるだけで、最近は多分…。」
「多分?」
「…阿部ちゃんとか、目黒くんとかなんじゃない?元貴がホントに嫉妬してんのって。」
僕は、目をパチクリとして固まる。え?元貴が?亮平くんに?目黒さんに?
「なんで?」
「なんでって…すごい熱視線受けてたじゃん、涼ちゃん。」
「誰に?」
「目黒くん。」
「…うそだぁ。」
「いや知らないよ?ホントのところは俺も知らんけど、でも元貴はそう見えたんじゃないかなーって。だから、ちょっと焦ってんじゃない?」
「…亮平くんも?」
「阿部ちゃんは、あんま感じないけど。ホントに友達って感じ。だけど、ただ仲良くしてるのも面白くないとか?」
「何それ…。元貴はそんな…ないでしょ。」
「あるよ、あるある。アイツ時々すっげー目で涼ちゃんの周りの人見てる時あるよ。」
「うっそ…。」
「怖いぞ〜、気をつけろ〜。」
「もう、若井。」
はは、と若井が笑う。
「でも涼ちゃん、スタッフさんとかにも人気じゃん?breakfastん時も監督に『涼ちゃんスキースキー』ってめっちゃ言われてたし。」
「いやあれは、僕の気分を乗せるためでしょ。」
「標茶に行くのだって、向こうのスタッフさんが『藤澤さんが良いです!』とか言って喜んでたし。」
「えー…。」
「とにかく、涼ちゃんはもっと、自分が人たらしって事を自覚しな?」
「…人たらし〜…?」
なんか、前に亮平くんにも言われたな、確か。そうなのかなぁ?元貴が、ホントに僕の周りの人にそんな嫉妬してんのかなぁ?だとしたら…。
「…だとしたら元貴、めっちゃ可愛いんだけど。」
「はっ、バカップル。」
若井が呆れた顔で、言い放った。
夜になって、元貴からの連絡をずっと待ってるんだけど、全く何も来ない。撮影が長引いてるのかな。そんな事を考えながらも、しっかりと夜の準備をしてしまってる自分が情けない。
ピロン、とスマホが通知を鳴らす。
『ごめん、今日も遅くなるっぽい。無理かも。』
元貴からだ。やっぱりな。撮影できる時に沢山してしまおうという事なのだろうな、元貴も他の役者さんも皆んな忙しいから。
『わかった、また時間合わせて会おうね。』
それだけを送って、僕はベッドに身体を放り投げる。念入りにお尻を洗って、なんなら少し孔を解して、身体中ピカピカに磨いて、…あの服を着て、待っていた。元貴に、僕は元貴だけのものだよって、伝えたいが為に。なんにも心配いらないよ、嫉妬もしなくて良いんだよ、って。
僕は、ゆっくり目を閉じた。すう、と目尻から涙が零れて、あ、僕寂しいんだ、と自覚した。
しばらくして、目を開けると、どうやら僕は寝てしまっていたようだ。時計を確認すると、深夜23時を回ったところだった。腰窓から月明かりが差し込み、部屋の中が薄ぼんやりと明るい。
明日の予定はなんだっけ。ああ、朝から地方ロケでMV撮影か。元貴も大概だけど、僕も中々忙しいな。ぼんやりと空を見つめ、自分のお腹の辺りに手を遣る。ベルトにカチ、と手が当たり、自分の今の服装を思い出した。あ、そうだ、着替えなきゃ。
僕は、スタッフさんに貰った、あの赤い衣装を身に付けていたのだ。ライブ終わりに綺麗に洗ってくれた物。これを着て、元貴に会いに行くつもりだった。
光の三原色の、赤。でも、僕にとっては…。
「元貴…。」
名前を口にすると、すっかり準備してしまった身体が、心が、疼いた。ベッドに仰向けになったまま、スル、と手を僕の中心へと滑らせる。赤いツナギの衣装はサスペンダーが付いているので、簡単には脱げない。仕方なく、ズボンの上から、疼くソコに刺激を与える。
元貴の赤に、包まれている。身体の全てを、元貴に抱きしめられているようだ。服が擦れるたびに、僕の肌も赤く染まる。元貴は痛そう、なんて言ってたけど、僕はあの肌の赤みさえ、元貴に染まっているようで、嬉しかったんだ。
「は…っ、元貴…。」
名前を呼びながら、ベッドの上で悶えていると、不意にゆっくりと寝室のドアが開いた。
「…え?」
「………涼ちゃん。」
ドアの隙間から、メガネをかけたオフの姿の元貴が顔を出していた。
「…お邪魔だった?」
元貴が、ニヤリと笑って言った。
「え…、え?!なん…!」
僕は慌ててベッドから起き上がったが、すぐに上着を脱いで近づいてきた元貴に肩を上から押さえ込まれる。
「…俺たち、おんなじ事考えてんじゃん。」
「…ホントだ…。」
僕は、赤い衣装を身に纏い、元貴は、緑の衣装を着ていた。クスッとお互いに笑って、元貴が耳元に顔を近づける。
「…何しようとしてたの?」
「………何も。」
「あれ、素直じゃないな。」
「…なんで?ここにいるの?」
「…まだ聞いてなかったから。」
「え?」
「なんで、赤にしたの?」
僕は、元貴の目を真っ直ぐに見つめて、口を開いた。
「…そんなの、決まってるでしょ。」
僕は、元貴の唇にキスをする。
「…赤は元貴の色だから、だよ。」
コメント
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焦らしプレイありがとうございます?🤣 現実リンクモノ?最高です!これはエクステ取った後かな?新作MV辺りのビジュかな?今日も今日とてリアル妄想しております🤭 忙しくてなかなかイチャイチャできないから時間ができたときは大爆発ですね💥 あと、💛ちゃん気づいてないのに💙さんにはだだ漏れな嫉妬が大好きです♥️いろんなところで人たらしてますもんね笑
あぁ……好き……赤の女神……🥰 着たままっていうのが私は書けなかったので、すっごい満たされました✨ ほんとう、いつも七瀬さんのお話に癒されて、なぜかそのタイミングでいつも自分が不穏なの書いてるから「……なんでうちのやつは……」ってなります🫠 更新ありがとうございました😊朝からしあわせ🤤
焦らせれました!笑 待ちます🫶 七瀬さん、私もあのМV撮影のスキースキー→💛ちゃん投げキッスのクダリがめちゃ好きなので、お話に入ってて、嬉しかったです🤭💕 もちろん♥️💙が嫉妬してたら良いなと妄想付きで🍏笑