テラーノベル
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ンゴ @連載中
女主人公あり。
〇〇と表記しています。
後々、微グロ注意の描写が出てきます。
大した山も谷もない、雰囲気重視のお話です。
物語の進展とかないので、雰囲気を楽しんでいただければ。
〇〇side
夕方の教室は、色が薄かった。
窓から差し込む光は橙色なのに、何処か灰色が混ざっていて、机の上に影を鈍く伸ばしている。
教室には、誰もいない。
__はずだった。
私は、窓際の自分の席に座っていた。
机に頬杖をつき、外を眺める。
木の表面は少し冷たくて、触れている感覚が僅かに遅れて伝わってくる。
静かすぎる。
外から聞こえるはずの部活の声も、廊下を歩く足音も、ここまでは届かない。
まるで、ここだけが世界から切り離されたみたいだった。
「やっ……つ…た」
「〇〇」
ふと、すぐ隣から、名前を呼ばれた。
「今日もおるんやな」
その声は、軽く笑う。
何故か、やけにはっきりとしていた。
『…うん』
視線を逸らさないまま答える。
「なぁ」
また、声。
「もうええやろ」
『…何が?』
そう聞き返すと、その人は、少しの間があってから、何ともあっさりと言った。
「全部」
その言葉が、胸の奥に、ゆっくり沈んでいく。
何かを失っているはずなのに、それが何なのか、思い出せない。
深く思考を巡らせた。
巡らせて、巡らせて。
結局、どうでもいい気がして、思考をやめて隣を見る。
しかし、そこには誰もいなかった。
考え込んでいたから、出ていったことに気付かなかったのかな。
そう自分を納得させ、私は椅子を引いて立ち上がる。
曖昧な色に染まった教室を出て、一人、帰路へとついた。
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