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「ごめんね、ttくん…」
山の中にある小さな小家で1人の女性の咳の音がする。
その女性は体が弱く、いつ体調悪そうにしている。
そんな女性の世話をするのは1人の赤ずきんだった。
「大丈夫やって…!おかん。食べもん持ってくるだけや!」
赤ずきんの持ち前の明るさ、面倒見の良さが母を支えている。
父は旅人でたまにしか帰ってこない。どうやら探している人がいるだとか…
だから赤ずきんは母の手によって育てられてきたのです。
「オオカミに気をつけや…!」
「うん!わかっとる!」
母に笑いかけると、カゴを持って外に出かけた。
今日はとりあえず食べ物を取ってくることになっている。おかんたちの分と、今度ばあちゃんに渡す用のやつをね。
「オオカミ…怖いな…」
オオカミ。赤ずきんには、鋭い牙、鋭い爪があり、人を傷つける悪い動物だと伝えられている。
だが、この辺でオオカミの目撃情報はない。それを頼りに今日も1仕事していく赤ずきん
「りんご…と。 あっ、これも欲しいな…」
カゴはだいぶ満タンになってきた。
日が落ちるのもあと少しなので、少しだけりんごを取ろうと赤ずきんは次の木に移動しようとした。
ーそのとき
「げほっ…」
日陰のある少し暗いところから咳の声がした。
「誰か、体調悪いんか…?」
その咳の声は、赤ずきんの母と同じような咳で赤ずきんは放っておけなかった。
赤ずきんは勇気を出して、その日陰に向かった。
「な、なぁ…大丈夫か?」
「えっ…?」
日陰を覗くと、木の下で座っている人がいた。
その人は慌ててフードを深く被ったため、見た目がよくわからなかった。
「…咳したん、君?」
「えっ、き、聞こえてた…?」
「うん」
「そっか、ごめんね。体調悪いとかじゃなくて…」
その人が話し始めると、お腹の音が大きくなった。
「あっ…//」
「お腹すいてたん?」
「うん、食べ物全然食べてなくてさ…」
その人は顔を赤らめながら、赤ずきんに目を合わせたり、逸らしたりしていた。
その人の咳は空腹によるものだったそうで、赤ずきんは安心した。
「じゃあ、これやるよ」
赤ずきんはカゴの中に入っていたりんごを1つ取り出して、その人の前に差し出した。
「え、いいの…?」
「お腹空いてるんやろ?」
「そ、そうだけど…!」
「空腹はあかんで、ちゃんと食わんとほんまに体調悪くなるで」
「この辺にこれと同じようなりんご取れるから、美味しかったら取ってみたらどうや」
その人の袖で隠されている手に、リンゴを手渡して赤ずきんは微笑んだ。
「……」
その人は口をぽかんと開けて、赤ずきんを見つめていた。
「あれ…もしかして…りんご苦手?」
「いや、違うっ…!!そういう訳じゃない!」
その人は思ったよりも自分の声が大きくなったと思わず、口を手で隠した。
「ごめん…俺こういうの貰うのはじめてで嬉しくて…」
「困った時はお互い様やろ?」
「…!うん!ありがとう」
「てか、それ重そうだね」
その人は赤ずきんの持っているカゴを指さした。
「これ?全然大丈夫やで!」
「持ってあげるよ」
その人はその場から立ち上がった。
赤ずきんはびっくりした。
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その人は自分よりも身長が高く、体格も一回り大きかったから。
「君ってこの辺でりんご集めしてるの?」
「う、うん…」
「じゃあ、この木も取るの?」
その人は赤ずきんの目線の高さに合わせて体を屈めて話した。
「ねぇ…!見てよ。このりんごの綺麗そうじゃない?」
「確かに、美味しそうやな」
その人は自分の身長を活かして、りんごの木からひとつりんごを取った。
「はい、これお返し」
その人は取ったりんごを赤ずきんの手に手渡して、目を見て微笑んだ。
赤ずきんはりんごよりもその人に目がいった。
フードを深く被っているものの、その人の赤い髪か少し見え、エメラルド色の瞳で思わず、見惚れてしまいそうなほど綺麗だった。
「あ、ありがとう…」
赤ずきんはその人の生き生きとした行動に圧倒されたものの、りんごをカゴの中に入れた。
「こんなりんご数、毎日集めてるの?」
「うん」
「へぇ…すごいね!」
「すごい、のか…?」
「どういう事情かはわからないけどさ、いつも一人で集めてるんでしょ?」
「俺もずっと一人でさ、誰とも話せないまま孤独に生きていたからさ、なんか親近感湧いちゃってさ!」
この人はずっと孤独で生きていて、ちゃんと話せる人に出会えて嬉しそうに自分のことを語りだしているのだろう。
それには赤ずきんも同情した。
赤ずきんもずっと一人で母の世話をし続けていたから。
「君…孤独やったんか…」
「うん…俺は〜、…そうだね」
その人は何か言いようとしたが話すのをやめた。
「そっちの方が辛そうやな…」
「そう?そんなこと言ってくれる人はじめてだな〜」
「俺は体が弱いおかんがおるんや、だから孤独ではなからな…」
「俺はおかんのためにいつも食べ物集めてるんや!」
「お母さん…心配だね…」
その人は自分事のように悲しんだ。
「うん。でも、俺が頑張ったらいつかおかんが体調よくなると思ってるんや!」
「だから、まだカゴ入りそうやし、あっちにも行ってみたいんよな〜」
「今日はもう帰った方がいいんじゃない?」
「あっ、…夜、や…っ…」
赤ずきんの顔がどんどん青ざめた。
その人と話していたら、 外は夕日に差し掛かっていて、夜になりそうだった。
夜になるとオオカミが出やすくなると、そう母に言われていたから。
「夜、怖いの?」
「ぅん…っ、オオカミがっ…こわい…」
「…!」
その人は目を大きく開き、顔が俯いた。
だが、すぐに元に戻り、決心したような表情になった。
「じゃあ、一緒に帰ろう。君の家に」
「え、っ…?」
その人は赤ずきんが見てない隙に一瞬手を隠した。
「手…どうしたん?」
赤ずきんが見るとその人の手には手袋がされていた。
「あ〜、これはね。ここに来る途中に怪我しちゃってさ!」
「君の手、汚したくなくてさ」
「さ、帰ろうか。赤ずきんさん」
その人は赤ずきんの目を見て微笑み、震える手を握り歩き出した。
「君は夜 …怖くないんっ…?」
「うん。もう慣れっ子だからね」
その人の話している時に物陰から木が揺れる音がした。
「ひ…ぃ、っ…」
「…こっち、おいで」
その人は赤ずきんの腰に手を回して、赤ずきんの身を引き寄せた。
「大丈夫。俺がついてるから」
「ぅん…」
「怖いなら見なくていい。俺に抱きついててもいいからね」
赤ずきんはその人の大きな体に抱きついた。
その人の体、手袋越しから伝わる温かさが、母とはまた違った温かさがあり、とても安心できたのだ。
「君の家こっちであってるよね?」
「あってる…」
「じゃあ、あともう少しだよ」
その人の声色はとても優しく、怖い夜も怖くなくなっていった。
少し歩くと明かりが着いた小家が見つかった。そこは赤ずきんの家で間違いない。
「はい、着いたよ」
「ありがとう…っ」
「カゴの中身とか大丈夫そう?」
「うん、全部無事や!」
赤ずきんの安心した顔を見て、その人も微笑んだ。
その人は赤ずきんからゆっくりと身を引いていった。
赤ずきんが安心できた温かさが、じわじわと無くなっていくような感じがして少し寂しくなった。
「じゃあ…元気でね」
その人は声はとても優しかった。
そして、赤ずきんに背を向けた。
「なぁ、…!また会える?」
赤ずきんはその人の腕の袖を掴んだ。なんだかもう会えない、そんな気がしたから。
「…ごめんね、もう会えない」
こちらには振り返らず、赤ずきんの手を振り払って走り出して行った。
「え、っ…。なんでや…っ…!!」
その人の走る足が止まった 。
赤ずきんの声は大きく、少し離れたその人の耳に届いていた。
黒い影が少し動いた、 どうやら俯いているようだ。
そして、フードに手を掛けた。
「あ、っ……」
その人のフードから出てきたのは、母から伝えられていたオオカミの耳だった。
その人…オオカミは優しく…でもどこか寂しそうに微笑んで、 また走り出してしまった。
赤ずきんはそのオオカミの走る後ろ姿を、見つめることしかできなかった。
オオカミの黒い影が暗い夜に完全に消えていった。
「あいつ、…っ。オオカミやったんか…っ…」
赤ずきんはその場に膝から崩れ落ちた。
オオカミのことは怖がった。
人を傷つけてしまう悪いやつだと教えられて、そうイメージづいていた。
だが、あのオオカミは違った。
赤ずきんが知ってるいる怖いオオカミではなく、優しいオオカミだったのだ。
その人は自分がオオカミであるのにも関わらず、赤ずきんを怖がらせないようにとフードをあえて深く被り、鋭い爪も手袋で隠していた。
おそらく、その人は自分が赤ずきんを怖がらせてしまうオオカミだと知り、あえてフードを脱いだのだろう。
あえて、フードを脱いで正体を明かすことで赤ずきんを失望させ、もう合わないように…
ー赤ずきんを怖がらせないようにするために。
ふと、あのオオカミがくれたリンゴが輝いた気がした。
このりんごは他のりんごより少し強めに握りしめられた跡はあるものの、綺麗に輝いていて美味しそうだった。
「会えないなんて言わんといてや…っ…!」
赤ずきんはそのりんごを潰さないように優しく、大事に抱いて、泣いた。
赤ずきんはあのオオカミに同情してしまい、また会えた時には一緒に食べ物集めをしたかった。
仲良くなって一緒に遊びたかった。
ーまた、会いたい…。
「ttくんっ…!」
母が心配したように扉をあけた。
「良かった…っ。ここにおったのね…良かったっ…。」
「ttくん…?」
母は赤ずきんの様子が変なことに気づいた。
「泣いてるん?」
「俺…っ、人に会ったんや…」
「うん」
母は赤ずきんをゆっくり立ち上がらせて、明るい中へ入れてくれた。
「その人が孤独って言ってて…っ、だからっ…、一緒に遊びたくて…」
「…!」
母は優しく赤ずきんを抱きしめた。
「でももう会えないんや…っ…」
「それは…どうして?」
「あの人…オオカミやった」
「え…っ」
母は目を丸く開かせ驚いた表情をしている。
「あなた…オオカミに会ったん…?」
「でもっ…!優しいオオカミやったんや…っ!!」
「……」
母は赤ずきんを強く抱き締めて、頭を撫でた。
「優しいオオカミなんてこの世におらんの」
「おる…」
「……」
「優しいオオカミなんて…いるはず、ない……」
母が突然涙を流した。
「え…、おかん…!?」
「ごめんね、思いだしたんや」
「優しいオオカミは1人だけいたわ」
「だ、だれ…?」
「そのオオカミはね…」
「赤髪で、エメラルドの綺麗な瞳で… 」
「たしか…jpって言う名前のオオカミだったわ」
母の言う優しいオオカミの特徴は赤ずきんが助けてくれたオオカミと同じだった。
「その人はオオカミに襲われて死にかけになった、父を庇って逃がしてくれたの」
「おとんの探している人って…」
「うん、その人のことや」
「俺もその人に助けられたんや…!」
「ttくんもだったのね…」
「おとんはその人に会ったことあるん?」
父もその人を探していて、会っているならまた会えるかもしれない。
でも、現実はそううまくいかなかった。
「ううん、一度も会えてない」
「ずっと助けてくれたお礼をしようと探しているけど、助けたっきり会えていないんやってね」
「だから…もう、会えないかもしれないね」
母はごめんねと静かに泣くttの背中を摩っていた。
__𝐹𝑖𝑛.
色んな赤ずきんオオカミパロに影響された結果です。
あんま伸びてなかったり、恥ずかしくなったら静かに消えてると思います。
この後の展開は想像にお任せします。
コメント
1件
わあ〜〜〜!!らむさん、このお話めっちゃ切なくて胸がぎゅってなったよ😭💕 「優しいオオカミ」なんてこの世にいないって言われて育った赤ずきんが、実際に出会ったオオカミはめちゃくちゃ優しくて…// 最後にフード脱いで耳見せたとこ、マジでエモすぎて声出たわ…!! 「もう会えない」って言うオオカミの気持ちも、赤ずきんの「また会いたい」もどっちも尊すぎて泣ける…😢✨ 続きすっごい気になるし、この世界観めっちゃ好きだから絶対残っててほしいよ〜!!応援してるからね🌸📖💕