テラーノベル
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br × sm
※brさんほぼ登場しません。(後編には出ます)
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“好きなんだよね、君のこと。”
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sm視点
子供の頃、幼なじみに言われた言葉を今でも思い出す。
高校に上がった時、俺とそいつは違う高校に進学して、会うこともほとんどなくなった。
その幼なじみが、ポニーテルを結ってヒラヒラのスカートを履いて、歩きにくそうなヒールを履いているような、どこにでもいるような女の子だったらどんなに幸せだったんだろうって、ずっと思ってる。
至って普通の高校生活を送って、
普通に生活して、
普通に部活も恋愛もした。
男から告白なんてされることも無く、
そう。“普通”に。
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俺は高校を卒業したあと、地元から離れた大学に進学した。
その大学で知り合ったちょっと身長の低い彼と、よくゲームをして遊んだ。そこからちょっと動画投稿とかに手を出しながら、自分でもびっくりするくらい充実した学生生活を送れた。
ネット上の俺の名前は「スマイル」
友達の名前は「シャークん」
shk「なぁ、来週どっか行かね?」
sm「どっか行きたいとこあるの?」
shk「ない」
sm「なんだよそれ笑」
shk「スマイルの地元ってどの辺なの?」
sm「え、東京だけど」
shk「なーんだよ、つまんねーの」
sm「は?笑」
sm「まぁ、東京って言っても端っこの方だから」
shk「そうなの?」
sm「うん。なんも無いよ」
shk「行きたい」
sm「だから、なんもないって」
shk「いーじゃん。気になるし。」
sm「別いいけど…」
そんなこんなで、実に4年ぶりくらいに地元に戻ることにした。
親不孝者って言われるかもだけど、高校に進学した時から一人暮らししてて、そこから実家に顔出てないから久しぶりに戻る機会を与えてくれたシャークんに感謝するべきなんだろうなって思った。
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shk「ほえ〜、ここがスマイルの住んでた場所か…」
sm「な?なんも無いだろ?」
shk「ね!スマイルの家どこ?」
sm「もうちょっとだから、」
中学生の時に歩き慣れた道なのに、知らない場所を歩いているような気がして、ソワソワしながら実家までの道を辿った。
sm「ついた」
何も変わり映えのしない家。
そうそう、この道をちょっと行った先に、幼なじみの家があったな…。
そういえば今、あいつ何してんだろうな。
連絡先も知らないし、というか今更連絡するつもりはないけど、どこかでちゃんと元気にしてたらいいな、とは思う。
shk「…る、…スマイル!」
sm「んぇ、んだよ、急に大っきい声出して…」
shk「呼んでんのに無視すんなよ馬鹿」
sm「馬鹿は言い過ぎだろ馬鹿」
shk「入んねーの?」
sm「あぁ、入る…」
昔ながらの引き戸の玄関の扉をガラガラと開くと、奥の方から「はいはい、今行きます〜」って声が聞こえた。
sm母「どちら様です…か、って、笑夢!?ちょっと、来るなら連絡くらいしなさいよ!やだ、まだ化粧もしてないのに…、そんなことより!まず入りなさい?隣の方はお友達?いらっしゃい!ゆっくりしていってね!」
「お化粧お化粧…、あ、まずお茶出さなきゃね、」なんてボソボソ言いながらキッチンの方に向かっていった。
shk「なんか…、めっちゃ勢いのあるお母さんだな。お前とは大違いだ笑」
sm「うるさいだけだろ」
とりあえずここ座ってて、ってシャークんを案内して、親が出してくれたお茶を啜った。
shk「居心地いいな。」
sm「普通の家と変わんないだろ」
そこまで言いきって、ハッとした。
シャークんには両親が居ない。児童相談所に預けられて、そのまま誰にも引き取られることなく、高校生になって、一人暮らししてるって。本人がそう言ってた。
shk「そうだな」
シャークんはそれ以外何も言わなかった。
ごめん、そんなこと言うつもり無かったんだよ、ホントだよ、─なんて言えるわけなくて、俺は黙った。
しばらくして、化粧をした母が俺とシャークんがゲームをしている部屋をノックした。
sm「なに?」
<< ぶるーくくんに挨拶しなさいよー
俺は言葉に詰まった。
sm「シャークん、ごめん、ちょっとまってて、」
shk「おう」
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sm「母さん、ぶるーくまだここいるの?」
母「いるわよ?」
sm「いま、いる!?」
母「今は仕事してるんじゃないかしら…、分からないけど」
sm「し、仕事…?」
母「色々あったみたいよ。詳しいことは知らないけど」
sm「色々…。」
母「連絡あったら伝えるから、今はお友達と遊んできなさい」
sm「分かった…」
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sm「ごめん、」
shk「いいよ別に。…答えたくなかったらいいんだけど、ぶるーく、って誰?」
sm「…幼なじみ」
shk「ふーん、」
shk「なぁ、次こっちのゲームやろうぜ」
sm「うん」
その日はシャークんと夜遅くなるまでゲームをしてた。その日のうちに帰るつもりだったけど、帰らなかったのは、ぶるーくから連絡がなかったから。
シャークんには泊まってって言った。
晩御飯を一緒に食べて、風呂は温泉に行った。
ついてるモノの大きさ比べなんて子供じみたことはしてない。してないけど、シャークんのソレはかなり大きかった。
風呂に入ってる時、シャークんに聞かれた。
shk「筋トレでもしてんの?」
sm「なんで?」
shk「腹筋、割れてるから」
筋トレをしてないといえば嘘になる。でも、やってるのは週1程度。それでこの体がついてきたんだから、誇りに思う。
温泉から俺の家まではそう遠くない。湯冷めするのも良くないから早く帰ろうと思って帰る足を少し早めたところで、公園の向こう側に人影を見た。
shk「えっ、今なんかいた…?」
sm「…早く帰ろう」
shk「うん」
シャークんが、こう見えてこういうことに耐性がないのは知っている。
俺たちは少し小走りで家に入った。
??「気のせい…?」
コメント
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こんなにも素晴らしい文章を書ける力が私にも欲しい…何かコツとかあるんですか?