コメント
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うん うっしーの為だね!ヨーキー がんばれ! てかスーツのキヨ想像しちゃうと……ぐへへ 確かにエロい……🦆しれない(かもしれない)
« 現地集合な。あくまでパーティーだからちゃんとスーツ着ること、分かった? »
« うっしーは俺の事をなんだと思ってんの? »
« 餓鬼。 »
« うっしーの名前って馬鹿だったりする? »
« そーかもな。とりあえず遅れんなよ。 »
« わかったわかった。 »
LINEを適当に返しては画面を閉じる。
スーツで参加するパーティーかぁ…、ゲーム実況関連だからってうっしーに誘われたけど…ホントに俺が行くところなのかぁ ?
今更ながら不安に感じるキヨはクローゼットの奥深くからかつて着ていたスーツを引っ張り出した。
(案外着れんじゃん。)
着てみたところまだ着れる。…が、身体のラインや動きに合わせて着いてくるくらいピチッとしたシャツに顔を歪めた。まぁ…上からスーツ着るし…何とかなるだろ。
ラペルホールに少し装飾を施してはらしくないが少しコロンを振った。髪を梳かしいい感じ(いつも通り)に流しては準備完了。
…って、こんな簡単な準備で良いのか? いや、いいんだろうけど心配になる。この現象なんて言うんだろう…確か”メタ記憶”とかだったかな。んな事どうでもいいんだよ。なんか、もう少しお洒落しとく?
爪の形を整えては控え目な香りのハンドクリームを塗ってネクタイを締め直す。
…うん、今日もかっこいい。
最後に姿見を見てそう自問自答してはセカンドバッグ(と言いつつもこれだけ)を持ち、家を後にした。
俺が会場に入ると視線が集まった。
…やっぱ俺人気者?
自意識過剰に思われるが、まぁ事実。妬まれても困るね。
特徴的な赤い襟足のおかげで皆気付いたのだろう。視線が集まり会場が黄色い悲鳴やザワザワする声に包まれ悪い気はなかった。なんなら気持ち良かった。
すると1つの小さい影が俺の前に現れた。
「あ、うっしー。」
「…早く行くぞ。」
優しい目ではなかった彼に疑問を抱くも強く握られた手の方に意識を持っていかれ小さく唸ってはうっしーに連れて行かれた。
辿り着いたのは会場の真ん中辺り。楽しげな音楽と共に踊り子が踊っていた。恐らく客が集まるまでこのような少しした催しがあるのだろう。俺は小さく声を漏らせば踊り子の踊りをまじまじと見詰めた。
「ほら、手。」
「…え?」
「俺らも踊ろうぜ。」
「待って、本気?うっしーだって踊れないでしょ!」
「お前が来るまでここで練習してたんだよ。」
「…らしくねー。」
「まぁまぁ、ほら、お手を私に。」
「………エスコートしてよ?」
「心配ご無用。」
俺はうっしーの手を取ると彼はそのまま俺の腰に手を回しゆっくりとステップを踏み始めた。横に揺れるように、ゆっくりと互いにステップを確認した後、うっしーは俺を回転させた。唐突の出来事で驚いて蹌踉めく俺をダンスの1部かのように魅せて抱き寄せる。周りの客は踊り子よりも俺らに釘付けだった。たかが成人男性二人。何をそんなに見る要素があるのかと眉を寄せたがうっしーはそれを許さなかった。
「ダンス中。俺の事だけ見てて?」
「…、」
俺はうっしーと絡めた指に力を入れた。うっしーは満足そうに口端を釣り上げれば同じようにエスコートしながら踊る。
無事1曲踊り終えてはうっしーと身体を離した。先程まで感じていた体温が離れるのは思いの外寂しかった。なんというか…独りと言うのを感じさせるような気がしてならなかった。俺はその寂しさを紛らわす為ふらりと飲み物を置いているコーナーに向かう。うっしーはどうやら企業側に呼ばれたらしく名残惜しそうにこの場を後にした。
「はぁー……」
大きく息を吐いてはグラスを傾ける。
「…あの、キヨさん、ですか?」
同い年くらいの男性に声を掛けられた。突然の事でグラスを取り落としそうになった。
「っ、あ、はい、」
「…良ければ……僕とも踊っていただけませんか?」
ゆっくりと手を差し出してきた。
正直ダンスは楽しかった。だがあれはうっしーのエスコートがあったからであって自分に技術があった訳では無い。足を引っ張り兼ねないしこれで落胆されても困る。でもうっしーの時の様にエスコートを頼めば…?いや、だとしてもダンスの癖等も人それぞれにあると思う、もし彼と自分が合わなかったら……?合わせるしかない、?合わせるのは人よりは出来ると自負はしている。
(色んな人とも踊ってみたい。)
ふとこんな気持ちが胸に広がった。と同時に自分の腕も彼の手目掛けて伸びていた。…が、それを許さなかった者が居た。
「あぁ、すみません、コイツ、俺のなんで。」
「あっ…、すみません、それは……。」
気が付けばうっしーに腰を寄せられていた。
男は恨めしそうにうっしーを睨んでは俺に笑顔で会釈をしてその場を後にした。
「何手出してんの?」
「あぁ、いや…色々考えたけど、」
「お前のその格好、匂い、装飾は誰のためにしてきた訳?」
「……え?」
「今のお前、すっげーエロいよ。」
「…えっ……と、」
「周りの男牽制するのにどれだけ頑張ってると思ってんの?お前とダンスしたのだってそれが理由だし、それなのにまだ来るヤツいたし。どこまですればお前に近付いて来なくなるかな?」
うっしーが捲し立てるようにそう言った。俺はなんのことか全く分からずに眉を寄せるばかりだった。
「ほら、この身体。」
うっしーが がしっ、と俺の腰を掴んだ。
俺は思わず小さく悲鳴を上げて肩を上げた。
「今日のお前を見て”犯したい”と思うのは俺だけじゃねぇの。」
「うっ…しぃ…?」
「今日のお前を”恋愛対象”として見たやつは俺だけじゃねぇの。」
うっしーの目が獣の様に感じた。伊達眼鏡越しではあるがその瞳は確かに俺の心をも射抜いた。
「…ほら、会場行くぞ。俺から二度と離れんな。」
「……ふは、不格好な告白。」
「告白って捕らえんな。もっとお前を堕としてからじゃないと。」
「うわ、こーわ。」
「本気で惚れた俺とお前ならどっちが怖いかな?」
「…オレカナー。」
「はい正解。」
丸め込まれた腹癒せにうっしーの肩を小突いてからうっしーの隣を歩いた。しれっと腕組まれたのは多分気のせい(じゃない)って事にしてゲーム実況のコーナーへの足を運んだ。
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