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君に生きて欲しい理由。

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君に生きて欲しい理由。

3 - 最後は未来を描いたから。

♥

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2025年08月02日

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レイの症状を軽くして、俺は帰路についていた。

母親らしき人が救急車を呼んでいたので

もう、大丈夫だろう。


「「……….。」」


俺もトートも会話をすることは無かった。

それは家に帰っても。


唯一、

「….先に寝るのネ。」

「分かった。」



気まずくなったので、逃げるようにして人間界の学校へ行く。


待ち受けていたのは….

怖い顔をしたレイ。


「答えなさい。あなたが、ゼーレが邪魔をしたの?!」

「見てる!みんな見てるから!な?屋上行こう。屋上。」


「屋上は開いていない_ 」

否定を聞かず、いわゆるお姫様抱っこをして…

「…覚えてなさい。」

展望台へ移動する。


「下ろしてください。」

鋭い声で言われる。悲し。

「はいはい。」


「学校だって抜け出してきました。手短にいきましょう。」

「あぁ、俺も遠回しは嫌いでね。」


先に口を開いたのは、レイだった。

「昨日、邪魔をしたのはアナタでしょう?

話し声で分かったから、言い訳はナシですよ。」


これは、正直に言うしかないかな。

「そうだよ。」

「どうして、止めたの?それを望んでいるのは、。」


「止めたのは、俺だ。そして、お前の死を望んだのも、俺だ。 」

正直に話す。


人間には、死力を持つことがありえないと言うこと。

レイには生きて欲しいこと。

もし、死後に死神になることを望んだら、再会したいこと。


…トートと気まずいこと。


「どこまでも、自己中心的なクズですね。」

ド正論が1発。痛い。刺さってる。


「…私は、死ぬ理由を探していました。

楽しいことがなければ、辛いこともない。淡々とした日常が過ぎてゆく。


このまま時間が流れるのは、つまらないな、と。

それなら、いっその事、って。


でも、私に死ぬ勇気なんて無かった。

そんな時に現れた死神ゼーレとトート


だから、2人を理由にすれば、楽に逝けるかな、なんて。」


「自己中なのは、どっちだよ。」

「痛いですね。 …私は生きますよ。

死ぬ理由が生きる理由になりました。」


顔は、笑っている。吹っ切れたように。


「ぉ、死後は死神?いつでも、待ってるよ。」

「どう、解釈したんですか?考えておきます。

それより、さっさと元に戻してください。」

教室へ戻すよう、急かされる。

「…悪ぃ。」



相変わらず、教室の中は色んな声が飛び交っている。

「…トートさんと、早く仲直りしてください。」

「言われなくても、笑 」


「それと。仕事、サボらないでください。

最低でも、私が死ぬまでは。」


ゼーレは、窓に足をかけてひらひらと手を振る。

別れの時間だ。


「分かったよ。…ありがとう、レイ。」

それだけを残して、姿を消した。





出席確認に”神黒ゼーレ”は呼ばれない。


席も、いつの間にか、なくなっている。



適当に生きて。適当に死にかけて。

そんな、過去だった霊園 哀だけど。


寿命を全うしたら。死神になったら。

もう一度、ゼーレに会えたら。

未来を考える、霊園 哀でも良いのかもしれない。



-・-・-・-・-


「トート!」

大きな声で相棒の名前を呼ぶ。

「…なんなのヨ。」

相棒は不機嫌だが、気にしない。


「すまなかった!」

「はぁ??」

急になんだ、とでも言いたげな顔。


「自分のことばっかりだった。トートのこと、全然考えていなかった。 」

信念ばかりを貫いて、トートの思ってること、心配してることを気にしていなかった。


「簡単には許せないのネ!

ゼーレの行動次第ネ。

それでも、覚えていて欲しいのヨ。

トートは、ゼーレが1番なのヨ。」


「 …!あぁ!」


ターゲットの魂を狩らないことは、重大な契約違反。

きっと、怒られるどころか、辞める事になるかも。

それでも、レイには生きてほしいから。


なぁ、レイ。別れたばっかだけど、もう、話したいことがあるんだぜ?


××年後、会った時は_。







「君に生きて欲しい理由。」


_完


君に生きて欲しい理由。

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