テラーノベル
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「おい、何すんだよ」
葛葉が不機嫌そうに俺を見上げた
隣では少し飲まされた酒に小柳が咽せっている
「歩いてきたから喉乾いちゃって」
「ふーん‥‥」
興味なさげに葛葉が返事をしながら小柳の顔を手で掴んだ
そして飲みきれなくてこぼしてしまって濡れた小柳の顔を葛葉が舐めとった
「ゲホッゲホッ‥‥っ!嫌っ‥‥止めて下さっ‥‥」
「何してんの葛葉‥‥そういうことしたいなら2人になったらやれって」
「何だよイブラヒム、うるせぇな」
「小柳だって俺達に見られるのは嫌だろ。それにいつも連れてる連中とは小柳は系統が違うし」
「別に一緒だろ」
そう言うと葛葉が小柳の背中に手を回した
小柳の顔色が見るみる悪くなるのが分かる
「なんかさ、こやの顔色が悪いみたいだから今日はもう帰った方が良いんじゃない?」
ふわっちがそう言うと葛葉が小柳の顔を覗き込んだ
「何お前、具合悪いの?」
「‥‥‥‥少し」
「ローレンだって今来たばっかなのに」
「俺ならもう飲んできたから大丈夫。また次みんなで飲めば良いし」
「じゃあ帰ろうか」
それぞれタクシーを呼ぶ
先にイブラヒムとふわっちが帰って行った
通りには俺と小柳
葛葉は中の店員と話をしている
「お前‥‥何してんの?」
「‥‥何って」
「お前葛葉に‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
目の前にタクシーが2台停まった
一台は俺
もう一台は葛葉と小柳の分
まだ葛葉は店から出てこない
「小柳‥‥」
「‥‥‥‥」
「お前が望むなら俺が連れてってやろうか?」
「っ‥‥!」
小柳は目の前のタクシーを見たまま動かなかった
冷たくなった夜風が2人の間を駆け抜ける
手をギュッと握って小柳が口を開こうとした時
「あれ?タクシーもう来てた?」
「っ‥‥」
「‥‥‥‥」
何かを言いかけて力を込めた小柳の手が葛葉に攫われる
俺はそれを黙って見ている事しかできなかった
「じゃあまたな。ほら行くぞ」
「あ、はい‥‥」
目の前で扉が閉まり、小柳を乗せたタクシーが走り去った
俺はそれをただ見つめ立ち続けていると後ろのタクシーの運転手が窓を開けて俺に向かい声がけをしてきた
「お客さん、乗らないの?」
「あ‥‥いえ、乗ります」
ネオンが消えかける街
それを眺めながら俺は激しく後悔していた
あんな事小柳に問いかけるんじゃなかった
あの時ただ小柳の手を取ってこのタクシーに乗ってしまえば良かったのに‥‥
俺は掴めていたものを目の前で自ら取り逃がしたんだ
俺は本当馬鹿野郎だ
今頃お前は葛葉と‥‥‥‥
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コメント
4件
うわ、この第4話、すごくもどかしい展開でしたね……。主人公が小柳に「連れてってやろうか?」って聞くシーン、あそこで小柳の手を取ってタクシーに乗せてあげられなかった後悔がひしひしと伝わってきて、読んでるこっちまで胸が締め付けられました。小柳が何か言いかけて手に力を込めた仕草、あれ伏線ですよね。この先どうなるのか気になって仕方ないです。
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