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番外編 5 です 。
新章 第一章 に注意事が書かれています。
まだ読んでない方は先に其方を読んでから此方を読んでください。
この国には、一人の総統と四人の幹部がいる。
総統――**瀬麗梛。**
普段の彼を知る者なら、こう言うだろう。
「優しくて、ふわふわしていて、少し頼りない総統様。」
……だが。
この世界では違った。
「怜。」
「はい。」
「この書類、昨日までに出すよう言ったよね?」
「……申し訳ありません。」
瀬麗梛は机に肘をつき、冷たい目で怜を見る。
「謝罪はいらない。次から期限を守って。」
「はい。」
「それから。」
瀬麗梛は書類を一枚差し出した。
「ここ、計算間違ってる。」
「……。」
「幹部なんだから、これくらいはちゃんとして。」
「……はい。」
「よし。戻っていいよ。」
「失礼します。」
怜が出ていく。
扉が閉まる。
「……。」
瀬麗梛は小さく息を吐いた。
「全く。」
そう。
この世界の瀬麗梛は――
**超しっかり者で、厳しく、仕事に一切妥協しない総統だった。**
一方。
廊下。
怜は無表情で歩いていた。
「……。」
そこへ來執が来る。
「怜。」
「何。」
「今日の仕事、終わりました?」
「まだ。」
「大変ですね。」
「別に。」
「そうですか。」
「うん。」
会話終了。
二人とも、それ以上話さない。
なぜなら。
この世界の怜は――
**超絶ドライ。**
誰かを心配することも。
過保護になることも。
ほとんどない。
……ただし。
「……。」
怜がふと立ち止まる。
「どうしました?」
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「総統様。」
「?」
「さっき昼食を食べていなかった。」
「……。」
來執が首を傾げる。
「気になるんですか?」
「別に。」
「じゃあ、なぜ弁当を?」
「……仕事に支障が出るから。」
そう言いながら。
怜は瀬麗梛のために昼食を用意していた。
「総統様ー!」
執務室の扉が開く。
瀬凪だった。
「何?」
「お疲れ様です。」
「お疲れ様。」
「……。」
「……。」
「……。」
「何?」
「い、いえ!」
瀬凪は顔を赤くする。
「失礼します!」
「?」
扉が閉まる。
「……変なの。」
そう。
この世界の瀬凪は――
**超真面目で、人見知り。**
普段なら軽口を叩くような場面でも。
瀬麗梛を前にすると緊張してしまう。
「……。」
廊下に出た瀬凪は、胸を押さえる。
「……やっぱり無理。」
「何が?」
「うわっ!?」
來執が後ろにいた。
「総統様、今日も格好良かった……。」
「……。」
「聞いてませんでした?」
「全部聞こえました。」
「…………。」
瀬凪は顔を真っ赤にして逃げた。
そして。
「総統様。」
隋星が入ってくる。
「何?」
「本日の仕事量です。」
「……。」
大量の書類。
「多すぎない?」
「多いですね。」
「減らして。」
「無理です。」
「隋星。」
「はい。」
「僕の仕事を増やすのやめて。」
「国のためです。」
「……。」
瀬麗梛が睨む。
隋星は微動だにしない。
そう。
この世界の隋星は――
**威厳たっぷりで、超厳格。**
普段のふわふわした雰囲気は一切ない。
「ですが。」
隋星が少しだけ表情を緩める。
「今日はもう十分働きました。」
「……。」
「残りは僕たちがやります。」
「え?」
「総統様は休んでください。」
「……。」
瀬麗梛は少し驚いた。
「珍しいね。」
「何がですか?」
「隋星が僕に甘い。」
「……。」
「?」
「総統様だからです。」
夜。
四人の幹部が集まる。
「今日も総統様、格好良かったですね。」
瀬凪が言う。
「分かる。」
來執が頷く。
「仕事してる姿、綺麗でした。」
「……。」
怜が黙っている。
「怜は?」
「別に。」
「またそれ?」
「別に。」
隋星が紅茶を飲む。
「ですが。」
三人が見る。
「全員、総統様のことが好きなのは同じでしょう。」
「……。」
「……。」
「……。」
沈黙。
そして。
「まあ。」
怜が呟く。
「それは否定しない。」
「僕も。」
「俺もです。」
「僕もですよ。」
四人の性格は。
何もかも違う。
けれど。
一つだけ。
**変わらないものがあった。**
翌朝。
「おはよう。」
瀬麗梛が執務室に入る。
「おはようございます。」
怜。
「おはようございます。」
來執。
「お、おはようございます!」
瀬凪。
「おはようございます。」
隋星。
瀬麗梛は四人を見る。
「……ねえ。」
「はい?」
「僕のこと好きすぎない?」
「……。」
四人が固まる。
「何で分かったんですか?」
瀬凪が小さく呟く。
「いや、分かるでしょ。」
瀬麗梛は呆れたように笑った。
「まあ。」
そして。
少しだけ優しい顔になる。
「僕も、みんなのこと大切だけどね。」
「……。」
四人が一斉に黙る。
「どうしたの?」
「……何でもありません。」
怜が顔を逸らす。
來執も。
瀬凪も。
隋星も。
誰も瀬麗梛の顔を見られない。
「?」
本人だけが。
最後まで無自覚だった。
性格が全部反転しても。
立場が変わっても。
態度が変わっても。
**五人の間にある「愛される総統」と「総統を大切にする四人」という関係だけは、どうしても変わらなかった。**
それが、この世界で唯一。
**反転しなかったものだった。**
**――Another World『性格反転世界線』完。**
コメント
3件
おおっ、番外編で性格反転!これは面白い試みですね。普段の瀬麗梛のふわふわしたイメージから一転、超厳しい総統になってて新鮮でした。でも、怜が「仕事に支障が出るから」って昼食を用意するくだり、口ではドライでも結局気にかけてるところが変わってなくてじーんと来ました。四人とも「変われど変わらぬ想い」って感じで、本編への愛情がさらに深まる番外編でした!