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しゃらんと鈴の音が鳴るその時。

この遊郭が開く。



「ねぇ、そこの旦那?あたしの一夜を買ってくれよ。ねぇ、そこの旦那。あたしの一生買ってくれよ。」



そう言う彼女の名前は,真宵 陽華まよい ようか


遊郭で名乗る彼女の名は、まい。


そしてこの花街の名は、凪華街なぎかまち


そして、この花街で一番の花魁と楼主の甘くも苦い恋の話


_____________________





「はぁ、今日も客つかへんわ…なんでなん、」


「なに、また、まい、客取られたのか?」


「言わずもがな,わかるやろ、、あいつらのせいや」


そういって、狐の面を持ち上げ花魁たちを指差す彼女。

彼女は,人気の花魁。人気すぎて嫉妬され、最近は,客を取られやすい。

彼女の立ち振る舞いと姿はあまりにも妖艶で蝶らしい。



そりゃ、凪華街の蝶と呼ばれるよ。



「なぁ、まい。もしもだぞ?身売りの話が来てるって言ったらどうする?」


「お断りや。あたしは、ここで生まれて,この遊郭で育った。そして、あたしは、ここの花魁。おばあさまから頼まれたこの遊郭を捨てるわけにはいかん。」


「今の楼主…俺やけど?」


和雛わびなに頼んだのはあたしや。あたしは、花魁として頑張るしかない。それがあの凪華街の華と呼ばれし,あの花魁。宵葉の娘のこのあたし、舞や。」



「いつか、俺がここから去るその時は.」


「言うな.なんも。」


「わ、悪い…」


「まぁ、ええさ。指名来たから行くでな。がんばりんさい、楼主様?」


「ん、いってらっしゃい。」













『彼女は,蝶というより、棘のない薔薇だなぁ…』

そんな呟きは、聞こえてないよな。














遊郭の蝶。可憐に舞しとき宵の世界が開く

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