ぺいんとside
しまった、と思った時にはもう遅かった。
七夕の夜。どうしても天の川を見たくて空を見上げて歩いていると気づいたら知らない森の中にいた。元々星がよく見えるように、薄暗い道を歩いていたせいもあるし自業自得としか言いようがない。
とにかく来たであろう道を戻って明るいところに出ようとするも日が暮れてきてどの道を進んでも暗くなる一方だった。
不安と恐怖で足が止まりそうになる。
情けなくメンバーの名前を呼びそうになる。
滲む視界で何とか前に進み続ける。
「人の子よ」
「わ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!」
確かに誰もいなかったはずの背後、というか耳元から声が聞こえる。びっくりしすぎて本当に泣きそうになる。
「静かに。迷い子か?」
「え、え?」
「迷い子か聞いている。早うせんと魔に食われるぞ」
「魔?というか、トラゾー……なんで…」
話しかけてきたのは確かにトラゾー………と、同じ声の人。白の緑の着物と緑の差し色が入った目元を隠す狐面。喋り方もなんか違う。でも確かにトラゾーなんだ。この安心感はトラゾー以外ありえない。
「お客さんかい?」
トラゾーと同じ格好…いや、格好そのものは同じだけど色が青になってる。てことは、クロノアさん?
「くろのあ……?小僧、かなりの愛され気質だな」
「客人を勝手に読むのはやめろ。人の子。奥にお前に会いたがっている奴がいる。着いてこい」
「あ、ちょっと!俺森抜けたくて…!」
何も言わず手を引かれる。広い背中はトラゾーそのものなのに少し強引に引く手は全然違う。
「何もそう怖がらなくても良い。少しばかり宴をするだけさ」
「う、宴?」
「恋人たちの1度だけの再会。盛大に祝おうじゃないか」
「織姫と彦星の………でもそれって…」
「着いたぞ。準備は出来ている。中に入れ」
誘導されて中に入るといい匂いがする。歩きっぱなしでお腹が空いていたようでぐぅ、と静かに主張してくる。
「お帰りなさいませ!あ!これはこれはお客様!よぉくおいでくださいました!」
「よく顔を見ろ。お前が会いたがっていた人の子だ」
「え?あー!」
「え?え?」
今度は紫の色の人。でもこの人だけ面が顔全体を隠してる。声はやっぱりしにがみだった。
「ささ、お上がりくださいな。宴の準備は整っておりまする」
「人の子は酒はいける口か?」
「まぁ、少しなら」
「良い良い。楽しい宴になりそうだ」
まさに日本家屋としか言いようのない作りの屋敷。案内された部屋はきっとどこよりも広い宴会場。
「何を惚けている。さっさと食わねば冷めてしまうぞ」
「なに、遠慮することは無い。たらふく食うといい」
「まだまだ夜は明けませぬ。存分に楽しみましょうぞ」
食べたいのに、さっきまであった食欲が無くなる。頭の中で食事に手をつけては行けないと言われる。不安で震え出してくる。
「…やはり、この子は少し難しかったか。現世に送り届けるとしよう」
「またいつでも遊びに来るといい。その時にでも呑もうか」
「お待ちしております。貴方様が来る際はまたこうして宴の準備を致します」
隣に座っていた緑の人に目元を手で覆われる。さっき手を引いていた時とは違いとても冷たい。なのにどこか暖かく安心する。
だんだん眠くなり意識を保つのが難しくなる。遠くから誰かに呼ばれている感覚。それは誰よりも安心できて、大好きな声。
「また来年、必ず迎えに行く」
静かに、でもはっきりそう聞こえた。
「ぺいんとさーん」
「…ん、」
「もう、起きてくださいよ〜!」
「………っ、は」
「あ、おはようございます。ぺいんとさん起きましたよー!」
「あ、おはようぺいんと。急に寝ちゃってたけど疲れてた?」
「おはよう。って、髪ボサボサじゃん!」
「…お、はよう」
着物じゃないし面もつけてない。
あの森から抜け出せた。安心でまた泣きそうになる。
「怖い夢でも見た?」
「…はい゛。みんな変な格好してて、俺だけ何も知らなくて、」
「そっか。でももう大丈夫だから。俺たちはここにいるから」
手を握って、撫でてくれて、……あぁ、安心する。疲れていたのかまた眠気が襲ってくる。
微睡む意識の中、僅かに聞こえた声は眠気で掻き消えていった。
「お帰り、ぺいんと」
少しだけ遅刻した………
ちょっとだけ補足?
pnさんは昏睡状態でした。夢の中であったメンバーに似た人達は醒めないように引き止めていた悪魔的な存在(取り憑いてる)。これのせいで昏睡状態になってたけど無事意識を取り戻す。多分半日くらいだけだけどずっと寝たまま。取り憑かれてたのは3ヶ月くらい前からだけど上手く落として落としてタイミングよく七夕の日に森(悪魔?達の住処)に引き寄せるために眠らせることに成功。したはいいけどpnさんのメンバーに対する依存とか想いがデカすぎて結局帰しちゃう。諦めてはない。
メンバーは目が覚めるまで見守ってた。取り憑かれてるのは知ってるしそのせいで寝てるのも知ってる。
みたいな感じです。ちょっとよくわからんこと書いてますねこの人(?)
天の川が少し見えました。ほんとに少しだけ。でもなにが彦星でなにが織姫なのかよくわかんなくてはえーきれーくらいに見てました。
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