ジリジリと日が照りつく窓際の席で僕パクジミンはひとり物静かに過ごしていた。
高校最後の夏、そう言って周りのみんなは青春だなんだって夏祭りに行こうだの、海に行こうだのはしゃいでた。
僕もたまにはって誰かを誘って遊びに行こうと思った。でも
僕はいわゆる”陰キャ”だ
誘う人や誘いに乗ってくれる人は居なかった。
あーあ思えば早かったな…夏休み前日の終学活。
そんなことをぼやぼやと考えながら担任の変わらない、いや以前より少し広がったハゲ頭を見つめる。
「まぁ、くれぐれもだらけすぎないように過ごせよー。じゃ、解散!」
この声を合図にザワザワと周りは動き出した。
ほとんどの人が手ぶらな中僕一人だけ、クラスで飼っている金魚を抱えていた。
〜数日前〜
「今日の学活は、このクラスでかっている金魚のさちこさんを誰が夏休みの間お世話するかを決めます。」
「やってくれる人、いますか?」
学級委員が黒板の前で手を上げて!という顔で見つめてくる。
あぁまたか。嫌だ!今年は絶対に持ち帰らないぞ!だって部屋中魚臭くなるし…
ふっと目を逸らした瞬間
「ジミンがいいと思いまーす」
斜め前の席に座っているキム・テヒョンが提案しだした。
はぁ!?!?!?
何提案しちゃってんの?やるわけないだろ、ばぁあぁか!
「やります…」
ほんとじぶんがいやになる。。
なぁさちこさん。僕このまま青春せずに高校生活終わっちゃうのかな?
パチャッ
「うわっ何すんだよ!」
突然のさちこさんからの水攻撃に思わず声を上げてしまう。
「っははは」
「え、?」
わ、笑われた。
「あーほんと面白い」
誰だ?あ、この妙に整った顔…
「キム・テヒョン!」
「え?何覚えてくれてんの笑」
ニヤニヤしながら近づいてくる。
「く、クラスメイトの名前と顔くらい。覚えるよ」
「ふぅーん」
「あ、そういえば金魚。押し付けちゃってごめんな」
一応そういう感覚あったんだ。
「いや、まぁ慣れてるし」
「やっぱ?俺見る目あるわ〜」
ないな、これは
「テヒョンア〜早くしろよ」
「んじゃ、またな!絶対捨てんなよそれ」
と言い捨てて嵐のようにテヒョンは去っていった。
捨てんなよそれ?
ふと手元を見ると手と水槽の間にメモ用紙が挟まれていた。
家に帰り見てみると
「気楽にどうぞ。テヒョン」
という言葉と共に電話番号とメールアドレスが書いてあった。
初めてだ、こんなこと。
人生で初めての経験に少し胸が高なった。
これが一生思い出に残る。高校最後の物語の始まりだった。
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