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「社長。この度は20周年おめでとうございます」
「あら。早瀬さん。ありがとう」
すると社長も樹のその声に気付いて、こちらへ来てくれる。
樹。社長と知り合いだったんだ・・・。
私より年下なのに、何この人脈。
「今日は素敵なパートナーも連れて来て下さったのね」
「えぇ。彼女、社長とここのブランドのファンで」
「あら。そうなの?それは光栄だわ」
「今度の新しいブランドとのプロジェクトで彼女もリーダーとして参加するので社長にも紹介しておきたくて」
「あっ、新しいプロジェクトに一緒に参加させていただきます望月です」
「素敵な方とご一緒出来て嬉しいわ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
イキナリの憧れの女性との挨拶に戸惑う。
いや、このオーラと雰囲気すごいわ。
同じ女性としてもこの魅力に圧倒される。
だけど、パートナーとして紹介したいって言ってたのは、そっか・・・。
今度のプロジェクトでの仕事上のパートナーってことか・・・。
まぁ、確かにそれ以外のパートナーとして別に紹介する理由もないだろうけど。
でも、なぜかちょっと胸が痛む。
「あっ、ちょっとごめん。もう少し二人で話してて」
そう樹は声をかけて何か用事があるのかその場を立ち去ってしまう。
え、ちょっと待って。
私このまま社長と二人だけでなんて無理だよ~!
この緊張しすぎな状況をどうしようか考えようとしたら。
「そのネックレス。うちのブランドの?」
社長が私のつけているネックレスを見て声をかけてきてくれた。
「あっ、はい!そうです。こちらのブランドが好きで、このネックレスは自分へのご褒美で買った特別なモノなんです」
「あら。そうなのね。それはとっても嬉しいわ」
「このネックレスつけてると本当に勇気や自信が持てるんです」
このネックレスのおかげで今まで随分力をもらえた。
「実はそれ私がデザインしたモノで、あなたのようにこのネックレスで自分らしく輝いてほしいと願って作ったモノなの」
そしてそんな想いが込められたネックレスだと聞いて、更に嬉しくなる。
「このブランドは最初、私自身が私自身を輝かせるため、そんな自分になれるよう頑張れる力をもらえる商品を作りたいと始めたのがきっかけなの」
「へ~。すごく素敵です。このネックレス見た時一目惚れで、なんかすごく力をもらえる気がして気付いたら自分の為に買ってました」
「そう。そういう女性に届けたくてこのネックレスも作ったのよ。だからあなたみたいな方に大事にしてもらえて光栄だわ」
「こちらこそ光栄です。そんな素敵な想いが込められたネックレスと出会えて、そして直接お話聞けてすごく嬉しいです」
まさかネックレスを買った数年後に、こんな素敵な出会いがまたあるなんて。
「あなたとお話出来てよかった。ちょうど今年20周年迎えて、また更に世の中の女性を素敵に輝かせられる商品を作りたいと改めて気付かせてもらえたわ。ありがとう」
「いえ!とんでもないです!これからもまた私もこちらのブランドをつけられるように頑張ります」
「そのネックレス、あなたにとても似合ってらっしゃる。またぜひいつかお会いしましょうね」
「ありがとうございます。ぜひまたお会い出来れば嬉しいです」
「じゃあ、ごゆっくり」
そう伝えて社長はまたたくさんの来客者の元へ戻って行った。
やっぱり素敵な方だ。
私もまたこのジュエリーが似合うように相応しい女性になれるよう頑張ろ。
このパーティーに招待してくれた樹にホントに感謝。
こんな機会なければ絶対会うことなんて出来ない人だし、またこのネックレスが更に特別なモノになった。
樹にちゃんとお礼言わなきゃ。
こんな素敵な機会作ってくれてありがとうってちゃんと伝えなきゃ。
だけど、辺りを見回しても樹の姿が見当たらなくて。
樹、どこ行ったんだろう・・・。
今日は・・今日だけでも、パーティーだからじゃなく、一緒にいたいのに・・・。
今日という日は、ホントは樹と特別な日にしたかった。
樹は今日のこと知るはずもないし、きっとパーティーだからたまたま会えたんだろうけど。
私は今日たまたまでも樹に会えたこと嬉しかったのに・・・。