テラーノベル
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紫蘭
ずうっといっしょ!
茈赫
⚠️ /病み/グロ/ちょっと下品 etc
母はいつも、俺を見て震えていた。「どんどんあの人に似ていく」
という理由で、俺を置いて男と逃げた。
母に愛された記憶が無いので、
さほどショックはなかった。
俺はいつでも嫌われるし、いつでも1人。でも、それでいいんだ。
愛された分だけ、不幸は襲ってくるから。
でも、そうやって守った孤独さえ、
お前は壊したんだよ。
「は…?」
また、俺から幸せが離れていく音がする。金も女も幸せも俺からは逃げていく。
「さようなら」と書かれた紙と、隣に投げ捨てられた指輪。
「結婚なんて夢見た俺が…、馬鹿なのかな?」
「まぁ、せいぜい一生懸命に生きてくださいね」
そう言って、薬指に呪いをかけた。
契約は呪いに、呪いは…、
いつかは花を咲かす。
「はぁ、死にてぇ」
「あーあー、お前これ、なんだよ。」
ゴミも血も吐瀉物もごった混ぜな、散乱した部屋。
俺はなぜか倒れていた。それと、勝手にいるまが侵入してた。
血が固まって、体にこびり付いていた。ツーっと鼻をかすめる鉄のような匂い。
「なつ、生きてるか?」
口を開いた時に唇の端から血が出たような気がした。
「あ゛ぁー、死んでない…か」
「死ぬなよ、なにその血」
隙間のない床のゴミをガサガサどかしたり、吐瀉物避けたりしながら歩いてくる。
そんな状態で、嫌な顔せずズカズカ歩いてくるのがいるまらしい。
「切りすぎた」
「お前っ…!!」
「えっ」
顔を覆われた、と思ったら怒られた。
「顔はやめろって俺言ったよな!?」
「だって…、こんな顔嫌いだから…」
「っはぁ…、一旦、血落とさねーと…。水道止まってないよな?」
キョロキョロ確認し、溜まった請求書を見てため息をついていた。
「うん…、多分動くと思う」
「勝手に風呂いれるからな、ちゃんと入れよ。汚ぇから」
とか言いながらも、洗ってなくてギトギトでギシギシの髪を適当に撫でてあやしてくれる。
「…俺1人…?」
「1人で入れるだろ」
若干引き気味。ふざけて追い打ちをかけてみる。
「俺一人になったら死んじゃうかも、」
「さっきまで1人だった奴が言うなよな、…まぁいいや一緒に入ってやるよ」
「っしゃあ!」
「なにがいいんだか…笑」
ちゃぽんっと浴槽へ身体をしずめる。
「…狭」
まぁ予想していた通り。一人暮らし向けのアパートで、築ウン10年。浴室のサイズ感であったり、浴槽の狭さであったり、どれをとっても狭すぎる。
「お前が一緒に入ろうって言ったんだからな?w」
ふはっ、と息を吐くような笑い方。目を細めるのも、のぞく八重歯も、近くで見るといるまはほんとに美形で。
「1人になったら死ぬって言っただけ、別に入れとはいってないしw」
「へーへー心配した俺が馬鹿でしたよー」
そそくさと出ようとするいるま。薄情者。
「んやぁだ!勝手に出ないで!」
「赤ちゃんじゃん…w」
「…洗って」
「自分で洗えよ」
「やだ」
「はいはい、洗います洗いますよ。ワガママお嬢様」
「ん、」
ゴシゴシと頭を洗う。
襟足の赤色がシャンプーの泡を赤く染める。
「あ、お前これ普通のシャンプーじゃん」
「めんどくさいから、」
「襟足の赤色似合ってんのに」
「そんなすぐ落ちないって」
といいつつも、無言のいるまに真っ赤に染ったシャンプーを見せつけられた瞬間。「あ、これ染め直しだな」と かなり焦った。
「いるまってさー」
「ん、」
「なんでこんなに俺に構ってくれるの。」
正面の鏡越しに目が合う、切長の三白眼がきゅっと狭まり、八重歯がちらつく。
「お前一人じゃすぐ自殺しそうだしw」
笑いながら目を瞑る。息を吐くように笑う。
「おー正解。たぶんいるまが居なかったら俺死んでたわ」
「お前重すぎ」
半ば冗談、半ば本気? でも、いるまの目はあんまり笑っていなかった。
頭上から勢いよく温水をぶっかける。
「っはぁ…すっきりしたわ」
「よかったな」
優しく頭を撫でながら、ビショビショの髪の水気をとってくれた。…気持ちはもう彼女の気分。
「身体…洗って欲しいんだけど」
「それは自分で洗えよ」
冗談交じりの笑い方。辛辣だけどそれもいるまらしい。
「…んぅ」
「…ただ、髪は乾かしてやる」
優しい。優しい人だな。俺の瞳はもう蕩けていた。
「うん…」
撫でるように優しく、傷口を傷つけないように身体を洗う。
「い~~~…ったぁっ!」
「めっちゃ切った跡あるじゃん、」
浴槽の中でチラチラいるまが見てくる。身体を見られるのは別にいいけど…、傷跡を見られるのは今更ながら恥ずかしい。
「も~やだぁー(泣)」
見られていることと、傷口痛すぎるのの両方で俺は号泣。
「…浴槽、入っていい?」
首を傾けたせいで、肩に水が滴る。寒い。
「ん、いーよ。」
俺にはいるまが手を広げて待っててくれたように見えて(幻覚)、
ぎゅーーっ
「ぅおっ!裸で抱きついてくんなってw」
びっくりしたいるまかわいい…。心臓がきゅんきゅんしてるのが分かる。突き放さない優しさ、包容力…全部が…。
「ねぇ俺さぁ、」
「うん?」
「いるまのこと好きかも」
「はぁ?恋愛?」
怒った声じゃない、引いてる訳でもない。ただびっくりされた。
「うん、いるまに触られるとドキドキする」
「少女漫画かよ」
額を指で弾かれた。お互い少し面白くなってた。
「女子の気持ちやっとわかったわ、」
「よかったな」
「いるまは?俺の事すき?」
「好きっていうか、…お前がいないと俺も生きていけない」
言われた瞬間の俺、多分情けない顔したと思う。
びっくりした。いるまの口からそんな弱いところが聞けたことも。やや真剣な目で俺を見てくれたのも。
「…それって好きよりも重くない?」
「重いかもな」
不真面目な返事。でも、重い…?それだけで俺の心は跳ねた。
「じゃあ両想いじゃね?」
「そうかもな」
「今更付き合うのも変だけどw」
「風呂場で告られたのは初めて」
「俺も風呂場は初めてだわ」
「早く出よ、」
長い髪の水気を落としながら、浴槽から出ようとするいるま。好きだな…。好きで好きで仕方がない。今の瞬間が幸せだから、離れられない。幸せが逃げちゃわないように、ずっとこうやって浴槽で二人きりでいたい。
「まって、…ちゅーしたい」
引き止めるのが不器用で、不自然で、でも笑ってくれるいるまがだいすき。
「付き合って早々かよw」
「いいでしょ?ね、?」
「はぁ…、w」
少し呆れた顔をしながら、俺の後頭部を鷲掴み。
ぐいっと引き寄せた。
ちゅっ
「ぁむっ…んっ」
「ん、っ…」
…目くらい瞑ってくれればいいのに、ガン見された。
っていうのを目撃してる俺もいるまのキス顔をガン見していた。双方ガン見。
「っへへ、いっただきー 笑」
いるまの薄い唇、これを男らしい…っていうのか分からないけど、全部全部俺は女の子の気持ちになれる。
「…口濯いできていい?ゲロの味する」
嫌そうに顔を顰める。口元を擦りながら、笑ってる。
「ごめんごめんw」
この幸せがずっと続いて欲しい。
もう一生離さないから
コメント
1件
わあ~~~!第1話からすごい熱量…!😭💕 ひーくん(主人公)の孤独と呪いみたいな自己肯定感の低さが痛いほど伝わってきて、そこにいるまがズカズカ入ってきて優しくて…風呂場の告白とかもう尊すぎて倒れるかと思ったよ!!「好きよりも重い」って台詞、エモすぎ〜〜!!✨ 続きが気になりすぎる…!!(200字)