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レイの症状を軽くして、俺は帰路についていた。
母親らしき人が救急車を呼んでいたので
もう、大丈夫だろう。
「「……….。」」
俺もトートも会話をすることは無かった。
それは家に帰っても。
唯一、
「….先に寝るのネ。」
「分かった。」
気まずくなったので、逃げるようにして人間界の学校へ行く。
待ち受けていたのは….
怖い顔をしたレイ。
「答えなさい。あなたが、ゼーレが邪魔をしたの?!」
「見てる!みんな見てるから!な?屋上行こう。屋上。」
「屋上は開いていない_ 」
否定を聞かず、いわゆるお姫様抱っこをして…
「…覚えてなさい。」
展望台へ移動する。
「下ろしてください。」
鋭い声で言われる。悲し。
「はいはい。」
「学校だって抜け出してきました。手短にいきましょう。」
「あぁ、俺も遠回しは嫌いでね。」
先に口を開いたのは、レイだった。
「昨日、邪魔をしたのはアナタでしょう?
話し声で分かったから、言い訳はナシですよ。」
これは、正直に言うしかないかな。
「そうだよ。」
「どうして、止めたの?それを望んでいるのは、。」
「止めたのは、俺だ。そして、お前の死を望んだのも、俺だ。 」
正直に話す。
人間には、死力を持つことがありえないと言うこと。
レイには生きて欲しいこと。
もし、死後に死神になることを望んだら、再会したいこと。
…トートと気まずいこと。
「どこまでも、自己中心的なクズですね。」
ド正論が1発。痛い。刺さってる。
「…私は、死ぬ理由を探していました。
楽しいことがなければ、辛いこともない。淡々とした日常が過ぎてゆく。
このまま時間が流れるのは、つまらないな、と。
それなら、いっその事、って。
でも、私に死ぬ勇気なんて無かった。
そんな時に現れた死神。
だから、2人を理由にすれば、楽に逝けるかな、なんて。」
「自己中なのは、どっちだよ。」
「痛いですね。 …私は生きますよ。
死ぬ理由が生きる理由になりました。」
顔は、笑っている。吹っ切れたように。
「ぉ、死後は死神?いつでも、待ってるよ。」
「どう、解釈したんですか?考えておきます。
それより、さっさと元に戻してください。」
教室へ戻すよう、急かされる。
「…悪ぃ。」
相変わらず、教室の中は色んな声が飛び交っている。
「…トートさんと、早く仲直りしてください。」
「言われなくても、笑 」
「それと。仕事、サボらないでください。
最低でも、私が死ぬまでは。」
ゼーレは、窓に足をかけてひらひらと手を振る。
別れの時間だ。
「分かったよ。…ありがとう、レイ。」
それだけを残して、姿を消した。
出席確認に”神黒ゼーレ”は呼ばれない。
席も、いつの間にか、なくなっている。
適当に生きて。適当に死にかけて。
そんな、過去だった霊園 哀だけど。
寿命を全うしたら。死神になったら。
もう一度、ゼーレに会えたら。
未来を考える、霊園 哀でも良いのかもしれない。
-・-・-・-・-
「トート!」
大きな声で相棒の名前を呼ぶ。
「…なんなのヨ。」
相棒は不機嫌だが、気にしない。
「すまなかった!」
「はぁ??」
急になんだ、とでも言いたげな顔。
「自分のことばっかりだった。トートのこと、全然考えていなかった。 」
信念ばかりを貫いて、トートの思ってること、心配してることを気にしていなかった。
「簡単には許せないのネ!
ゼーレの行動次第ネ。
それでも、覚えていて欲しいのヨ。
トートは、ゼーレが1番なのヨ。」
「 …!あぁ!」
ターゲットの魂を狩らないことは、重大な契約違反。
きっと、怒られるどころか、辞める事になるかも。
それでも、レイには生きてほしいから。
なぁ、レイ。別れたばっかだけど、もう、話したいことがあるんだぜ?
××年後、会った時は_。
「君に生きて欲しい理由。」
_完