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私は翌日、エドバ城に向かい、ベルゼン殿から外出許可証をもらった。
「皇帝陛下でしたら、執務室にいますぞ!
会って行かれぬのか?エティーナ殿?」
「ほ、ほほほっ!
き、昨日十分に話しましたゆえ!」
私の声はうわずっている。
しかし、ベルゼン殿はそんな事に気づく様子も無く言った。
「相変わらず仲が良い事で!」
「な、な、仲良くなどありませんわっ!」
私はそう言い捨ててエドバ城を後にした。
ベルゼン殿は今頃首を捻っている事だろう。
い、言えない…
昨夜あんな事があったなんて…
とても…
とにかく私は気持ちを切り替え、エドルの街に向かった。
私がトパーズの後宮の馬車でエドルの街に着くと、エドル領伯爵が出迎えた。
「これは、これは、軍師姫様!
我がエドルの街も街おこししていただけるとは…!
恐悦至極に存じ奉ります!
私はエドルを治める、ドガゼフと申します!
何卒お見知り置きを…!」
「では、ドガゼフ殿に頼みたいことがございます。
この街には、大きな川が通っておりますね?」
「え、えぇ…
エドール川と申します…
それが、街おこしと関係あるのでしょうか…?」
「大有りですのよ。
明日ルードラの街から土魔導師を3名ほど連れてきます。
そして、畑に用水路を引くのです。
いいえ、正確には田んぼに、ですわ!」
「タンボ???
それは一体…?」
「説明は後ほどしますわ。
今は私の名声を信じてくださりませぬか?」
「それはもちろん…!
軍師姫様が、用水路とおっしゃるなら、二つ返事でそう致します!」
「ありがとうございます、助かりますわ。
いくつか使っても良い土地を見せていただけますか?」
「はい、もちろんです。
では、こちらに…」
そうして、エドルの土地を視察し、田植えは次の日以降から着手する事にした。
土魔導師がいれば、水田を作るのにそんなに時間はかからないはずである。
そして、後宮に戻った。
久しぶりの外出であったため、仕事をしたという達成感があった。
テーブル席に腰掛けて、紅茶を飲む私の元にマリアがやって来た。
「上機嫌にございますね…
エティーナ様…」
「あなたは何だか不機嫌そうね、マリア?」
「あの噂をご存知ないのですか…?」
「またぁ?
あの噂って何なの?」
私は半ば呆れ気味に尋ねた。
すると…
「皇帝陛下が正妃を迎えられるかもしれないという、噂にございます…」
「えぇぇぇぇ!?」
私は自分が正妃になる噂と同じくらい驚いた。
「実は…
今敵対しているスーベルシア国からこんな提案があったのです。
スーベルシアの王女をエドババーバの皇帝の正妃として迎えれば、同盟関係を結ぶ、と…
それで、スーベルシアは大国ですから…
みな、その案に賛成なのですわ…」
「そう…」
私はそうとしか言えなかった。
スーベルシアは中央大陸1番の大国、エドババーバからすれば、同盟を結べるのならこれほど良い話はないだろう。
私の出る幕ナシ、か…
何だか、視界が少し滲んだような気がするけれど、きっと気のせいだ。
マリア達を下がらせ、私は1人で眠れぬ夜を過ごした。