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タイトル:贖罪を果たす
どうしようもなく罪悪感に苛まれる夜がある。
いや、罪悪感と表現するのはやや誤りかもしれない。
実際はそんな可愛いものじゃないんだ。
理解と寛容は任意であって押し付けるものではない。
それは紛れまない。
ただ周りと同じようにそれが自分にも適応されるのかと思うと些か尊大に思える。
思い上がるなよ、と。
周りが強さを拾う中、己は弱さばかり拾う一年だった。
気味も趣味も悪い恐怖と焦りと少しの苛立ちで綻んでいく自分と言う存在がやけにちっぽけで情けなくて死にたくなった。
そうして責任もまともに負えずあの目にプライドを傷つけられたと勝手に思い込み、そんな独善的な被害妄想で周囲に当たり散らしていたあの頃の自分はどれだけ餓鬼だっただろうと考えれば考えるほど、やはり死にたくなった。
結局自分はその水面に指先すら触れることの出来ない臆病者だった。
その事をずっと天敵に自己申告していた。
あいつの優しさを拒絶しながら利用して、脆さの上に胡座をかいた。
酷いことをしたんだ。
酷いことだ。
絶対に口には出せないが、正直どうしていいのかわからない。
何故自分がこんなにも動揺し恰も傷ついたかのような感情になっているのか、意味不明である。
自分は紛れもない加害者だと言うのに。
例の日からも変わらず今まで通り接してきたあいつに、今までとは違う焦燥と寂寥感が身を苛んだ。
均衡感覚が破綻し、俺は贖罪の居場所を失った。
あいつは全人類に対して甘いのだ。
人に甘い、優しいとは違う。
厳しくできない甘さ。
他者への爪の甘さ。
それに対して危機感を持てない己への甘さ。
その甘さを身近で大量に浴び続けた俺がどれだけ胸焼けで吐きそうになったかあいつは知らないだろう。
だから単純な罪悪感なんて言葉には収まらない。
そんな言葉で綺麗事にしてはならない。
要は、俺はあいつに嫌われたいのだと思う。
嫌って欲しい。
罰を下して欲しい。
差し出した首に向こうはナイフを突きつけるどころか触れもせず撫でもせず放ったらかしにして、自己処罰欲求は募る。
お前に対する責任を、俺に放棄させないで欲しい。
ずっと苦しめて欲しい。
俺がお前に与えた分、いや、与えた以上の苦しみが欲しい。
苦しいからお前なんかに見下されて、罰せられて、置いてけぼりにされたいんだ。
でもあいつはそんなこと絶対にしない。
なにか致命的に感情が欠落していると思う。
そしてそれは確実に俺のせいだ。
その性質を俺は未だに理解も、寛容もできない。
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こんな感じの雰囲気のダイナマイト(25↑)が個性事故で過去にトリップして中二〜三くらいの出久に出会う話。
自分が未来から来た爆豪勝己という事は明言しない。
けど正直薄々気づいている出久。