テラーノベル
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バッドエンド
🍵、🍍(兄弟)
暴言、暴力表現あり
🔞はありません。
いなくならないで。
ただ、俺が君に願うこと。
赫「にいちゃん!」
翠「ん〜?どうしたの?」
赫「おれ、いつになったらにいちゃんと外で遊べる?」
無邪気な笑顔が心に注射針のように刺さる。
翠「ひまちゃんの病気が治ったらね」
赫「去年もそういってた!」
翠「だって、いつになっても治らないんだもん笑」
来年、来年…と、先延ばしにしすぎた約束もきっと近々終わってしまう。
翠「…あ、夜ご飯の食材買ってこないと。」
赫「俺も行くっ!」
翠「だめだよ〜、今日も母さんたちは帰ってこないと思うからひまちゃんはここにいてね?」
赫「俺1人、楽しくない…」
寂しげに瞳を揺らすひまちゃんの横顔が俺の目に綺麗に映った。
ひまちゃんを家に一人で待たせるのは酷だが、これ以上に外に連れ出すことの方がよっぽど危険だ。
翠「大丈夫、すぐ帰ってくるから。」
赫「すぐってどのくらい?」
翠「20分くらい?」
赫「やだ、10分で帰ってきて…」
翠「わかったよ笑」
我儘な姫は寂しさを拗らせて、ずっと可愛らしい言い訳を並べたが最終的には出る言葉も無くなって静かに眠りについた。
翠「……っさむ…」
玄関の扉を開けて、耳がちぎれそうなほど冷たい外から家の中に入る。
人の温かみなんてものは無く、肺を切り裂くほどの重苦しい空気を掻き分けてひまちゃんの部屋に戻る。
翠「ただいま〜……」
赫「…すうっ…すぅ…」
部屋に入れば心地よさそうな顔で未だ、夢の中に居るひまちゃんがベットの上にいた。
幸せそうな顔を確認できたところで俺はもう一度重苦しい空気感の部屋へと戻る。
両親が帰ってくる前に夜ご飯を作り終え無ければいけない。
翠「今日はオムライスにしよっかな。」
独り言を呟きながら使う材料を冷蔵庫から取り出す。時刻は6時を過ぎた当たりだった。
翠「ひまちゃーん、夜ご飯食べれる?」
赫「ん…ぅ…?」
翠「おはよ、オムライスだけど食べる?また無理そうだったらお粥にするけど…」
赫「…たべたい…」
翠「体調は?」
赫「……よくない…かも…」
翠「ならオムライスは明日食べよ、今日はお粥食べてゆっくり寝ようね。」
赫「ぅん…」
起きたばっかりで辛いのか、目が半分閉じたまま体を起こしてグッタリとしている。
俺にも半分その辛さを分けて欲しいと思ってしまうが、そんなことも出来ない誰かだけが生きづらくなってしまう理不尽な世界に腹を立てる。
腹を立てながらも静かに何も言わずひまちゃんを抱き締めると、俺にもたれかかって優しい笑顔を見した。
赫「ありがとう……笑 」
この笑顔だけで救われる命があればいいのに。ひまちゃんが救われればいいのに。
理想論をスラスラと語る俺の頭に現状の現実を見せる。唯一の家族は辛そうにぐったりして、だけどもそんな弟の目の前で俺の頭の中にあった言葉は「生きたい」でも「死にたい」でもなかった。
「生きてるんだ。」そう実感させる人の温もり、感情、呼吸音。
どれもが酷く濁って目の前から遠のいていくよう。
赫「…」
翠「ひまちゃん?」
赫「…ぁ、ごめん…ぼーっとしてた。」
翠「…辛い…?」
赫「……わかんない。なんか、体がずっと重たくて…」
重たいなんて言えないほどにひまちゃんの体は軽い。それでも、ひまちゃん自信が重く感じているのは病気のせいなんだろう。
翠「…明日、病院行こうね?」
赫「……嫌だ。なら、学校行きたい。」
翠「ダメだよ。許さないから。」
赫「…っなんで…」
じわっ(涙
瞳に水を貯めながら、こちらを見てくるひまちゃん。そんな顔を見て、 より一層俺の独占欲が深まる。
学校なんて行かせない、ひとりで外に出すなんて絶対に危ない。それでも、母さん達は信用ならない。
翠「こんなに可愛い弟を誰にも見せたくないの。わかって欲しいなぁ?」
赫「…っでも…」
翠「大丈夫、母さんたちからは俺が守ってあげるから。俺に愛されてて。」
赫「…分かった…」
言ったことに正直に従ってくれるひまちゃんも可愛い。
反抗してくるひまちゃんも可愛い。
実の親すらも怖がってしまうひまちゃんが可愛い。
翠「死んでも一緒だよ。ボソッ」
面倒臭いお兄ちゃんでごめんね。それでも、君が生きていられる間は…俺に時間をちょうだい。
あと半年だけ。
俺に光を頂戴。生きてる理由を、死ねない理由を……全て頂戴。
数週間後
「翠川〜。これを教材室まで持ってきてくれないか?」
翠「ぇ…いや…もう帰らないと…」
「先生ひとりじゃ持ちきれないんだ。頼むよ。」
放課の時間。愛しい弟の元に帰るために帰る準備をしてる時だった。
体育科のガタイがよく、口調の強い先生に捕まってしまった。
友達の居ない俺にはその仕事を手伝ってくれる友人もいなくて、周りから目は何年経っても痛々しくトゲが刺さる。
翠(急がないとなのに…ッ)
最近はずっとひまちゃんが体調を崩しがちで、家に帰る度に苦しそうな顔をしてる。
今日は俺も学校休む。そうひまちゃんに言ったら怒って「俺も外に出てやる」なんて脅されてしまった。
翠「これ…どうすれば…」
「あぁ、そこに置いておいてくれ。あと、こっちのやつも○○先生に渡しに行ってくれ。」
翠「いやッ…俺帰らないと…」
「学生のお前にそんな大切なものあるのか?どうせ恋人すらいねぇだろ、翠川は。」
翠「恋人なんかじゃないけど…ッ」
「お前は先生に従っておけ。お前を大事にする人なんてこの学校にはいねぇだろ?俺が使ってやるよ笑」
翠「…ッうるさい…」
「教師に向かって暴言とは…お前も”ダメなだな”」
翠「ダメなんかじゃッ…ッ!」
「なら、なんでお前の親は行事に1度も顔を出さないだ。懇談会すら来なかったじゃねぇか。進路相談もだ。」
翠「…ッッ」
「成績も低い癖に、運動も出来ない。部活は無所属。なにがお前に残ってるんだ?」
俺は何も出来ない。そんなの分かってる。両親に嫌われて。友達もいなくて。
勉強も出来なくて。運動もできなくて…
でも、どれもこれも『ひまちゃん』の為。
『すちにぃ!ニコッ』
『すちにぃ…?』
『すちにぃだぁっ!✨️』
『すちにぃっ!(拗』
病弱で、外に出られなくて、余命宣告もされて、学校にも通えなくて、ひまちゃんの友達なんていなかった。
俺がひまちゃんと同じくらいの年頃は俺にだって友達もいた。勉強も学年で1番。軽い運動もすぐに出来た。
それでも、7年前にひまちゃんの病気が見つかってから世話係はずっと俺。
翠「お前にッ何がわかるんだよ”ッ!」
翠「弟がッ、苦しんでるのに…俺が幸せを望むなんて…ッそんなこと…」
ひまちゃんの痛みを完全に共感することはできない。なら、病気以外で同じ立場に立てば…少しはひまちゃんの事がわかると思った。
「お前の事情なんて知るか。さっさと俺らの為に働け。」
翠「……ッッ」
どんな生き物より、人間がいちばん怖い。
この言葉を思いついた人は今の俺と同じ感情だったのかな。それとも、また違ったのかな。
翠「…ッただいま。」
震える喉を抑えて、重い玄関の扉を閉じる。
家の中はいつも通り見慣れた景色で、電気もついてなくて月のあかりが窓から当たるくらいだった。
翠「ひまちゃん…ッ」
体調を崩してないだろうか。お腹を空かしてないだろうか。困ってないかな…
頭の中がひまちゃんのことでいっぱいになる。殴られた跡も折られた腕も気にしてなんか居られない。
持ち上がらない左腕を前後に揺らしながら2階に上がる。時刻はとうに23時を過ぎていた。
ガタッ____
翠「ひま…ちゃんッ…?」
部屋の扉を開けた瞬間、物音が聞こえた。何かが落ちたのか。そう思って周りを見ても、物なんかは落ちてなかった。
ただ、扉の前で無造作に倒れてるひまちゃんが居た。
翠「ッひまちゃんッ”!」
すぐに倒れてるひまちゃんの元に近づいた。ひまちゃんの近くには俺が昔、ひまちゃんにプレゼントした人形たちがいた。
その人形たちは憐れむようにひまちゃんを囲んで見つめていた。
翠「やめてッ”…やめろ…ッ」
周りの人形を踏み潰してひまちゃんを腕の中に抱く。
想定してたはず。こんな日が来るなんて分かってた。それでも、腕の中にいる君は_____
____息をしてくれなかった。
翠「…ッえ…」
目を閉じたままで、ひまちゃんの手元には白い紙が置かれてた。
不器用な文字で、下手くそな絵で。
『がんばりやな、にいにへ』って、そんなタイトルで…俺への手紙が置かれてた。
翠「…ッやだ…置いてかない…でッ」
どれだけ強く抱き締めても、ひまちゃんは抱き返してくれない。
まだほんのり暖かいひまちゃんの体からは、規則正しい呼吸音も心拍の音もなにも…聞こえなかった。
俺と違って白くてきれいな肌。俺は、この子を守れたのだろうか。
翠「ねぇッ、なんで置いて行っちゃったの…ッ?今日も、にいちゃん頑張ったよッ?」
目を開けて、お話しして、二人でご飯を食べて、ひまちゃんが寝れるまで俺が傍にいて……
そんな当たり前の日常を今日、この場で壊れたことを知った。
折れた腕も、痣だらけの体も全部どうでもいい。帰ってきて。
叶わない願いを神様に願った。
ひまちゃんの手元にある手紙を眺める。
『がんばりやな、にいにへ』
かえってきてますか ?
さいきんは体がいたくて、にいにがかえってくるときねてて、ごめんなさい。
おひるに、にいにがいなくてさみしくなってにいにがくれた 人ぎょうであそびました !
なんか、ひとりでおてがみかくのってはずかしいな
かえってきたら、おれをおこしてください!きょうこそ、にいにとあそびたいから!
みどりかわ なつ より。
きっと、本に書いてある平仮名を見よう見まねで書いたのだろう。近くには子供用の本が置いてあった。
翠「帰ってきたよ…ッ、起きて…」
体を揺さぶっても栗色の髪が優しく揺れるだけ。病院には明日行くつもりだったのに…その前に居なくならないでよ。
翠「俺はッ…これからどうやってッ生きていけばいいの…ッ?ポロッ」
冷えきった体と空気。机に置いてある手のつけられてない昼の薬。俺と遊びたかったなら、薬飲み忘れないでよ。
翠「…あぁ”ぁッ…ッポロポロ」
久しぶりにバッドエンド書きたくなっちゃった。🔞も無いし、好きじゃない人多いかもだけど私の癖だから許して……
やっぱり、時間かかるけどこっちの書き方の方が性に合ってるわ。
コメント
9件
わたくしはバドエンもめためた好きなのでありがたき幸せ🙌💘 やばいやばいやっぱりリオンは天才だ神すぎるっ!😭
え~ なっちゃん (╥﹏╥)