【丸いマーク】: nkkr
nk視点
kr『なかむ?』
nk「なにー?」
kr『いた、俺の彼氏』
俺にピッタリくっついて横に腰掛けた。
ふわっと香る彼の匂いに酔いしれて、無意識にも彼の顔が見たくなり振り向く。
俺の目を見て満足気に微笑んだ彼は、腰に手を回して身体を更に密着させてきた。
nk「俺、やんの匂い好き」
kr『なかむもいい匂いするよ』
本当か嘘かもわからないそんな言葉に嬉しくなり、俺も彼の背中に腕を回して抱き締め返した。
できるなら、ずっとこうしていたい。
肩に頭を擦り付けて首元を すんすんと嗅いでいる彼の髪を撫でる。
これだけ足いてもらえているなら、安心。
nk「ごめん、俺そろそろ出なきゃ」
kr『そっか、もうそんな時間か』
kr『早く帰ってこいよ』
nk「約束する」
少しだけ不安そうな表情を浮かべる彼に笑い返す。
所詮貼り付けた笑顔でも喜んでくれるならそれでいい。
どんな天変地異に見舞われようと、俺の方が愛してるから。
絶対離さないし、どこにいても可愛い彼女の元に帰る。
心の中でそう誓い、鞄を肩にかけて家を出た。
kr視点
がちゃり、
無機質な音が部屋に響いた。
ひとりしかいないこの空間で退屈だけが走り回る。
腕の中から失われた温もりを探しても、もういない。
いつも通りなかむの部屋に入り込み、スマホを起動させた。
大好きな匂いが鼻腔を擽り、つんと強すぎるほどの刺激を与えてくる。
それからはアプリを開いてただただ眺めるだけ。
家からゆっくりと離れていく丸を見て寂しくなって。
止まった信号赤になったのかな、とか
走ってる急いでるのかな、とか
それがいちばんわくわくする。
なかむが生きてるなぁって。
俺も生きてるなぁって。
本当に同じ世界にいるんだなぁって。
その時、丸いマークが消えた。
あれ。
どうして。
なにか、あったのかな。
なんで消えた。
おかしい。
回線が悪いのか。
ただのエラーなのか。
なにがおかしい。
おかしい。
変だよ。
どうして。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
なかむ。
kr「なかっ、ッっぇッ、っしッたっ」
nk『きりやん?大丈夫?どうした?』
携帯電話越しに聞こえる声に少しだけ安堵して視界が明るくなってくる。
うまく声がでなくて。
うまく言葉にできなくて。
うまく息が吸えなくて。
うまく立ち上がれなくて。
うまくスマホを持っていられなくて。
俺、死ぬのかな。
nk『きりやん!ちゃんと深呼吸!』
しんこきゅう。
nk『きこ…ってるッ…?』
なかむ。
nk『…ゃんッ!、へんじっ…ッ!』
なんて。
nk『っ…ッ!、っっ…、…ッ!』
なかむ。
nk視点
電話越しに聞こえた彼の声。
すごく追い詰められてた。
家まで全力で走って向かう。
いつもより乱暴に音を立てて開けた扉は、ばたんと勢い良く閉まった。
nk『きりやん!どこにいる?』
かひゅ、ひぐっ、
まさかとは疑いつつも俺の部屋を開ける。
そこにはベッドの上で小さくなっている彼がいた。
nk『大丈夫、大丈夫だよ』
nk『めいっぱい息吐いて』
nk『吸わなくていい、焦って吸わなくていいから』
nk『ちゃんと息ぜんぶ吐いて』
kr「ッっは…ッっ、っ…っッひっ」
nk『俺はここにいるよ、いなくならない』
nk『きりやんもちゃんと生きてるよ』
kr「ッく”ッっ…ッは~っッ、ぁっッ…」
少しずつ少しずつ、深い呼吸になっていく彼を慰めながら顔を覗き込む。
かっ と開いた目にはいつもよりずっと黒い瞳が顔を覗かせた。
理由こそわからないが、頬には一筋涙の跡が残っている。
すごく可愛らしい形相をしていた。
いつもは綺麗系だけど、今は可愛い系ってかんじ。
kr「なかッぅ”…っッはっ…~ッ”っ」
nk『はいはい、俺はここにいるよ』
nk『焦んなくていいから、もっとゆっくり息吐いて』
kr「はッっ…ふッぅ、~“っ、ッ…」
nk『もう大丈夫、大丈夫だからね』
nk『ちょっとしんどかったね』
kr「ふ”ッ~っ、ぅッ~っ、ッ…はッ~…」
nk『偉い偉い、もう焦んなくていい』
kr「ふッ~~っ、…は~ッ、ふっ~ッ…」
nk『頑張った頑張った』
kr「は~ッ…ぁ、っなかむ…、ッ」
nk『喋れる?』
kr「なかむ、っ…なかむっ、」
nk『うん、なーに』
kr「おれ、っなんか…したかな、ッ」
nk『なんか?きりやんは何もしてないよ?』
kr「じゃぁ、な、んで…ッ、っ」
呼吸が浅くなってきた彼の背中を摩り、深呼吸を促す。
まだ落ち着きは取り戻せてはいないようだが、それでも必死に伝えようとしてくれる。
俺のために、俺のためだけに。
nk『大丈夫大丈夫、ゆっくりね』
kr「いち、じょうほぅ…ッっ」
nk『位置情報?』
kr「なんで、きったの…」
nk『位置情報切った…?』
ポケットからスマホを取り出して確認する。
それと同時に、さっきオフにした位置情報をオンに戻した。
nk『いや、切れてないよ?』
彼に画面を見せると不思議そうに目を見開いた。
急いで彼自身も自分のスマホを手に取って確認する。
kr「ぁ…繋がってる、」
nk『見間違えかな?』
kr「そぅ…かも、」
kr「ごめんね…俺の勘違いで」
nk『全然?俺はきりやんと居れる方が何より幸せだから』
俺自身、愛は重い方だとおもってた。
でもきりやんならお互いに愛し合えそう。
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