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主の父親が亡くなって1年後─
一周忌法要を執り行う事になったのだが、かなり縮小したものにする事になった。
あらかじめ友人等には手紙を送り、親族のみで伯父家族と◯◯の母親と兄弟と◯◯と隼人でこじんまりと家で行う事になった。
伯父家族は子どもが成人しており、それぞれ家庭を持っていたため大所帯だった。それから全員と挨拶を交わしていった。
「四季君、今日は来てくれてありがとう。まさか君と結婚するとは思わなかったが、◯◯さんの支えになってくれて嬉しいよ。」
隼人はアモンの事もありすぐには言葉が出てこなかったが、言うべき言葉を言わなければと思い口を開いた。
「いえ、俺まで招いて頂き誠にありがとうございます。」
隼人はそう言いながら頭を下げると、伯父は慌てて隼人の頭を上げさせた。
「そんなにかしこまらなくても良い。◯◯さん少し四季君を借りるよ。」
伯父はそう言いながら、奥さんと一緒に隼人と家の縁側で話し始めた。主は久しぶりに会う母親に声を掛けられた。
「◯◯、結婚おめでとう。…お父さんもきっと喜んでる。でも、いきなり結婚したとか式は挙げないとか…全部自分で決めちゃって旦那さんはそれで良いって言ってくれてるの?」
主は母親の言葉に頷いた。久しぶりに見る母親の顔はすっかり老け込んでしまっていた。それも当然の事だろう、主は10年以上連絡もせずに縁を切ったつもりで仕事に明け暮れていたからだ。
「お母さん…今までごめんなさい。本当は此処に来ても良いのかなって迷ってたの。でも伯父さんからお母さんの事聞いて…」
主は母親の事を知らなかった。母親はお通夜とお葬式に顔を出したもののすぐにその場から去っていったのには理由があった。
体の調子が良くなかったからだった。
「良いのよ…お母さんのほうこそごめんね。今までたくさんしなくてもいい苦労をして来たもんね。こんなに綺麗になったのね…
◯◯、幸せになって。お母さんから言える事はそれだけよ。」
主は母親の言葉に今まで我慢して来た事が思い出され、涙が溢れてきていた。
「っ、ありがとうお母さん。私、亡くなるまでお父さんの事怖かったの。…私は、お父さんに愛されてたのかな?」
主は1番聞きたかった事を母親になら言えると思い、聞いてみた。母親の頬が緩み主の手を握り締めながら話し始めた。
「お父さんは不器用だけど、◯◯の事をちゃんと愛してたし大事に思ってたよ。私もたくさんお父さんとはぶつかり合ったものよ。
その度に話し合いもたくさんしたの。お父さんは、言葉にはしない人だけど優しい人だったよ。…まだ、一緒に歳を重ねていきたかったわね。」
主は母親を抱き締めながら、2人揃って涙を流した。今までのしがらみも完全にとはいかないが、少しずつ解けていくような感覚を覚えたのだった。
その時、伯父と奥さんと隼人が戻って来て主と母親の前にいきそろそろ一周忌法要の時間だと告げた。
「初めまして、四季隼人と申します。◯◯さんとその…」
隼人が言いづらそうにしていると主の母親は頬を緩ませ口を開いた。
「2人で幸せを作っていって。…私が言える事はただそれだけだから。」
一周忌法要は粛々と執り行なわれた。
僧侶による読経、お焼香が終わると、 お墓参りに行く事になり主は隼人と伯父がどんな話をしたのか気になり聞いてみる事にした。
「…隼人は伯父さんとどんな話したの?」
「◯◯の家族の話だよ。俺の知らない小さい頃の◯◯の話してくれた。
義伯父さんは◯◯とお義母さんが話せるようにって気を遣ったみたいだな。あと…これ頂いちゃった。」
主は少し厚めの封筒の中を見てみると、札束が入っていた。
「ちょ…こんなにもらえないよ!」
「俺も言ったんだ。でも、義伯父さんが貰ってくれないと俺を院長にするとか言い出したから…つい、」
病院の院長は、主の父親の逝去後は伯父が理事長兼院長をしているのだ。
主は伯父さんらしいな、と思っていると父親のお墓に着いた。
皆んなはお掃除に取りかかり、綺麗にしていった。それぞれお供えをした後、ローソクに火をつけ、お線香に火を灯した。
香炉にお線香をあげ、静かに手を合わせて故人を偲び感謝を伝え始めた。
主は言葉にして言えなかった父親への想いを伝えた。
(お父さん、ありがとう。こんな形になっちゃったけど、お母さんともちゃんと話せるようになったよ。
まだ今はぎこちないけど、これから見守っててくれると嬉しいな。お父さんの遺志を継いで仕事も頑張るからね。
あとね、私…隼人とだけじゃなくてアモンっていう人とも将来を誓ったの。隼人の事もアモンの事も愛してるの。お父さんはこれを聞いたら怒るかな…?
でもね、すごく大切な人なの。私お父さんの子に産まれて来た事、誇りに思ってるよ。)
隼人は隣で手を合わせている主の方へ目をやると、主の目から涙が頬を伝っているのを見た。
「…○○。義伯父さん達待ってる。」
隼人は主の肩に手をやると、主は父親のお墓へ一言言った。
「また…来るね、お父さん。」
主達が去ろうとしたその時、人肌くらいの温かな風が吹いた。まるで、父親からの返事が返ってきたような気がした。
その頃アモンは─
屋敷で庭仕事をしていると、 優しい温かな風がアモンの肌を撫でた。その時、ひらひらとアモンの足元へ花弁が舞い落ちて来た。
(…花弁?白色の…これは、ヒヤシンスっすかね?まだ開花時期じゃないのに。こういう珍しい事もあるんすね。
それとも、◯◯さんのお父様からの贈り物っすかね♪なんたって白色のヒヤシンスの花言葉は控えめな愛らしさ、心静かな愛っすから。)
アモンは花弁を手に取り主の部屋に飾る事にした。
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#幼馴染
コメント
1件
うわああああもうこの回泣いた😭💕 お父さんの一周忌でお母さんとちゃんと向き合えたの本当に良かったね…「愛されてたのかな」って聞くところ、胸がぎゅってなったよ。最後の温かい風とかアモンのとこに舞い降りた白いヒヤシンス、お父さんからのメッセージみたいでエモすぎる…! 隼人の気遣いもアモンの優しさも全部沁みた…家族の絆がじんわり伝わってくる素敵な回だったよ🌸