そしてREIジュエリーの記念パーティーの週末がやって来た。
長いようで短かったこの日。
久々に身に付けた自分にとって特別な時につけると決めていたネックレス。
自分を輝かせるための勇気をもらえるこのネックレスを付けると、身も心も引き締まる気がする。
会場があるホテルに到着して、パーティー会場へ向かう。
最初の予定なら、きっと樹と一緒に行っていたパーティー。
やっぱり隣に樹がいないことに寂しさを感じる。
そう思っていた時、樹から携帯にメッセージが届く。
『今どこ?もう着いてる?』
ちょうど会場近くまで来てたところで
『もうすぐ会場着く』
そうメッセージを送り返して、会場の入口まで足を少し早める。
会場前の入口が遠目に見える。
そしてその入口前に佇んでいる遠くからでもわかる樹の姿。
初めて見るスーツ姿も当然バッチリ着こなして、いつもより男らしい大人な魅力が感じられて、そんな姿にも初っ端から不覚にも胸がトキメく。
相変わらずそのスタイルの良さと色気ある雰囲気は、こういうパーティー会場だと更にそのオーラを放ってカッコよさを際立たせている。
こんな遠くからでも見つけちゃう私も私だし、こんな状況でも素直に反応してしまう自分に驚く。
あんなに恋愛から遠ざかっていたはずなのに、樹と出会ってから、樹にだけはこんな風に簡単にトキメいてしまうようになってしまった。
一度自分で好きだと意識して認めてしまうと、こんなにも簡単にすべてにトキメいて、他に誰も目に入らなくなる。
元々誰もが認めるカッコよさを持ち備えてるだけに、こんな場所でそんなカッコいい姿でいるだけですでに絵になっていて、会場に入っていくすれ違う女性たちが樹の方を見てソワソワして騒いでいるのもわかる。
そんな樹が私に気付いたようで、こちらを見ながら歩いて来た。
「来てくれてよかった」
私の顔を見ながら会った早々、優しく笑顔でそう話しかける樹。
「今日、私も楽しみにしてたから」
上手く笑えてたかは自信ないけど、そう言いながら私も笑顔で応える。
「なら約束通り、今日は何も言わずオレのパートナーってことで」
その言葉が素直に嬉しかった。
ちゃんとあの時言ってたように、パートナーとして一緒にいてくれるのだと、ただそれだけで嬉しかった。
「うん」
たった一言返した言葉。
だけど、私にとっては、その一言に嬉しさが詰まっている一言。
「なら、パートナーとして紹介したい人いるから一緒に来て」
そう言って樹が会場の中へ入って行き、その後に一緒について行く。
すると会場の中心にいる真っ赤なドレスを着て数人の人に囲まれて話をしている女性の近くで少し離れて立ち止まる。
「今日の主役のREIジュエリーの社長のREIKA」
樹がそのひときわ目立った華やかな女性を、ずっと憧れていた女性だと教えてくれる。
30代でこのブランドを立ち上げ今年で20周年を迎える彼女は、世間でその宝石が似合うほどの美魔女だと噂では聞いたことはあったけど。
初めて実際に会った彼女のその美貌とスタイルは確かに想像以上だった。
自信に満ち溢れていてまさにその宝石を纏って輝きを更に増している。
女性としてこんな風に年を重ねたいと思えるような存在。
だからこの人が手掛けたこのジュエリーは、こんなにも素敵で、そして身につけた女性たちもその輝きのパワーをもらえる。
「透子。会いたかったんじゃないかなと思って」
このパーティーに参加出来るだけで嬉しかったけど、出来ればずっと憧れている人にも会いたかった。
樹はそれも何も言わなくてもわかってくれてた。
「うん・。会いたかった。・・なんで樹そんなことまでわかんの?」
「透子のことならオレはなんでもわかっちゃうんだよね」
久々だ。樹のこの適当だけどキュンとする感じ。
だけど彼はそんなことも気にも留めない様子で、社長の様子を見ながら傍へと近寄る。
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