大丈夫になった上で、私はしばらく明那のことを避けていた。
明那から話しかけてくることもなく
講義が被っていても、互いに別の友達と座っていた。
ときどき目が合うから、合わないようにできるだけ明那より後ろの席を選んだ。
仮に目が合っても、すぐに逸らした。私の方が先に。
告白から一週間が経った。週明けの月曜三限。
『まだ来てない……』
教室へ入ると、まず明那がどこに座っているか確認をするのだが、
私の方が先に来てしまったみたいだ。
先週と同じ、日当たりのいい席を選ぶ。
私たちの定席から、斜め後ろに四列ほど下がったところ。
明那のメッシュがよく見えて、黒板もまあ見えやすい。
そしてなにより、日当たりがいい。
というようなことを考えていると、
前の席に白いトートバッグがどさりと置かれた。
akn「菜央、おはよ!」
『……え、あ、おはよう』
明那だった。
えーまってここめっちゃ日当たりいいじゃん!
と、窓から差し込む光のなかで、明那が言った。
ごめんまって脳がついていけてない え、幻覚および幻聴?
定席に座るとばかり思っていたから、心の準備ができていなかった。
来るなら教えてよ!神様!朝の星占いとかで!!
akn「ここ見つけた菜央天才すぎる」
『…………やっぱ私って天才なんかな』
akn「いやもうね、一年に一人の天才よ」
『そこそこリアルな数字やだな……』
気まずくないのかなこの人
と思いながら、でも、嬉しかった。
明那の声はやっぱり元気の出る声だ。