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「お前は黙ってろ」
そう言ってテレビ頭を睨み、PーPの手を引いた。
後ろは振り返らず進む。
あのテレビ頭と目が合うと、ここから出られなくなる気がしたから。
さっき目を覚ました室内の遊び場の左側に、奥が真っ暗の、どこに続いているか分からない道があった。
俺たちはそこへ向かって早足で歩いていた。
そこにしか道がなかったから。
暗闇の前に立ち、俺は固唾を飲み込んだ。
暗闇に1歩踏み入れる。
俯き気味になっていた顔をあげると、
予想とは違った景色が広がっていた。
「ここは…プール、なのか…?」
思わず声を漏らす。
真っ白な壁と床。
足元には少し濁った水が流れていた。
明るいのに、照明はどこにも見当たらない
真っ白の虚無な空間に、水が流れる音だけが響いていた。
「…懐かしいな」
昔よく行った、大きめの室内プールに似ていた。
「なあ、PーP」
「こういう室内プールみたいなところ、よく一緒に来てたよな。」
無意識にPーPに問いかけていた。
「…」
もちろん、答えは返ってこない。
「ああ、ごめん。無理に思い出さなくていいから」
「…すみません、」
PーPのよそよそしい態度に、俺は孤独を感じていた。
出口を求め、俺とPーPは白い床を歩いた。
こつ、こつと俺たちの足音だけが響く。
PーPには話しかけなかった。
いや、話しかけられなかった。
話すのがしんどくて、辛かったから。
ここのプールは、昔行った室内プールよりはるかに大きかった。
道に迷ってると言っても過言ではない。
「チッ…はぁ、どこなんだよここ…」
さっきから同じところを歩いている気がする。
歩いても歩いても出口が見えない虚無空間に苛立ちを覚え、頭を掻きながら進んでいた。
「こ、こっちに行ってみませんか…」
そう口を開いたのはPーPだ。
そういえばこいつは方向感覚が優れている。
俺は頷いた。
案の定、見たことないところに出た。
「…ありがとう、PーP」
PーPの目を見ながら言う。
少しは俺に心を開いてくれたのだろうか。
PーPは少し口角をあげた気がした。
そのまままっすぐ歩いていると、また奥が見えない真っ暗な道があった。
もう、そこに進むしか無かった。
先が見えないからか、1歩踏み出すのを躊躇ってしまう。
重い足を踏み入れた。
まだプールという名の虚無空間が続いてるのかと思えば、全く違う場所に出る。
そこはYouTubeでも実況動画を出した、
“Backroom”だった。
「うそ、だろ…」
俺はここが地獄だということはよく知っていた。
ゲームだから笑えてた。
でも今はどうだ?
本当に俺らはここにいる。
そういえばPーPってこういうの苦手だったよな。
そう思い、PーPに目線を向けた。
やはりさっきより険しい顔をしている。
進まなきゃ行けなかった。
“あいつ”と鉢合わせになる前にここを出たかった。
俺は黄色い壁の向こうにあの黒い怪物がいないか慎重に確かめながら進んでいた。
でも本当にここはBackroomなのか?
似ているだけじゃないのか。
そう思い始めたら、途端に気持ちが楽になった。
だがそれも束の間だった。
油断しているところに“あいつ”は現れる。
そう、ハウラーだ。
黒いワイヤーがねじれたような、痩せこけた人型のシルエットをしている。
「…っぁは、」
PーPが声を漏らしたと共にハウラーがこちらを向いた。
やつは音に敏感だ。
「逃げるぞッ!!!!!!」
思いっきりPーPの手を引き走り出す。
ハウラーは鼓膜に突き刺さるような叫び声を上げながら追いかけてくる。
あいつの対処法、なんだっけ
どうしたらあいつをまける…
“隠れる”
これが1番手っ取り早い。
Backroomの入り組んだ構造を上手く使って逃げながら隠れ場所を探した。
「っはぁ、はぁ…はぁ、」
そろそろ体力的にも限界だ。
だけど奥にドアが見えた。
あれに入るしかない。
「PーPッ!!!!あのドアに向かって走れ!!!」
「…はぁ、っはぁ…っはいッ…!!!!」
俺はドアノブに手をかけ思っいきり引きドアを開ける。
先にPーPをその中に入れ、俺も続いて入り
力強く扉を閉めた。
俺はその先にLevel1の生存可能領域に出ると思った。
だが違かった。
そこは子供が自由に遊ぶようなスペースが広がっていた。
カラフルなスポンジ製の床。
赤黄青の壁、緑オレンジのビビットカラーの椅子や机が置いてある。
さっきまで子供たちが遊んでいたかのような散らかった後が目立つ。
俺達はそこで切れた息を整えた。
「平気か、PーP」
「…はぁ、っはぁ、…なんとか…」
よかった、生きてる。
次はどんなエリアが待っているのだろうか。