【幽閉】: brsm
sm視点
視界にもやがかかっているようで、どうもはっきり見えない。
そのせいか、意識も朦朧としてきたような気がする。
見渡す限り窓のないこの部屋で俺は何をしているのだろうか。
癖で左耳に触れる。
耳につけていたはずの小型インカムは無くなっていた。
恐らく奴らに取られたのだろう。
どうせこんな部屋では電波も通じない。
鉄の扉の向こう側ではたくさんの足音が聞こえる。
それでも誰もこの部屋の扉を開けない。
裏切り者とかスパイとか、そんな者が実際にいればいいのに。
ドラマみたいなことが起こるはずもなく、俺の心臓の音だけが木霊した。
その時、突然扉が開いた。
br『お〜…いいじゃん』
sm「……は、?」
br『噂どおり、きれいだね』
目の前の男は俺の手足に付いた枷を撫でて目を合わせてくる。
徐々にその手は俺の身体へと滑らされ、男は じとりと色気じみた表情を浮かべた。
sm「…誰だよ、」
br『そんな口聞いちゃだめでしょ』
br『自分の立場分かってんの?』
こんな所に捕まっている時点で俺の任務は失敗したのだろうとは勘づいている。
とはいえ、なんの条件も提示されていない中で立場と言われようが、興味は無い。
br『君さ、なかなかしぶといって聞いたよ』
br『ちゃんと鍛えてたんだね ?』
頭からつま先まで舐めるように見下ろしてくる。
なにが原因なのか、胃のあたりが ぐずぐずと唸り出した。
その目から、その仕草から、その声から、
冷たい手枷と足枷から、薄暗い空間から、酸素の薄いこの部屋から、
はやく、
はなれなきゃ。
目を覚ますと男は姿を消していた。
今までとなにも変わらない無機質な景色が広がっている。
何故かいつも以上に身体が重く、頭が働かない。
まさかと思い、この部屋に酸素を届けてくれているパイプに近づく。
壁に固定された鎖に繋がった手枷が音を立てても、気に止めることなくできる限り近づく。
どれだけ枷が肉にめり込んでも、靄がかかった頭では痛みを感じるより先に酸素を求めてしまう。
パイプに近づいて、残った力をなんとか絞り出して耳を澄ませた。
sm「ぅ、そッ…だろ、…ッ」
いつも淡々と鳴っているはずの音は途絶えていた。
あいつの仕業なのか、
それとも機能の不具合なのか、
呼吸が縛られていくことにひとつ焦りがでてきて、
もっと、
あたまが、
しゅー、しゅー、
突然、パイプが空気を吐き出し始めた。
懸命にそれを吸い込む。
徐々に視界がはっきりとしてきて、手足に痛みを感じた。
やはりただの不具合だったのか。
血の滲んだ自分の手足を見て、ひとつ息を吐く。
肺いっぱいに広がる酸素を噛み締めながら、疲れきった身体を床に倒した。
ひんやりとしていて、俺を全く包み込もうとしないコンクリートを背中で感じる。
数日間もここにいれば、とっくにこの感覚にも慣れていて瞼を閉じれば眠れるものだ。
空気の音に安心して静かに目を瞑った。
sm「ッ…、っ、ッ?…~ッ?、?」
おかしい。
なにかが。
br『大丈夫?体調悪い?』
ただ、目の前には人がいて。
見覚えがある顔。
このひと、どっかで。
誰だっけ。
酸素止めた人だ。
ちがう。
結局は不具合だったんだ。
誰だ。
話したことある。
ここの人なのか。
なまえ、は。
知ってるっけ。
br『水飲みな?』
首に手を添えて上半身だけ起こされる。
もう片方の手に握られたグラスを傾けられ、流れてくる水を飲み込んだ。
少しは楽になった。
と思う。
ただ、声は上手く出せなくて身体も思うように力が入らない。
br『お薬飲もっか』
そう言って男はひとつの錠剤を取り出した。
流石にこんなに怪しいところで薬は飲みたくない。
何の薬かもわからない。
力が入らず抵抗できないのをいいことに、口に薬をいれられた。
これだけは、絶対飲まない。
飲んだら、どうなるかわからない。
だめ。
だめだから。
お願い。
動け、俺。
全身の筋肉に意識を向けて一気に力を絞り出す。
口の中に水が入り込んできたところで、勢いよく吐き出した。
br『あれ?どうしたの?』
相変わらず声は出ない。
突然身体を動かしたせいで大きすぎる疲労感に襲われて身体も動かない。
できる限りの力で睨みつけようとも、そんな小さな動きでさえできる力が残っていない。
br『そんなに怖がらなくて大丈夫』
br『僕は心配なんだよ、君が』
絶対に違う。
何か企んでいるに違いない。
頭では十分にわかっているはずなのに。
男はケースからもうひとつ錠剤を取り出した。
身体の横に置かれたグラスが口に近づけられる。
br『よし、これでしばらくしたら効いてくると思うから』
そんな言葉を残して男はこの部屋を去って行った。
もう、俺
死ぬのかな。
灰色一色の無機質な天井を見上げて思考を止める。
もうなにも、考える必要なんてない。
身体は微塵も動かないし、できることもない。
苦しくなければ、それでいい。
楽に死ねるなら、それでいい。
忘れられるなら、それでいい。
もう誰にも、会わなくていい。
錠剤が食道を通った不快感が未だに残っている。
既に体内で成分が溶けだしている頃だろう。
どう藻掻こうが足掻こうが手遅れ。
ただ、何の為に飲ませたのか。
それだけが疑問として残った。
これで眠ってしまえばもう目覚めることはないのか。
それともどこかに連れていくための睡眠薬なのか。
はたまた本当に俺の身体の不調を治してくれるものなのか。
まぁ、どれでもいいか。
俺には関係ない。
br『おまたせ、さぁ始めようか』
またもや部屋に入ってきた男の手に握られていたのは目を疑うものだった。
俺はこれから何をされるんだ。
麻縄にガムテープ、口枷と目隠し。
加えて恐らく性行為に使うであろう道具たち。
遠隔ローター、バイブ、ディルド、潤滑ゼリー、コンドーム、そして小瓶。
男の持ち物を一通り確認し終わると、自分の身体が少し動くようになったのを感じた。
br『あれ、思ったより早いな』
br『ちょっと待って、大人しくしてて』
声が出ない分助けは呼べない。
呼んだところで来るのかもわからない。
まだ身体は重いがなんとか動かせる範囲で床に這いつくばったまま扉に近づく。
強い力で突然手枷を引かれて仰向けになった。
br『こら、なに逃げようとしてんの』
男の手は俺の手枷に繋がった鎖を離そうとしない。
引っ張られては痛みが伴い抵抗できず、扉から離された。
sm「ゃ…ッ、”っ、…”ろッ」
br『声も出るようになってきた?』
br『じゃあより危ないな』
目の前の男は器用に麻縄を解くと俺の足首を太腿の付け根につけるようにして縛りつけ始める。
やばい。絶対にやばい。
未だ本調子では無い身体で精一杯の抵抗をしようと、全く効果がない。
br『いいね、ちょーかわいい』
br『声聞きたいんだけど噛まれるの怖いからつけるね』
ベルトがついた球体を口に押し付けられ、緩んだ瞬間に噛まされた。
そのまま後頭部に向かってベルトを引っ張られ球体を吐き出そうにも吐き出せない。
br『完璧だね』
br『はい、あっちむいて』
その言葉と同時に俺の身体を無理やり起こして壁を向かされる。
正体のわからない男にこんな状況で背中を向けるだなんて恐ろしい。
かちゃかちゃと金属が触れ合う音が聞こえ、手首の痛みが突然なくなった。
手枷が外れたのかと思い全力で振り切ろうとすると、俺の動きを読んでいたかのように強く手首を掴まれる。
br『そんなに睨んだって無駄だって』
br『今は、逃げるより従った方が安全だよ?』
その言葉に無意識にも力が抜けてしまい、元の場所に腰を下ろした。
すると両腕を背中側に回される。
直角に肘を曲げて両腕を拘束されてしまえば、少したりとも動かない。
挙句の果てに赤ん坊がつけるようなミトンを付けられ指の自由さえ全く効かない。
sm「ん”…!ん”っ”…!」
br『もう逃げられないんだから、暴れて痛い思いするのスマイルだよ?』
なんで名前を知ってるんだとか、ここから逃げなくちゃとか。
そんなのどうだっていい。
ただこの現状が気持ち悪くて舌を噛み切ってしまいたい。
そんな唯一の願いもつけられた口枷によって、叶うはずのない願いとして蒸発する。
この男の余裕ぶった顔が大嫌いだ。
br『…もうちょっと大人しくしててくれたら打たなくて済んだのに。』
腕に感じた僅かな痛み。
それとほぼ同時に意識が途切れた。
目が覚めて真っ先に視界に入ったのは切り刻まれた俺の服。
自分の身体を見ると下着までも脱がされていて無防備そのものだった。
br『やっと起きた〜…』
br『僕がどれだけ待ったと思う?』
発情したような笑顔を向けながら、ひたひたと俺の身体に触れてくる。
本当に気持ち悪い。
そんな意思に反して身体がびくびく跳ねまくる。
br『かわいい!その顔…なーんにも分かってない顔』
br『後ろ使うの初めて?きっと初めてだよね、慣らしてあげる』
潤滑ゼリーを手に取ると指を1本ゆっくりと孔に沈めてきた。
sm「んっ…♡ッ”っん”…、っ!」
br『感じちゃうねぇ?』
気持ちよくなんかない。
むしろ気持ち悪くて仕方ない。
それでも不意に出た甘い声に自分が騙されそうになる。
中を広げるように動かされ、増やされ。
繰り返されるうちに俺の声は糖度を増していった。
br『十分かな、』
br『とりあえず小さいからローターから入れよっか』
sm「ん”っ、!♡…っん”っんッ…!」
br『上手に飲み込めたじゃん』
かちっと鳴らされた音と共に振動が始まった。
sm「ッん”っ、んっ…ん”んッ…」
sm「ん”~ッ!…んっ、んッ”っ…」
br『気持ちいい、気持ちいいね 』
愛おしそうに見つめながら頭を撫でてくる。
気持ち悪すぎ。
首を動かしてその手を振り払うも、何度もめげずに撫でてくる。
sm「んッ”っ…っ~んッ、っん”♡」
sm「ん”っん…ッんっ、んッ~♡」
br『ほら、自分でもわかるでしょ?』
br『さっきまで威嚇するみたいに唸ってたのに、今じゃ欲に溺れた甘ったるい声になってきた』
br『スマイルの身体は気持ちいいんだよ』
気持ちいい?
馬鹿言ってるんじゃない。
俺はお前が不快で不快で仕方ないんだ。
だが自分の声と思考が快楽に引っ張られているのはわかっている。
でも抵抗できない。抗えない。
sm「…んっ、ッん”ん~っ…んっ♡」
br『いいんだよ、イっちゃっても』
耳に男の吐息がかかる。
気持ち悪い、のか…?
俺はただ快楽に呑まれるのが怖いだけなのか?
いや、ちがう。
こんな変なことをするやつが気持ち悪いんだ。
見失っちゃいけない。
酷い醜態を晒しておきながらもまだ理性は残っている。
ここで呑まれちゃいけない。
sm「んッ、んっ…~ッん、んんっ♡」
br『ほら、我慢しないでイっちゃえ』
sm「んっ…ッ”っ!ん”ーッ…!」
もう一度全力で振り払おうと身体を捻じるも敵わない。
ここで達してしまえば、それこそもう逃げられないような気がしてならなかった。
br『まだ逃げようとしてるの?』
br『後ろでイくのが怖いから?』
br『大丈夫、怖くないよ、僕がいる』
俺が逃げたいのは快楽に怯えているからじゃない。
お前が嫌いなんだ。
この部屋が嫌いなんだ。
なぜ俺が捕まらなくちゃならなかったんだ。
br『ねぇ、そうだよね?イっちゃうの怖いんでしょ』
br『僕の前で、こんな情けない姿で、』
br『イっちゃうのが嫌なんでしょ?』
いや、ちがう。
俺に限ってそんなはずない。
ただ俺は家に帰りたいだけのはず。
だから、だから。
br『気持ちいいなって感じるところわかるでしょ?』
br『そこにだけ意識向けてそれだけ考えるの』
sm「ッん”っ…っ~んんっ、ッ”~♡」
br『そう、上手』
sm「んッ、んっ…ッん”~~~~~~ッ♡」
br『1回止めよっか』
一度の絶頂で痙攣が止まらない。
違和感を感じて自分のモノに視線を落とす。
sm「っ…、?」
br『…まだわかんないの?』
br『あれだけ感じてて、あれだけ派手にイったのに?』
さっき確実に達したはず。
その証拠に目の前の男の服が俺の体液で白くなっていた。
それなのに、
どうして俺のモノは反り立っている。
br『もう挿れていい?』
sm「ッ”っ…っ”~、”…」
br『だからさぁ…』
再度何とか逃げようと試みるも完全に拘束状態にある身では不可能。
両肩をつかまれ背後から抱きしめられる。
こわい。
br『もうギンギンじゃん、辛くない?』
口枷のせいで上手く呼吸も出来ず、縛られた身体は痛み、内臓も骨も悲鳴を上げていた。
それなのに、俺の下半身はいきり立って治まらない。
こんな歪んだ性癖あるわけないのに。
sm「ん”ッッ、!?、っ”ッ~っん”ッ…♡」
br『身体は気持ちいいって言ってるよ』
見なくても、言われなくてもわかる。
背後にいる男の性器が俺の孔に挿入っていること。
すぐ側に投げ捨てられた小さな袋からして生ではないことだけはわかる。
それが唯一の心の救いだった。
一気に入り込んだ衝撃が緩やかになると、奥に少しだけ触れているブツに意識が向いてしまい締め付ける。
br『ほら、ねぇ気持ちいいんじゃん』
男相手に勃ってるお前が。
無理やりされて感じてる俺が。
心底気持ち悪いとしか思えない。
その思考回路を遮るように弾ける快楽。
気持ちいい。
br『動くね』
sm「ッん”っ、んっッん、~っん♡」
sm「んッ!?っん~“っ、ッんっッッ、♡」
ゴツゴツと身体中に響くピストンに耐えていると、俺のモノが握られて上下に動かされる。
前からも後ろからも攻められては耐えられるはずもなく、もう一度白濁を吐き出した。
それでも男の動きは止まることなく前を扱かれ後ろを突かれ。
俺の腰を支えているだけの手にも徐々に快楽を覚えるようになってしまった。
気持ち悪いのに、気持ちいい。
今さっき達したばかりなのに、また俺のモノは反り立っていた。
sm「ッ~?っ、んッ”っ、んッ、? 」
br『なんでまだ気づかないの?ほんと、可愛いね』
何度も突かれ。
何度も扱かれ。
何度も絶頂して。
俺の身体は限界を迎えようとしているのに、
俺のモノはまた元気を取り戻す。
体力にも意思にも反して反応している身体に戸惑っていた。
それでもなお止まることの無い男の動きに視界は弾け、時々暗転する。
脳が溶け出す感覚に襲われて考えることさえ儘ならなくなり、周囲の音も身体がシャットアウトして聞こえない。
自分の声も、淫らな水音も。
聞こえないながらも快楽を享受していた。
もう、気持ちいいだけ。
br『…ほんと、かわいいね』
sm「んッ、んっ、ッんっ、っん♡」
br『声も顔も可愛くなって、どろどろだね?』
br『もっと警戒しないと、もっと抵抗しないと 』
br『できないからこうやって捕まって犯されちゃうんだよ?』
sm「ッんっ、ん、ッっんっんッ♡」
br『供給されて吸い込んでる気体が酸素だけとは限らないし、』
br『体調を回復させるための薬とは限らない』
br『薬を服用するために用意された水だって、なにも入っていないとは限らないんだよ?』
br『打たれた注射だって睡眠薬としての効果のみとは限らない』
br『もしどれかに毒が入ってたら、そう考えたことはあった?』
br『もし全てにバイアグラが入ってたら、そう考えたことはあった?』
今更、なにを。
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