コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
しゃらんと鈴の音が鳴るその時。
この遊郭が開く。
「ねぇ、そこの旦那?あたしの一夜を買ってくれよ。ねぇ、そこの旦那。あたしの一生買ってくれよ。」
そう言う彼女の名前は,真宵 陽華
遊郭で名乗る彼女の名は、まい。
そしてこの花街の名は、凪華街。
そして、この花街で一番の花魁と楼主の甘くも苦い恋の話
_____________________
「はぁ、今日も客つかへんわ…なんでなん、」
「なに、また、まい、客取られたのか?」
「言わずもがな,わかるやろ、、あいつらのせいや」
そういって、狐の面を持ち上げ花魁たちを指差す彼女。
彼女は,人気の花魁。人気すぎて嫉妬され、最近は,客を取られやすい。
彼女の立ち振る舞いと姿はあまりにも妖艶で蝶らしい。
そりゃ、凪華街の蝶と呼ばれるよ。
「なぁ、まい。もしもだぞ?身売りの話が来てるって言ったらどうする?」
「お断りや。あたしは、ここで生まれて,この遊郭で育った。そして、あたしは、ここの花魁。おばあさまから頼まれたこの遊郭を捨てるわけにはいかん。」
「今の楼主…俺やけど?」
「和雛に頼んだのはあたしや。あたしは、花魁として頑張るしかない。それがあの凪華街の華と呼ばれし,あの花魁。宵葉の娘のこのあたし、舞や。」
「いつか、俺がここから去るその時は.」
「言うな.なんも。」
「わ、悪い…」
「まぁ、ええさ。指名来たから行くでな。がんばりんさい、楼主様?」
「ん、いってらっしゃい。」
『彼女は,蝶というより、棘のない薔薇だなぁ…』
そんな呟きは、聞こえてないよな。